後悔先に立っていて!
※下ネタ注意の為R15です。苦手な方はご注意ください。
私は後悔していた。何をって? 二人を、いや二人“に”許した事をよ!!
あの子達、深淵の森の中で一度抱きあった後、私を連れて飛んで帰った。なんとナキアスが私を抱え、ナルヴィが竜に戻って文字通り“飛んで”王城まで帰ったのだ。
何をそんなに急いでいるのかと思ったら、あれよあれよと言う間にナルヴィの寝室に連れ込まれて第二ラウンド開始。そして大げさでもなんでもなく一晩中私を離してくれなかった。勿論私は若くはない。何度も途中でギブアップを願い出たのだけれど、聞く耳持たない二人に朝まで付き合わされた。
お陰で昼近くに目が覚めたら腰は立たないし喉は枯れてるし、しかもしかもあの子達中に…………中に〜〜〜〜〜〜!!!!
「この大バカ共っ!!!」
緩んだ顔で私がベッドから降りてくるのを待っていた二人の顔面に思いっきりクッションを投げつける。けれど腹立たしい事に、二人はそれを軽々と受け止めた。
「やだなぁ、何を怒ってるの? チヒロ?」
「怒った顔も可愛いけどね、チヒロは」
「うるさい!! あんた達私が結婚しないことは認めたんでしょ!? なのにっ、何で避妊しないのよバカ!!」
すると二人はきょとんっとした顔をした。何よ、その顔。まさかこの世界には避妊って行為が無いなんて言わないわよね。
顔を青ざめる私に向かって、ナキアスが「あぁ」と何やら思い立った顔をする。
「そうか。チヒロは護国の民じゃないから知らないんだね」
「な……何を?」
「チヒロは竜の血が流れていないんだろう?」
「えぇ、そりゃあ、まぁ……」
「竜の血が薄い者は竜の仔を宿すことが出来ないんだ」
「え? そうなの?」
当然そんな話は初耳だ。驚く私にナキアスは話を続けた。
「うん。竜は力の強い生き物だから。それを産むことが出来るのは同じ竜の血を引く体を持つ者だけ。力のない者が妊娠しても当然竜の仔が母体を弱らせてしまうし、仔も生まれてくることが出来ない。だから適合しない体では妊娠できないようになっているんだ」
「あ、そうなの……」
無意識に安堵してほっと息を吐く。竜云々は兎も角、昨日のアレで妊娠する心配はいらないってことね。あぁ、危ない危ない。
「ん? ちょっと待って。なら、王族は皆竜の血が濃い人と結婚するってこと?」
ならそもそも私を妃にする事自体有り得ないのでは? そう思った私に答えたのはナルヴィだった。
「いや、そんなことはないよ。竜は寿命の長い生き物だから。その伴侶の竜の血が薄ければ後天的に竜に近い体になってもらって添い遂げるんだ。だから寿命も延びるし子供を授かる事もできる」
「後天的?」
「そう」
「た、例えばどういう風に?」
恐る恐る訊けば、ナルヴィは軽い調子でとんでもない事を言った。
「うーん、血を飲ませるとか?」
何そのホラー!!! 夫の血を飲む妻とか怖すぎる!!
その話に衝撃を受けていた私は気づかなかった。ナキアスとナルヴィが二人で目を合わせてこっそり笑みを深めていた事に。
二人がニヤリしていた理由を知りたい方は、別小説『迷子の竜と馬屋の娘』の『下ネタは慎みましょう』の回をご参照ください。




