表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
傷を負うのは俺だけでいい――お前の我儘に付き合ってやるよ  作者: 魔法使いの弟子スオウ
第二章 戻れない道

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/54

王城、開門

「ハマン、君にはこの手紙をギルド本部に届けてもらいたい」


 ハマンは黙って頷くと、ギルド本部に向かって走った。


「カシム、君はリアの側にいてほしい」


 カシムが涙を拭いて頷いた。


「他のみんなは、俺と一緒にレグナート城へ向かう」


 みんなが黙って頷く中、レオンが声を上げた。


「おいおいおい、仲間一人のために本気で国を滅ぼそうっていうのか?」


「そうだ。レオン、君とは出会ったばかりだからついてくる必要はないぞ」


 俺がそう言うと、レオンは短く息を吐いた。


「いや、俺も連れて行ってくれ」


「いいのか?」


 俺に頭を下げて、レオンが続けた。


「是非、あんたのギルドに入りたい。仲間一人のためにみんなが動いている。ルーナちゃん抜きでもあんたのために働きたいぜ」


「わかった、頼むよ」


 顔を上げたレオンがルーナにウインクして見せたが、ルーナは目も合わせない。


「では、どのように攻めるおつもりですか?」


 エギルが俺に尋ねた。


「真っ直ぐだ、城門を破って王の元までいく」


「普通なら無謀というところですが、わかりました。お供いたします」


 全員が頷き、俺たちはギルドホームを後にした。

 レグナート王のいる城へ向かって。




 ギルド本部、本部長室。

 重厚な室内で、椅子に座った威厳のある男が燻り巻に火をつけた。


 突然、ドアがノックされる。


「エドマンド様、伝令が届きました」


「入れ」


 入ってきた男から受け取った伝令に目を通し、エドマンドは呟いた。


「リライアンスか……」


「伝令にはなんと? 至急の用件と伺いましたが」


 エドマンドは燻り巻の煙を吹き出し、眉を下げながら言った。


「リライアンスがレグナート城を攻めるらしい」


「なんと!?」


 燻り巻の灰を灰皿に落とす。


「本部としてはどうしますか?」


「何もしない。王城から要請もないしな。それに、ヘルハウンドを討伐する連中だぞ?」


 伝令を届けた男は言葉を失った。


「これは手を出すなという、やつらからの警告だ」


「そんな……」


「まあ、城が落ちるようなことはあるまい。リライアンスも……今日で終わりだな」


 そう言って、エドマンドは燻り巻の火を消した。




 王城のある首都レグナリスに着いた。

 整備された石畳の上を進んでいく。


 街の人々は、俺たちの物々しい雰囲気に、道の端へと静かに退いていく。


 城門に着くと、門兵が声をかけてきた。


「止まれ! ここをどこだと思っているんだ」


「開けろ」


「何を……?」


 門兵が聞き返す間も与えず、ザックが山穿やぜんで城門を破壊した。


「貴様ら!」


 ザックは、剣を抜いた兵士を返しの一撃で薙ぎ倒した。


「止まれ!」


 城門の上から弓を引いた兵士が顔を出した。

 乾いた音が二つ。

 弓を引いた兵士は反り返るように倒れた。


「狙撃も正確ね」


 ソフィアがそう言うと、アスペンが力強く返した。


「ええ、外れる気がしません」


 レオンが口笛でアスペンの腕を讃えた。

 アスペンは小さく肩をすくめてみせた。


 門扉が破壊された音に城内は騒然とした。


「行くか?」


「いや、待て」


 ザックの問いかけに短く答える。

 あっという間に城門の前に数百の兵士が揃った。


「貴様ら! 生きて帰れると思うなよ」


 隊長らしき男が怒号を上げる。


「ミリア」


 声をかけると、ミリアは指輪に集中した。

 兵士たちが身構えた。


 少しの間があり、兵士たちの真ん中に小さな種火が現れる。


 種火が渦巻き始める。

 ――次の瞬間だった。


 ミリアの怒りで燃え上がった炎の竜巻は、数百の兵士を塵へと変えた。

 煙と焼けた肉の臭いが立ち込める。

 誰一人、声を上げなかった。


 次の瞬間、首に衝撃が走った。

 死の恐怖を感じながらも、俺はどこか落ち着いていた。

 アヴェンジスケールが燃えるように赤くなった。


 ミリアの首を掻き切ったはずのアサシンが呆然としていた。


「さすが王城だな、アサシンも一流だ」


 俺はそう言って、アヴェンジスケールでアサシンの首を刎ねた。


 背後で怒号が上がる。

 俺たちを追い詰めるように、城外から兵士が迫ってきた。


 レオンの騎馬隊が、そこに横槍を入れた。

 横槍で混乱する兵士たちの声がする。


「さあ、進むぞ」


 俺たちは城内へと向かった。


 城内へと続く大門の前で、屈強な兵士が待ち構えていた。


「俺はイーサン、傭兵隊の隊長だ」


「そうか、イーサン。何の用だ?」


「てめえら、俺の部下まで塵にしやがって」


 怒りに震えるイーサンが剣を抜いた。


「マックス」


「ああ」


 ザックに声をかけられ、俺たちはイーサンの横を素通りする。


「待て!」


 振り向こうとしたイーサンの肩を、ザックが、がっしりと掴んだ。


 振り返らない。

 もう、その必要もない。

 広い廊下に、俺たちの足音だけが響いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ