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傷を負うのは俺だけでいい――お前の我儘に付き合ってやるよ  作者: 魔法使いの弟子スオウ
第二章 戻れない道

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ギルド本部長エドマンド

 朝の陽射しで目を覚ますと、隣にミリアが寝ていた。


 こいつの部屋、あるんだけどな……。

 あと、警戒しなさすぎだろ。

 ……少しからかってやろうか?


 俺の隣で無防備に眠る寝顔を見ながら、そんなくだらないことを考えていた。


「ん……」


 眉間に皺を寄せて、ミリアが目を覚ました。


「マックス……おはよ」


「おはよう……じゃなくて、警戒心ってものがないのか? お前は」


 ミリアは口を半開きのまま、きょとんとした。


「え……何を警戒するのよ?」


 ……これだ。


「普通、男の隣に寝るのって、嫌がるもんじゃないのか?」


「何言ってんの? 相手がマックスだし」


 駄目だ、話が噛み合ってない。


「そろそろ起きるぞ、守護者の間へ向かう」


「うん、わかったわ。着替えてくる」


 そう言って、ミリアは自室へと戻っていった。

 まあ、信頼されているんだろ。

 ……そう思いたい。


 ミリアが着替えている間に、俺も着替えを済ませ、朝食がわりに果物をつまんだ。


「あ、ヴァインの実! ずるい! 私も食べる」


 戻ってくるなり、それかよ。

 ミリアがソフィアの魔法道具から、冷えたヴァインの実を取り出して嬉しそうに頬張る。


「すぐ守護者の間に行くから、早めに食べろよ」


「わかってるわよ」


 口をもごもごさせながら答え、そのまま実をどんどん放り込んでいく。


「食べたか?」


「んー」


 口をいっぱいにしたまま、返事をするミリアを見て思わず頬が緩んでしまった。


 ミリアがヴァインの実を飲み込み、口を拭くのを待ってから、守護者の間へと向かった。


 部屋に入ると、すでにリライアンスのメンバーや文官が数人と、クリス、ガイ、ルーサーが揃っていた。


 玉座に座ると、エギルが一歩前に出た。


「サントバールから、面会の打診がありました」


「おお、来たか」


 やはり、エギルの言った通りだった。

 今日にでも使者を派遣して来るだろう。恐らくこちらの味方になるはずだ。


 ……だが、エギルの様子がおかしい。

 焦り……いや、警戒か?


「使者は待たせてあるのか?」


「はい、それが……」


 エギルにしては歯切れの悪い答えだ。

 ……これは、良くない流れだな。なら早く手を打たなければ。


「エギル、ここに連れてきてくれるか?」


「はっ、かしこまりました」


 エギルが部屋を出ていくと、隣にいたミリアが耳打ちしてきた。


「サントバールってギルド本部?」


 俺は頷いて返事をする。


「誰が来るの? ギルド本部長?」


「まさか……来るのは使者だろ」


 ミリアはふーんと言って、後ろに下がる。

 そんなやりとりをしていると、守護者の間の扉が開いた。


 扉の向こうから、場の空気を一変させるほどの圧を纏った男が入ってきた。


「エギル、こちらは?」


 俺がエギルに視線を向けると、男が先に口を開いた。


「リライアンスのマックス。俺とは会ったことがなかったか?」


 こんな男、一度会えば忘れない。


「悪いな、初対面だと思うが?」


 男はふっと笑った。


「サントバール、ギルド本部長エドマンドだ」


 なに? ギルド本部長……使者ではなく本人が来たのか。


「そうか……エドマンド。よく来てくれた」


「ほお、守護者だったか? 板についてきたじゃねえか」


 その発言に怒ったクリスが剣に手をかけた。


「おおっと、待ってくれ。リライアンスがギルドだった時期もあるんだ、少しは多めにみてくれよ」


「マクスウェル様への発言は以後気をつけるように」


 クリスがいつもより明らかに険しい。……こんな顔もするんだな。


「いや、失礼した。今は守護者様だったか……」


「我々はマスターとお呼びしています」


 エギルがフォローを入れる。


「そうか……。ではマスター、本題に入ります」


 エドマンドの顔つきが変わった。さっきまでと姿勢も雰囲気も全然違う。


「我々ギルド本部を含め、サントバールをリライアンスの統治下に置いていただきたい」


「それは、願ってもない話だが。条件は?」


「ギルド本部の運営を私に委ねていただきたい」


 エギルを見ると、目をつぶって頷いている。


「いいだろう、ギルド本部の運営は今後もエドマンドに委ねる」


「ありがとうございます」


「但し、ギルド本部内でリライアンス兵の募集を行ってもらえないだろうか?」


 エドマンドは顔を上げて、目を白黒させている。


「それは……もちろん構いませんよ。私の許可など不要かと」


「いや、運営を委ねると言ったんだ。エドマンドに許可を取らないと駄目だろう?」


 俺が問い返すと、エドマンドは思わず吹き出してしまった。


「いや、失礼。マスターがマクスウェル様で良かった。本気でそう思いましたよ」


「そうか? 募集については、エギルと相談して決めてくれ。職務に戻っていいぞ」


「はっ」


 エドマンドは短く返事をすると、頭を下げて守護者の間を後にした。


「エギル……聞いてないぞ?」


「私もですよ、見事な対応でしたね」


 嬉しそうにエギルが笑っている。

 ……少しは、守護者らしくなってきたのかもしれないな。

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