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それとこれとは別問題

 

「アラドを呼んできて」

「嫌だ」

「なんでアラドなのさ」

「あなた達とじゃ話にならないからよ!!」


 頬を膨らませてブーブー言う双子を部屋から追い出し、とりあえず寝巻きから着替えようと大きなクローゼットへ向かう。そこを開ければ出てきたのはぎっしりと並べられた質の良いドレスだった。


(……何これ。普段着は無いの?)


 どれもこれもパーティーで着るような豪華なドレスばかり。とてもじゃないけど鏡の前で合わせてみる気にもならない。


(どこぞのお姫様じゃあるまいし。この世界のお金持ちって毎日こんなのばっかり着てるのかしら。肩こりそう)


 もっとラフな格好はないものかと今度は下部の引き出しを開ける。主に入っているのは下着や小物類。けど二段目に細身のパンツを見つけた。


(これでいいわよね)


 ハンガーに掛かっていた白のブラウスを合わせればいいでしょう。さっそく着替えようと寝巻きを脱ぐ。その下から現れたのは下着を付けていない上半身。


(あれ? ブラは?)


――え〜、だって見たかったんだもん。チヒロの着替え。


(ま、まさか、あいつら……)


 怒りに震える拳を押さえ込み、引き出しからチューブトップのような胸当てを引っ張り出す。その上からキャミソールとブラウスを着て、あとはカーキ色のパンツを穿いたら着替えは終了。足元は裸足だけれど、買ったブーツもスリッパも無いから仕方が無い。


(さて、どうしようかしらね)


 当然ながら彼らのふざけたプロボーズを受けるなんて有り得ない。こちらの世界に永住するつもりは無いのだから、例え胸キュンするような素敵プロポーズだったとしても結果は同じだけどね。それにこれだけ大きなお屋敷を構える大金持ち。まず彼らのご両親が許さないでしょう。身分なんて無いも当然の、適齢期を過ぎた女なんか認めるわけが無いのだから。


 この際だから正直に白状しましょう。しばらく恋愛から遠ざかっていた私にとって、誰かから好意を向けられるというのは決して嫌なものじゃない。プロポーズまでされれば当然嬉しい。けれど彼らは自分とは違う世界の人間。プロポーズを受けるどうかなんて、考える必要も無い。


(そもそも二人同時にって……。いくら双子でも仲良すぎでしょう。フラれた方はどうするつもりなのかしら)


 ま、そんなことどうでも良いけど。どちらにせよ、断るのだし。


(あぁ。おかしな趣味の男共に引っかかっちゃったなぁ)


 年上女が好きな男なんて、半分はマザコンに決まってるんだから。そんなのに構っている暇は無い。……あぁ、芋づる式に嫌なこと思い出しちゃったわ。

 さっさとこの屋敷を出て、まっとうな職を探さなくちゃ。知らない土地で行き倒れるなんてシャレにもならない。

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