表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鼓動が聴こえる、その時まで  作者: UrANo
我々は尺度を知らない
32/44

─20─ たとえそれが間違いだとしても

こんにちは、もしくはこんばんは。

UrANoです。


人生で初めて作ったオリキャラはねずみのキャラです。小一の頃でしたね。

今はオリキャラ百は超えてるはずなので「オリキャラ全員描いて」は軽く地獄です。

 ……ことができなかった。 

 それは精神的な理由からであった。

 吸血鬼の、リュミエール(お姉ちゃん)の体温によって少しだけ温かくなる左手。

 

 もう、会えないんだな。


 今更である。吸血鬼になった時点で姉としての人格は歪んで無くなってしまった。だから()()はお姉ちゃんじゃない。似ているだけの別人だ。

 僕が――を捨てたように、この人も「リュミエール」と名乗っているのだから。


 頭では、わかっている。


 先程の戦いのせいだ。

 過去の閉じ込めていた記憶が、お姉ちゃんとのたった十年にも満たない記憶。

 吸血鬼としてこの地にいる時間の方が圧倒的に長い。


 お姉ちゃんはとても優しかった。

 頭を撫でてくれるし、たまに頬ずりしてきたりしたけど……。分からないところはちゃんと教えてくれる。ダメな事をしたらちゃんと叱ってくれる。……僕はお姉ちゃんが大好きだった。


 だけど……。

 優しかったお姉ちゃんが、吸血鬼になった途端に襲いかかってきた。必死になって逃げた。

 沢山人を殺すところを見た。僕の事を撫でてくれたその腕で、僕の友達の首を折る瞬間を見た。

 頬ずりしてきたその頬には赤い血が滴る。


 人を愛していたお姉ちゃんが、人の命を眉ひとつ動かさずに殺して血を啜る。

 僕はそれを遠くから見る事しかできなかった。止めることができなかった。知ってる人も知らない人もお姉ちゃんによって21グラムを奪われる。


 吸血鬼を、恨んだ。

 たくさんの人を殺した。人の命を弄んだ。支配した。尊厳を破壊した。

 ……だから、殺す。


 そう、思っていたのに。


 手が動かない。

 吸血鬼の顔はあの頃のお姉ちゃんと()()()()()

 だから、動揺してしまった。温かい体温が、偽りだとわかっていても僕にはそれを摘み取る事ができない。


 たとえ姿形、性格が変わっても、暴力を振るわれても……それでも僕は貴女を愛していた記憶を忘れない。


 それが「呪い」の根源だったから。

 心の中では殺したいなんて()()()()()()()()()()()。それを自覚したくなかった。

 

 攻撃を無効化できるのは「これ以上貴女が人を傷つけるところを見たくない」……その思いだけだ。村や人を隠匿するための「呪い」も、ただそのひとつの思いで発動している。

 そこに「貴女を殺したい」という意思がないのは誰でも解る事だろう。


 ここに来るまでずっと「殺す」と言っていた。それは自己暗示だ。本当は殺したいだなんて思っていない。殺したくない。アレはお姉ちゃんじゃないってわかっていても割り切れない。僕はあの家の()()――を捨てたと言いつつ家から追い出されていない。


 ――はあの家の住人でメイヴン・アトライアは()()()()()()()。それが答えだ。

 僕にとってこの吸血鬼は忌々しいが、それと同時にお姉ちゃんなのだ。


 ――僕には彼女を殺せない。


 だから拘束をする。

 一生動かないように。

「貴女が……人を愛した貴女が、人を傷つける事がないように」


 首を絞める予定だった手が離れる。

 嫌だ。

 指が離れていく度に、冷たい空気がお姉ちゃんの体温を奪っていく。

 もう()()()()のに、それすらも奪うのか。


 僕はお姉ちゃんを()()()()()()言う。

 指は全て離れてしまった。彼女に見せる最期の風景が決まった。だから()()()()()()()()()()()()()


「……確か、この、花 が好き、だって……言ってたっ……け」


 状況が分からないクレアは動けずに神具を構えていた。連鎖して爆発……の可能性が捨てられなかったからだ。そんな事になったら村は更地になってしまう。それに今も逃げている村人の所まで攻撃が届いてしまうかもしれない。その為……下手に動けないのだ。


 しかし戦況は突然変わった。

 槍がメイヴンさんを中心に槍が塵に……いや、これは、花弁?

 薄い桃色を差したような白い花弁が風に舞う。

 それを夜空の星々が淡く照らす。


 そして見えた先には、ボロボロのメイヴンさんと吸血鬼がいた。

 メイヴンさんはニコリと()()

 

「拘束、しか できない」


 そして小さな土煙。


 彼女が拘束しているからか吸血鬼は動けないようだ。いつの間にか私の口を塞いでいた「呪い」も無くなっている。


 やっとこちらのターンということだろう。

 先程まで「呪い」に振り回されていい所を奪われた感がある。

 私は夜の蔓延りを『奇跡』によって浄化する『葬送者』だ。


 ……問題があるとするなら。

 浄化方法が分からない、という一点のみ。今一番必要な能力なのにそれを発現する方法が分からないのだ。さて困った。

 メイヴンさんが敵を拘束してくれているおかげで考える時間ができた。ならその間に早く方法を探さなければ。


 ぐるぐると考えが頭を反芻する。しかし噛んでも出てくる情報は浄化に使えないものばかり。『奇跡』による攻撃ではいけない。()()のだ。

 

 ――今放つのは『奇跡』ではなく『浄化』の為の『奇跡』だ。


 だから『奇跡』は正しく奇跡である。それと同時に『浄化』ではない。似ているように聞こえるが、メイヴンさんの使う「呪い」の方が近い。

 では浄化とは何だ?


 ……そうだ。私はあの吸血鬼しかみていなかった。だから倒すと、言った。そこから違ったんだ。


 ――浄化は、場を清める。


 それだけでいいんだ。だから覚える事がない。


「メイヴンさん。私で()()()()()()()


 彼女の表情は見えない。彼女の最初の作戦は、私が村人の避難誘導で彼女が吸血鬼を倒すというものだった。彼女はこの吸血鬼を倒す事にこだわっていたように思う。理由は分からないが。

 だから言う。事情を知らない人()でいいのか、と。

 

「……頼む」


 小さな声が聞こえた。

 ならばその祈りに答える。『葬送者』として、あの吸血鬼を送り届ける。


「はい! わかりま


ここまで読んで下さりありがとうございます。


噛めば噛むほど味が出る。という表現が結構好きなんですよね。日本語って面白いですよね。まぁ私UrANoは国語の成績、割と終わってましたけど。


あ、次挿絵ありです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ