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幸せと幸せの中の違和感

 今までとこれから……


 挨拶と色んな手続きの為に、二人でジェームズの屋敷へ行く事にした。

 何ヶ月かぶりに、ジェームズの家族に挨拶をして、屋敷に置いたままの少しの荷物を持ち出した。

 エリザベスのお腹が思っていたより大きくなっていて驚いた。夏に生まれるのに、春先にこんなに大きかったら夏にはお腹爆発しそう。


 エリザベスは喜んでくれた。良かったねぇって泣き出した時にはジュードの方がもらい泣きした。

 ジェームズ、ジェームズの両親、エリザベスからたくさんのお礼の言葉と、クリストファーとの生活で何か必要な物に使ってくれと、かなりの金額が書かれた小切手を渡された。断ろうとしたが、ジェームズが、君に渡す慰謝料と感謝を込めた物だからと言うので受け取った。

「本当に、辛い目に合わせて申し訳なかった。幸せになってくれ」

 と言うジェームズの言葉に嘘はないと思う。


 パスポートの申請や結婚届出用書類の発行にまだまだかかるので、その間にジュードの実家へも行った。

 母に手紙の事で感謝を伝えると、

「いいのよ、少しは罪滅ぼしになったのなら……本当に、あなたの小さな頃はどうかしてた。ごめんなさい」

「クリストファーの記憶が戻ったのは、母様の手紙のおかげだから。僕はずっとクリストファーが死んだと思っていたし、クリストファーは僕の記憶を無くしていたし。手紙がなかったら、僕たちはもう一度会えなかったんだ」


 書類が揃って、出国前にロザリーにも会いに行った。

 レストランのお休みの日に、会いに行って全員と顔を合わせた。

 ロザリーも涙を流して喜んでくれた。

 サイラスとは離婚した。新しく料理人を募集したら、丁度世界を放浪中のαの料理人がこの街を気に入って暮らしてみたいと応募してきたとかで、採用して、再開後半年でレストランは大盛況なんだそうだ。

 陽気な国から来たエリオは大きな体の快活な男で、見かけの割に繊細な料理で二人をもてなしてくれた。

 アビゲイルはお姉さんっぽくなって、ナサナエルの世話と、エリオの世話をせっせと焼いていた。ナサナエルはジュードを見て、また泣き出してしまった。外見が変わってしまったので驚いたのかも知れない。

「ちがうよ〜、ちがう……」

「髪も目もちょっと変わったけど、ジュードだよ」

「ちがう……わーん……」

 ずっと泣いていたけど、お別れの時には、

「お別れだから、笑顔を見せてよ、お願い」

 って頼むと、ジュードの頬にキスをして笑ってくれた。それから、キリッと真面目な顔になった。ぽやぽやの巻き毛の金髪に濃いブルーの瞳、君はきっとハンサムになるよ。

 

 思い出のホテルに泊まった。顔見知りのスタッフ達は口々におめでとうとか大変だったねと言って労ってくれた。


 最上階の大きな部屋に泊まった二人は、まだまだ体力が戻らず、実は少しの移動でもクタクタだった。


 ジュードは傷はもう表面的には治っている。痛めたり切ったりした組織や筋肉の関係で、左腕は上がらない。時間が経てば、多少回復する可能性はある。

 クリストファーについては、義足と杖で歩けはするが、夕方になると足は浮腫む。一度義足を外したらもう後は車椅子を使わないと移動できない。義足は相当な重さで、切断面はつまんだように肉に覆われているが、まだまだ組織が弱く、柔らかいカバーと厚いフエルトのカバーをしていても、擦れて血が滲むこともある。ただ、これを超えて歩かないと、組織は固くならないとかで、出来るだけ自分で歩くようにしている。

 疲れて眠った時などは、一眠りした夜中に幻肢痛が起きたりして、うなされる。ジュードはなぜかすぐ気がついて、毛布で脚先を形作って撫でた。しばらく撫でると、落ち着くらしく、また眠りに戻る。


 これを機会に、ジュードはハーブや民間医療について勉強を始めた。リハビリやマッサージも。それはこの先お互いを助けると思われた。


 そんな風にして、初めて二人で飛行機に乗ってクリストファーの国に着いたのだった。

 


 

 


 

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