『再誕編 ― 第2話 目覚め ― 四つの影、再び交わる』
『再誕編 ― 第2話 目覚め ― 四つの影、再び交わる』
夜が明ける。だが、それは人の朝ではない。
四つの意思が再び共鳴し始める、神々の夜明けだ。
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一 知の残響
一ノ瀬遥は、夢を見ていた。
果てしない図書館。
棚が無限に続き、誰かの声が囁く。
「忘れたのか。」
「知ることを恐れたのは、あなた自身だ。」
目を覚ますと、机の上のノートが勝手に開かれていた。
最後のページに、彼の知らぬ文字が浮かんでいる。
『記憶は封じられていない。おまえが鍵を閉めただけだ。』
彼の心臓が跳ねた。
そして、微かに世界が歪んだ。
カフェの時計の針が一瞬だけ逆に回る。
「……今の、何だ?」
遥の中で、“全知”の力が目覚め始めていた。
知覚が過去と未来の境界を越えたのだ。
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二 創造の疼き
久遠ミサトは、夜通し絵を描いていた。
完成しないキャンバス。
けれど今夜だけは違った。
筆が勝手に動き出す。
彼女の手が動かしているのではない。
“何か”が彼女を導いている。
白いキャンバスの上に浮かび上がったのは、
見たこともない四つの光――青、紅、金、白。
その中央に、ひとつの人影。
「……これは、私じゃない。
でも、私の中に“いる”人。」
彼女の周囲の空気が震え、
絵の具が光の粒へと変わった。
“全能”が眠りから覚め、
創造の衝動が現実を侵食し始めた。
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三 律の揺らぎ
真田公紀は、判決文の中に矛盾を見つけていた。
法律にも、正義にも、説明できない“違和感”。
その瞬間、彼の目の前のページが――燃えた。
火ではない。
光のような、記憶のようなものが文字を喰い尽くした。
そして、脳裏に誰かの声が響いた。
「正義とは、選ばれぬ者の涙を知ること。」
胸が熱くなり、視界が霞む。
その涙が落ちたとき、彼は悟った。
「これは罰ではない……赦しだ。」
“全善”の律が揺れ、
人間としての彼の枠を超え始めていた。
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四 愛の目覚め
天音ソラは、園児たちと遊んでいた。
一人の子が転び、膝を擦りむく。
血が滲む。泣き声。
彼女は膝を抱き寄せ、手のひらを当てた。
「痛いの痛いの、飛んでけ。」
ありふれた言葉。
だがその瞬間、子どもの傷が――本当に消えた。
周囲の教師たちは気づかない。
けれど彼女だけが震えていた。
「何……これ……?」
掌から、柔らかな光が滲んでいる。
それは“全愛”の力――痛みを抱き取り、癒す力。
彼女はただ、そっと涙をこぼした。
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五 四つの鼓動
同じ時間、同じ空の下で。
遥は言葉を書き、
ミサトは絵を描き、
公紀は涙を拭い、
ソラは空を見上げた。
それぞれの胸の奥で、
四つの鼓動が、まったく同じリズムで鳴り始めた。
「知が呼ぶ。」
「力が応える。」
「律が目覚める。」
「愛が包む。」
彼らはまだ互いを知らない。
けれど運命は、すでに螺旋を描き始めていた。
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終章 再誕の序曲
夜の終わり、朝焼けが街を染める。
遠く、教会の鐘が鳴った。
その音に呼応するように、
四人の瞳が一瞬だけ光る。
彼らの中に眠る神の欠片が、
再び世界の中心へと動き出した。
「この時代で、もう一度――会おう。」
声の主は、まだ誰も知らない。
だが確かに、始まった。
神々の再誕は、すでに現実の中で動いている。




