─6─ 旅支度は色々思い出すことがある
こんにちは、もしくはこんばんは。
UrANoです。
私の執筆速度は1時間=1700文字満たないくらいです。3000文字目標にしています。
神父様のムードの全く無い発言があったものの、旅の支度は順調に進んだ。
リアさん曰く着替えはたくさんあるに越したことはないと教えてくれたので、色々入れた。そもそもあまり服を持っていないので現地で買うのもありだろう。国の伝統的な刺繍があしらわれた服……本で見ただけなので実際の着心地や発色が気になる。
グランオニーチャンが作ったバッグはかなり色々入るので遠慮なく詰め込む。それでも重さを感じない。神具に似た何かを感じる。
これで商売ができそう……(色んな意味で)。
色々な物をバッグに詰め込む。
その中には写真もある。とてもボヤけてるけど。
撮った人の腕が……という訳ではなく、『葬送者』は鏡や写真に映らない。鏡は本当に全く映らないので服が浮いている様にしか見えない。写真は物凄くボヤける。
ちなみに私が初めて自分の見た目を認識したのは水面に反射して見えた姿だったが、その時ですらボヤけていた。目が慣れてなかったのもあるかもしれないけど。
それでも自分の瞳の色がハッキリわかったのは色が濃かったからだ。今まで会ったことのある『葬送者』は全員瞳の色が薄かった。といっても神父様とグランオニーチャン、そして半年だけ一緒に暮らしていたルヴァンくんしか知らないけど。
神父様に聞いたところ今までここで生まれた『葬送者』に瞳の濃い者はいないとの事。
コンコンコン。
「クレア、準備は順調か?」
神父様が部屋に来たようだ。そんなに私が支度苦手だと思ってるのかな。物突っ込めばいいんだよね? よゆーよゆー。
「順調に進んでますよー。どうぞー」
「私には散らかってる物を入れているようにしか見えないが……気の所為か?」
散らかってるといってもだいたい本ですし、著者順にまとめてるだけですぅ。
約千冊あるんだから整理するの大変なんだよー。
実は私本読むの結構早いんだよね。もちろん全部内容は覚えてるけど何度も読む事によって新しい発見とかあるから本読むのは楽しい。
本はこの1年『葬送者』としての仕事─「魂の暴走」に侵された動植物の浄化の手伝いや、教会の帳簿記入─あと何故か勉強が人並み以上にできていたので小さい子に教えたりした時の報酬として貰ったお金で買っている。教会には私達『葬送者』やリアさん以外にも数名人がいる。神父様が拾ってきた孤児らしい。
ちなみに私の授業は結構わかりやすいと評判が良かった。
「教え子達への別れはどうするんだ?」
人数が多くないとはいえ教え子に何も言わず旅に出るのは確かによろしくない。
少し考える。
「うーん、一つ課題でも出そうかなって思ってます」
「ほぅ。いつ戻ってくるか分からないがいいのか?」
「成長したところをみせてもらう、とか」
「なるほどな。それはいい案だ。……明日授業をしてから旅立つという日程になりそうだな。クレア、私から君に個人的に課題を与えよう。君も私にとっては教え子のようなものだからな」
え、神父様の課題? 絶対難しいやつだ……。さっきから持ってる真っ白な本に何か書いてあるんだろうな……。例えば習ってない『奇跡』を使う時の陣とか?
神父様は予想通り真っ白な本を差し出す。ペラペラと捲ってみる。あれ? 何も書いてない。
ペラペラペラペラ、ペラペラ…………ペラペラ……………………。なんか本の厚さに対してページ多くない?
パタン。
本を閉じる。そして神父様はインクと万年筆をその上に置く。
「冒険記みたいなものだ。自分が感じた事等を書くと良い。ボトルにマナを流し込めばインクになり文字が書ける。ちなみにページはほぼ無限に続いているからこれ1冊で済むぞ」
たしかにせっかく旅に出るんだから物語みたいな感じで日記をつけるのもありだ。
「さすが神父様。神具作ったりページ無限増殖の本作ったり…………」
「あ、本を作ったのはグランだ。ペンとインクは私だが。ちなみに考えたのはシスターティアマトだ」
なんと3人が合作で作ってくれたものらしい。私の為に作ってくれたのだ。これは宝物だ。とても嬉しい。……んだけど。
「これ絶対アーティファクト級の、ほぼ国宝レベルの物ですよね………………」
「………………そうだな。神具も国宝レベルの物だがな」
ネクタイに付いてる宝石に触れる。これは神具に付いていたやつだ。私の神具はかなり大きく持ち運びにくいのでマナを流し込んでサイズを変えている。
確かに気にしてなかったけどマナで形が自在に変わるのって物理法則無視してるもんね。そもそも『奇跡』とか「魔法」も物理法則無視してた。無から有を生み出すし。マナが消費されるとはいえ物質自体は存在していない。
いや、存在はしているが事象を発動するには「足りない」の方が正しい。水を生成する『奇跡』を例にあげよう。空気中に水は存在する。しかし私の手が届く範囲の空気から水を集めても、せいぜいコップ1割分くらいしか集まらない。それが「魔法」や『奇跡』だと一瞬でコップを満たすどころか壊す事ができるくらいの量を、一瞬で出す事ができる。不思議だなぁ。
そういえば『奇跡』を使うときに精霊を使役するとか言ってるけど、精霊を見た事一度もないなぁ。
多分『葬送者』って「魔法」を使うことができると思うけど、自分自身がマナで出来てるから危ないってことで媒介として精霊の力を借りてるのかな。
「『奇跡』ってよく分からないなぁ……」
「分からないから『奇跡』と呼ぶのだろう。分かっているのは『葬送者』のみが使えることと、「魔法」と違って「魂の暴走」に侵された人間を浄化することができる……くらいだ」
私達は神様じゃない。なのに『奇跡』という名でいいのだろうか。まるで1+1=2という式は解けるのに証明の方法が分からない、に近い。何事も証明するには積み重ねが大切だ。今後の旅で知っていけたらいいな。
今は式としてしか分からない『奇跡』も旅をしていくにつれ証明できるはず! この前読んだ本にはこう書いてあった。
「この世界で起こった出来事は万物問わず全て証明する事ができる。「偶然」も「奇跡」も確率で現すと、とてつもなく低い。しかし実際に起きている現象に名が付いている。即ち、いつかそれらの証明をできる日も来るだろう」
ならば無限に続くこの本に相応しい私なりの考えをまとめてみよう。
「神父様! 私、この本に色々な事を書きます! 次会う時に絶対驚きますよ! 覚悟してくださいね!」
「それは楽しみだな。……あまり根を詰めすぎないようにな。それと早く寝るんだぞ」
「はーい」
明日はこの教会を出て旅を始める最初の日だ。
緊張と、それを超えるワクワクした気持ちが収まる気配はしない。
その日はよく眠れなかったが、スッキリとした気持ちで目を覚ますことができた。
ここまで読んで下さりありがとうございます。
最近腱鞘炎になりかけて来た気がします。
定期的に休憩しつつ書きたいですね。