2.学校に着きました
晴希視点からはいります。
途中で変わります。
はじめまして、俺は鳴沢晴希。優眞の親友兼相方でもありこの学園の風紀委員長。ん~、とりあえず、何話そう………優眞との出会いからでいっか。そうだな~、あれは一年の冬。
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「えっ?転校生ですか!?」
「そうだ。それで寮の部屋がお前んとこしか空いてなくてな。そこに新しく転校生が入ることになった。まぁ、履歴書見る限りそんな悪いやつには見えなかったから…たぶん大丈夫だろ。いろいろわからないこともあると思うから仲良くしてあげて。」
「は、はい…それにしてもこの時期にですか。」
「珍しいかもしれないが…向こうにもいろいろ事情があるんだろう。」
授業中、いきなり担任から呼び出しがあって何かやらかしたかな~と思っていたら……どうやら近々転校生が来るらしい。しかも、俺と同部屋になるんだって。
俺は入学してから今まで1人部屋だった…それは自慢じゃないけど俺の容姿と少し関係がある。人目を引くほどじゃないけどある程度顔のパーツは整っている。それを世間一般ではイケメンというらしいけど、そこまでイケメンじゃないと俺は思ってる。
ましてやここは男子校。そのおかげで狙われることが多々あり、1人部屋じゃないと満足に眠れなかった。この学校はそういう生徒の為に最善を尽くしてくれるから、今まで1人部屋でOKだったんだけど………転校生か~。
どうか、普通の人であってほしい。
そして転校生が入寮してくる当日。
晴希は自分の部屋にいた。転校生の入寮は今日で、明日から学校へ通うらしい。 転校生の荷物は前日までに部屋に運ばれているので、あとは本人がくるだけ。
神様、お願いです。どうか普通の人であってください!と晴希は心の中で願っていたとき、インターホンがなった。
ピンポーン
―ッ!きた!
「はーい!」
すぐさま玄関にいきドアノブに手をかける。
ガチャ
扉を開けるとそこにいたのは黒髪黒目の容姿端麗な少年だった。
「えっ…」
一瞬見とれてしまったが、すぐに思考を戻した。ここまで中性的な人はじめて見た…しかもこの容姿…ここ男子校じゃ絶対危ない。
「あの、今日からお世話になる黒木優眞です。よろしくお願いします。」
しかもこの転校生礼儀正しいし、俺の容姿見ても媚びすら売ってこない。…やばい、これはきたかも。神様ありがとう!
「俺の名前は鳴沢晴希、これからよろしく!」
俺はこれから一緒に行動しても安心できる相方が出来たことが何より嬉しかった。
―――――
とまあ、転校生とはこんな感じで出会ったんだ。転校生が部屋の片付け終わったあとに、改めて自己紹介したんだけど…訳あって変装してるのは吃驚した。そのときに「念のため確認しときたいんですけど…晴希ってノンケですか?」と聞かれたときは唖然とした。
優眞がホモだったら、俺の貞操が危ない。話聞くうちに腐男子であることがわかって一安心。しかも心に決めた人がいるとかいないとか…まぁその話はまた今度!
優眞を副委員長に任命したのもその容姿から襲われる可能性があったため。風紀となれば簡単に近づく輩もいないでしょ。優眞と過ごしてわかったんだけど、本人は自分の容姿に気づいていない。いや、少しは理解はしてるんだろうけど…。
学園の中でも上位に入るほどの整った容姿。ましてや他の連中とは違って誰とでも普通に接し、一部を除いてだが性格もいい。
うん、ここまでくればわかるでしょ。そうだよ、よく狙われてるんだ。
……これは同情できる。この学園に慣れない間は俺がしっかりして守らなきゃ。
ガラガラ
晴希とたわいもない話をしながら本校舎東側2階にある教室にたどりつきドアを開ける。
「あっ優ちゃんに晴ちゃん!おはよー」
「おはようございます」
「二人ともおはよう」
「おはよう」
入ってそうそう俺達に気付き挨拶してきたのが三宅砂哉と九十九由樹。この二人とは転校初日に仲良くなり一緒に行動している。
砂哉は一般家庭の生まれで、両親はお菓子屋さんを経営している。ミルクティー色の癖っ毛の髪で童顔、男にしては可愛いらしい外見をしていおり、それは街中を歩けばよく女の子かと間違われるほど。性格は明るく友達想い、言動はるで子犬のようで甘いものには目がない。
由樹は九十九財閥の次男。九十九財閥とは日本企業のなかで五本の指に入るほどの大企業。黒髪で眼鏡をかけており、このクラスの学級委員長を務めてる。真面目で頭脳明晰、多少ノリもよくクラスの皆から慕われている。余談だが生徒会に兄がいるらしい。
この二人は中学のときから一緒で仲もよい 。優眞、晴希、砂哉、由樹、今ではこの4人でいることが当たり前の日常となっていた。
「おらー、席つけー」
担任が入ってきたため、皆自分達の席へと戻る。俺の席は窓側の後ろから2番目、前が晴希でその隣の隣の列の一番後ろが由樹、その右斜め前が砂哉だ。みんな近い所にいるので話もしやすい。
「みんな席ついたな、HR始めるぞー」
―――――
「今日は何するんだろうね」
「この前はドッジボールだったから、今回はサッカーかな」
HRが終わり、1,2限が体育のためクラスのみんなは体育着に着替えている。今の季節は5月とはいえだんだんと暑くなりつつある。
今日はサッカー、か。屋外だから汗かくよな…
俺は変装していることを隠しているから、汗でスプレーが落ちないように気を付けている。しかし、そのことを理解してくれるのは晴希しかいない。毎回体育の授業は出席するが汗をかいてスプレーが落ちるのが嫌なので動かない。なので、体育では先生や他の生徒からの評価は低かった。
本当はみんなと一緒にやりたいんだけどね。
「…う…ゃん、優ちゃん!」
「ん、どうした砂哉」
「早く着替えないと置いてくよ~?」
「えっ?」
「…はぁ…優眞、周りを見てみろ」
ふと周りを見渡すとここにいる4人以外誰もいなかった。いつのまにか時間が過ぎていたらしい。…よくあることだ。
「………ごめん、すぐ着替える」
元々、体を動かすことは好きで前の学校では運動部に入っていたほど。この学校にきてからそれさえもままならいため、転校してから未だに体育だけは慣れなかった。
はぁ……憂鬱だ。
久しぶりの学校。
疲れました。