第8話 権能使って「あたしTUEEE !!」します!
お待たせいたしました!
最新話です!
今話より、ギフトなどの大きな力を【】で、統合能力や通常のスキルなどを『』で表す仕様に変更いたしました。
「そんな………嘘でしょ!? ギフトを与えられてまだ1日くらいしか経ってないのに、もう権能に進化したの? ありえないでしょ!?」
「いや、ありえないとか言われても、実際に進化しちゃったんですよ。あなたの大罪をあたしが使えてることが、その証拠になりませんか?」
「ウグッ………!!」
まぁ、ギフトが権能に進化したって知った時は、あたしもびっくりしたけどね。あ、因みに権能ってのは、調べるとこう出てくる。
・権能
ギフトの進化系。
所有者の強い思いに反応して、与えられた神の魂の欠片が所有者の魂と完全に融合し、その際に発生する膨大なエネルギーを吸収することで権能に進化する。ギフトと比べて力が数段上昇しており、対抗手段は限られる。
さっきあたしが慟哭を上げた時、【厄災箱】と【戦神】があたしの想いに応えてくれたみたいでね。ギフトから権能に進化して、統合能力の性能が格段に上昇したんだ。ついでに新しい統合能力も加わったみたいだけど、それはまた後で。ともかく、進化したお陰で【傲慢】を『鑑定眼』で見られるようになったから、早速見てみたらこう出てきた。
・大罪【傲慢】
統合能力:【傲慢ノ意志・能力模倣】
【傲慢ノ意志】
………傲慢なる意志の力を付与し、外からの干渉を受け付けなくなる。
【能力模倣】
………1度見た相手の技やスキル、ギフトまでも模倣して保存し、以降自身の力と
して使える。ただし、出力は8割に下がる。
保存されている力
・大罪
【暴食・憤怒・嫉妬 etc……】
・ギフト
【即死魔眼・絶対切断・氷獄世界 etc……】
・スキル
【獄炎・空間断裂・竜魔息吹・吸魂・再生修復 etc……】
どう? 中々に強いでしょ? 特に『能力模倣』なんて、劣化版とは言えあたしの『武芸百般』と同じだし。何なら保存してる能力の数はざっと見て100は越えてる。手数の多さではあちらの方が圧倒的に上だ。でもまぁ、1度見えちゃえば【戦神】にコピペして、あたしも使えるように出来るからね。後は戦いながら慣らしていけば良いさ。
「一応聞きます。ここで降参する気はありますか?」
「はっ、冗談。いくら権能を手にしたとは言え、まだ全然使えてないでしょ? だったらまだ勝機はある!」
そう叫んで、アネリルスさんは長剣を手に突っ込んで来た。上段からの袈裟懸けの構え。今のあたしには止まって見えるから避けるのは簡単だけど、今回は敢えて迎え撃つことにする。
「”災禍魔槍”」
あたしの右手に、穂先まで真っ黒な槍が姿を現す。それをあたしとアネリルスさんの間に滑り込ませて、あたしはアネリルスさんの攻撃を受け止めた。
「ふふふ、やっぱり槍がしっくりくるね」
「ッ!? 黒い槍? アンタ剣士じゃないの?」
「少しは使えますけど、本命は槍です。さっきまでは双剣しか使えなかったからそうしてましたけど、もうその必要も無くなったんで、ね!」
「ッ!!!」
あたしが災禍魔槍を突き出すと、その穂先から熱線が噴き出す。アネリルスさんは大慌てで回避行動を取った。直撃は免れたみたいだけど、僅かに遅れて背中が焼け焦げていた。
「グッ………! バカな! 槍から『竜魔息吹』が出てくるなんて!?」
「これも権能に進化したお陰です」
【厄災箱】には新しい統合能力が3つ加わっている。その内の1つ『厄災融合』は、複数の "複製厄災" を組み合わせた新たな厄災 "複合厄災" を作り出せる。これに2つ目の新しい統合能力『厄災変化』を使えば、厄災を好きな形にして顕現させることが出来る。もちろん、”災禍の双剣” と『竜魔息吹』を融合させて、黒い槍として顕現させることもね。
「次は外しませんよ」
「………やってみろ!」
突然、アネリルスさんの姿が消失した。何の前触れもなく、一瞬で。流石に闘技場のどこかにはいると思うけど、いったいどこに?
(―――っ!!)
背中から強烈な悪寒がして、反射的に振り返りつつ災禍魔槍を振りぬくと、刃状になっている槍の穂先がアネリルスさんの胴体を切り裂いていた。
「グァッ!! な、何で!?」
「気配の消し方が雑すぎるんですよ。それと、お返しです!」
「ッ!!」
空中で身動きの取れないアネリルスさんに向けて、災禍魔槍から『竜魔息吹』を放つ。今度こそ『竜魔息吹』は命中して、アネリルスさんは全身に火傷を負った。
「『再生修復』………!」
おっと、そうだった。さっき使って模倣されちゃったんだった。アネリルスさんの火傷がみるみる内に治っていく。再生能力自体は元から持ってたみたいだけど、それがさらに強化されてる感じだね。
「こ、こうなったら、対 ”怪物” 用に開発した、新奥義でぶっ飛ばしてやる!」
え、そんなのあったの?
………なら最初からそれ使えば良かったんじゃないの?
「アタシと "レーヴァテイン" の全力の前に散れ!!」
アネリルスさんのエネルギーが急激に上昇し始める。どうやら『破滅怒気』を全身に巡らせて、自分を強化してるみたいだ。でも、それだけじゃない。
アネリルスさんの『破滅怒気』が、長剣にも宿り始める。それどころか、アネリルスさんが持つありとあらゆるスキル、ギフト、大罪の力が次々と付与されていく。
ちょいちょい、勘弁してよ。アネリルスさんも強敵だけど、あの長剣だって素で相当ヤバいんだから。
・神炎剣レーヴァテイン
武具ランク:神話級
描画領域:【滅獄炎】
・【滅獄炎】
対象の存在そのものを焼き付くす地獄の業火。
これが長剣を見て手に入った情報。神話級や描画領域は良く分かんないけど、
【滅獄炎】がヤバいことだけは間違いない。権能で強化された『武芸百般』を使っても、未だにその力を獲得出来てないのがその証拠だ。そんなヤバい能力に加えて、あんな大量のスキルやら何やらが付与されたらどうなるか――――待って。だったら同じ事をやれば良いんだ! さっきアネリルスさんを見た時に、能力付与の技も習得してる。だったらあたしも、災禍魔槍に能力を付与してやれば良いんだよ!
「ふぅぅ………」
あたしは災禍魔槍を構え直して、集中モードに入る。
能力の付与には割と時間が掛かった。武器に力を与えること自体は簡単だけど、それを武器に馴染ませるのが中々大変なんだ。なのにアネリルスさんってば、優に100を超える能力をいとも簡単に付与している。これに関しては、アネリルスさんの方があたしより遥かに上みたいだね。
でも充分だ。これでもうアネリルスさんの奥義も怖くない。
「チッ、平然と同じ技を使ってくれちゃって」
「その言葉そっくりお返ししますよ」
「減らず口を! 奥義、”神滅炎獄斬” !!」
アネリルスさんがレーヴァテインを上段から振り下ろして、炎の斬撃を飛ばして来た。最初のそれとはまるで違う。この闘技場そのものを焼き尽くさんとする熱量を秘めた一撃。本気であたしを殺すつもりだ。
でも、もちろんこのまま死ぬつもりはない。あたしは体勢を低くして、炎の斬撃に向かって災禍魔槍を突き出す。そして、斬撃を一刺しした途端、槍に吸い込まれるように斬撃が消えた。
「………へ?」
ちょっと間抜けな声を上げて、アネリルスさんが愕然とした表情をした。一生懸命考えて作り出した奥義をこんな簡単に消されちゃったら、そりゃそんな顔にもなるよね……。でも、ここでそれをやるのは命取りだ。それを見逃してあげる程、あたしは甘くないからね。ってなわけで、槍を突き出した姿勢のまま、災禍魔槍の穂先から ”神滅炎獄斬” を撃ち出す。
「ッ!!」
だけど、アネリルスさんも甘くない。斬撃が当たる直前にレーヴァテインを滑り込ませて、直撃を回避してみせた。
「ムキーーー!! 飛ばすんじゃなかった!!」
あらあら、『ムキーーー!!』とか言い出しちゃったよ。可愛い所見せてくれちゃって。フォルと言い、アネリルスさんと言い、ギャップ萌え狙いが流行ってるわけ? ……なんて呑気なこと言ってる場合じゃない。アネリルスさんが、レーヴァテインを低く構えて突撃してきた。肉薄して、『厄災収納』の隙を狙うつもりみたいだ。
「ちっ!」
思わず舌打ちしちゃったけど、そんなことやってる時間も惜しいからさっさと災禍魔槍を構えて、横なぎに振るわれたアネリルスさんの一撃を受け止めた。
「「!!!?」」
その次の瞬間、あたし達は2人揃って絶句した。災禍魔槍に触れた途端、レーヴァテインがその場から消失したからだ。
「はぁ………? え、嘘。どこ? どこ行ったのレーヴァテイン!?」
「あ~~………あたしが収納しちゃったみたいです」
『厄災収納』の力が増したお陰で、さっきまでは収納できなかったレーヴァテインも、今じゃ簡単に収納できるみたい。つまり、災禍魔槍に触れた途端に『厄災収納』が発動して、レーヴァテインは収納されちゃったわけだ。これは流石に想定してなかったよ。
「ふ、ふざけるな! いくら権能でも、神話級のレーヴァテインに干渉できるわけがない!」
「いや本当なんですって。証拠もありますよ。『厄災融合』」
「ッ!!?」
あたしは災禍魔槍に、レーヴァテインの "複製厄災" を融合する。黒かった槍が真紅に染まって、力が大きく上昇する。極めつけに槍の穂先に【滅獄炎】を灯してみせると、アネリルスさんはその場にペタンと座り込んでしまった。
「そ、そんな………"怪物" ですらレーヴァテインには干渉できなかったのに………」
え、本当? ってことはあたし、"怪物" にも出来なかった事が出来ちゃったわけ?
それなら―――――
「これであたしの事、認めてもらえますか?」
「………そうだね。能力は悉く通用せず、切り札のレーヴァテインも奪われちゃったもんね。………アタシの完敗だよ」
こうしてアネリルスさんとの決闘は、あたしの勝利で幕を閉じた。




