─6─ 疲れを癒してぇ……
こんにちは、もしくはこんばんは。
UrANoです。
イタリア料理が食べれる某ファミリーレストランに行きたいです。間違い探しはエンジョイ勢です。
結論から言おう。
珈琲がものすごく美味しかった。豆も買った。
会計は3,200ディーチェだった。豆を含めると8,000ディーチェだったが。
「安すぎです」
店を出たあと、私は呟く。
腕に抱えた猫さんは「にゃ」と相槌を打つように鳴く。もしくは気にし過ぎだと言っているのだろうか。
料理の出来が良いのにこんなに安いのはおかしい……と言っているのだと思っているのだろうか。
そうでは無い。
水を輸入しなければ使えないのに、一番物価があがるはずの……上げても観光客がいる限り潰えることは無い「飲食店」でこの値段なのだ。
正直靴の五倍の値段だと思っていたのだが、むしろ安かった。豆も安かった。
これは私が金貨を沢山所持しているから言えた事……ではない。謎は増えるばかりだ。
目前の謎に目を向ける。
タオルに包まれたまま、出ようとしない猫さん。他のケァロースとは違い、マナを吐き出してしまう事があるので知能指数が他の個体よりも低いと聞いていたが。
他の個体よりも保有しているマナが多いので吐き出しているだけのように思う。器が耐えきれていないのだろう。私が抱いている間は特に問題は無さそうに思う。『葬送者』はマナが動力源なので無意識に空気中にあるマナを微弱ながら吸収している。
猫さんのマナも触れている間は少しずつ吸収する事ができるようだ。それを理解しているのか猫さんは私が下ろそうとすると少し暴れる。
他の人のケァロースはこのような反応はしていない。というかそもそもケァロースは案内する人の足元を歩いているだけだ。
「……この猫さん、本当に同じケァロースなんですかね」
先程ケァロースが観光客を水路に浮かせながら歩く所を見かけたのでそれに似た『奇跡』で誤魔化す事ができる。遠くだって見渡せるのでそこまで困る事はない。
元々一人で観光する予定だったが、この子には他のケァロースと違い意思が強く現れているように思う。
話し相手がいるようで割と嬉しいのだ。きっとあの時他のケァロースを選んでいたらそうはならなかっただろう。……無表情で観光地を案内するケァロースを見ながら思った。
さて、ご飯も食べた。観光するにはまず宿を探しておく必要がある。カバンに色々詰めているとはいえ、身軽な状態で街を歩きたい。それに泊まるところは早めに決めた方がいいだろう。時間的にチェックアウトする人もちらほらいる様だし部屋は空いているだろう。
とりあえず一週間くらい泊まろっと。
――これは金貨があるからできる行為で……ある。
「……そういう事かぁ」
私は即席で用意した財布を握りながら呟く。中身は全てこの国のお金だ。
「七泊八日ですと……660,000リーチェとなりますけど……」
先程の問題がひとつ解決したのだ。それもとても簡単な方法で。一瞬のことだった。
そこで金取るんかい……と。
後で分かった事だが、先程伺った喫茶店の運営はどこかのホテルが執り行っているらしい。なので売上はホテルと統合される。そしてそのお店で出された料理はホテルの料理の一部である。
つまりホテルがわざわざ飲食店を別で構える理由は……料理でお客を釣る為、という訳だ。なので安めに料理を提供する事が出来たのか。
ここで沢山取れるから。
現在財布の中に入っているのは……20,800ディーチェだ。フロントのお姉さんは少し困り顔だ。
もしかして普通は一泊なのだろうか。
「……あの、ここって金貨使えますか?」
「あ、使えますよ」
コロリと態度を変え、ニコニコしていた。おそらく私があまり金を持っていないのだと思っていたのだろう。まあいい。
ここで金貨で払えばそのお釣りで不自由なく観光ができるだろう。
金貨一枚で1,080,000ディーチェの価値があるのだ。お釣りが420,000ディーチェ。所持金と合わせてこの国の硬貨は440,800ディーチェ所持していることになる。滞在するには十分だろう。
支払いを終え、部屋へ案内される。割と高い部屋(高度)を選んだのでそれで値段が少し高かったのだろうか。フロントのお姉さんは金貨に特に驚いていないように見えたので、靴屋さんや先程の喫茶店には金貨、銀貨はあまり流通していないのだろう。宿で硬貨を変えることができるから。
思えば靴も、国の水の特性を知っていたら事前に買っているだろうし。なるほどなるほど……。
うん。高いね。
どこか別の所でも変に高いところがあるかもしれない……。しかし猫さんの体調とかもあるし最近疲れっぱなしだし、ゆっくり休むとしよう。どうやら夕飯はビュッフェ形式で十八時から二十時までの間なら好きな時間に食べる事ができるようだ。現在十六時過ぎだが、先程お昼を食べたばかりなので少し休みつつ適当な時間になったら頂くとしよう。
カリカリ……。と紙の上を万年筆が引っかかっる音が部屋に響く。
休むといってもあまりやる事がないので、日記を書いている。カーテンを開いた窓から見えるのは、血管のように張り巡らせられた水路がある街だ。……そしてその水路のひとつに落ちた。
服はしまう時に『奇跡』で水分を飛ばしたので問題はない。ちなみに靴も同様の処置を行った。ふたつ買っておいてよかった。
今日あったことを日記に綴る。
まだ今日は終わっていないが、これ以上の非日常は起こらないはずだ。そして起こらないで欲しい。
書くのは別にいいが、全く休めないのだ。
ベッドを陣取っている猫さん……ケァロースを見る。
夢見が悪いのか少し具合が悪そうだ。流石にベッドに吐瀉物を……いや、アレ水だからいいのかな。一応バスタオル敷いておこう。
備え付けのお風呂からバスタオルを引っ張って猫さんを上に乗せる。
ビュッフェのところにケァロースは連れていかなくていいらしい。先程確認したので確実だ。
そしてケァロースは食事を必要としないらしい。テオリアの水にはマナが含まれていてそれを食事としているからとの事。
「猫さん、私はご飯を食べに行きますね……」
ここでケァロースを食事の場に連れて行く人はいないらしい。しかしこの子は先程の喫茶店で食べ物に興味を持っていた。しかし食べようとはしなかった。
お部屋に少し持ち帰ってもいいなら猫さんが食べれそうなものを持って行こう。
そう思い、部屋を出た。
なので私は小さな異変に気がつくことはなかったのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。
表面張力調べてたら水中にシャボン玉作る実験が出てきました。乳化を調べたらマヨネーズが出てきました。




