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鼓動が聴こえる、その時まで  作者: UrANo
立つ鳥跡を濁さずと言うが、実行するのは難しい
3/44

─1─ 備品破壊罪⇨説教n時間コース?

こんにちは、もしくはこんばんは。

UrANoです。

本編が始まりました。


 ドンガラガッシャーン!


 本日も素晴らしくめんどくさい音が鳴っている。そう、()()は教会の床が抜けて()()その近くにあった花瓶が割れて落ちる音だ。

 そしてその音を発生させた張本人こと私、クレイニアム・アンダーリビオンもといクレアは察した。この後起こる事を。


 回避するには逃げるしかない。180度回転し、……固まる。

 そこには既に逆光で表情が見えない神父様が立っていたのだ。神父という職に就いているが、二十代後半くらいの見た目をしている。


「……クレア…………()()で何度目だ…………?」

 …………………………。

「……2回目?」


 はぁ、と神父様はため息をつく。

 ため息をつくと幸せが逃げるとか言う迷信があるけど実際はストレス緩和とかあるんだっけ……と考えがあらぬ方へと逸れていく。

 

「5回目です」


 さすがに5回はまずい。さすがの私でもそれはわかる。なので次の行動も完璧だ。

 

「……すみませんでしたああああああああああああああああああああああ!」


 神父様がまたもやため息をついて言う。

「クレア、謝る姿勢は認めるがもう少し落ち着いて行動したらどうだ? 時間が無い訳ではないのだろう。それとも慌てる程の事があったのか?」

「………………ないです。……気をつけます」


 逃げようとした私の首根っこを神父様が摘んだので逃げられなかった。確かに教会の床踏み抜いたのもその他色々ぶっ壊したのも私だ。だがそれには理由がある。


「まだマナが安定していないのか?」

「……………………」


 マナとは、神秘的な力の源だ。そして私含む『葬送者』と呼ばれる者の体がマナでできている。


 今から1年程前に私は突如教会に現れた。この教会で突如現れる人間はもれなく『葬送者』になる資格を持つ人で、()()()()()()()。そして体がマナで満たされ次第に全てマナに変わる。だから色素が薄い。何が言いたいかと言うと「マナが定着するまで個人差がある」という事だ。ちなみに半年前まで教会にいた青年は5ヶ月でマナが定着したらしい。


 平均で2~3年かかると言われているが私は1年で安定した。というか安定の基準が分からないのだが、違和感が無くなるまでとするなら1年だった。

 つまり私は既にマナが定着している。なのでただの不注意で物を壊しまくっていたのだ。つまり言い訳にはならない。


 神父様が少し複雑な表情()をする。

「教会の物を壊すのはいただけないが、マナが安定しているのなら…………。後で香部屋に来なさい。あと割れた花瓶を片付ける時は怪我に気を付けるように」

 いつもと変わらない声で神父様は言い、手を離す。いきなり離されたのでベシャっと大きな音をたてて尻もちをついてしまった。割と痛い。床が木製で良かった。いや、木製だから穴開けちゃったんだけど。


 紙袋とトングを適当な部屋から引っ張り出し、割れた花瓶の欠片をちまちまとる。……この作業何かに似てる気がする。ま、いっか。

 それよりも説教が待っていると思うと……。


 あと小声で「そろそろか」とか言ってませんでした?

 そろそろって何? ガッチガチの説教コース始まっちゃう感じ? 聖典丸々書き写しとか? どこかの国では写経と言うらしい。

 そういえばここの教会は教会と言いつつ無宗教なんだよね。だから色んな宗教の本があるんだけど。

 どの本書き写しするんだろうなぁ……。


 神父様は説教の時、反省室と言わず香部屋を指す。何故なら香部屋の近くに反省室があるからだ。私とグランオニーチャンがイタズラをやり過ぎた結果生まれた部屋である。オニーチャンが吊るし上られている事が多い。私は正座が多い。


 グランオニーチャンというのはかなり昔からこの教会にいる「葬送者」だ。私とはイタズラ同盟を結んでいる。イタズラ、と言っても教会内でできることは少ない。だからこそ新しい可能性の追究が止まらない。ついでに神父様の説教パターンもその度増えている。


 一番最近のイタズラは、「『奇跡』で教会の廊下凍らせたら移動早くなるのでは? ついでにずっこける神父様を見たい(こちらが本命)」だ。ホースで床を水浸しにした後『奇跡』で凍らせる。氷の床の完成だ。

 結果、私は壁を破壊した。オニーチャンは思いっきりずっこけた。神父様は()()()歩いていた。無言で。圧が凄かった。


 その前は「もし神父様がハゲてカツラ被るようになった時、神父様の尊厳を守るためにカツラをさりげなく直す練習をしよう」というものだ。

 そもそも計画の時点で破綻している。『葬送者』は歳を取らない。なので神父様はハゲることはないのだが……面白そうなので乗ることにした。

 と言っても方法は簡単。『奇跡』で風を起こしてカツラを調整するだけだ。これが思っていたより繊細で少しズレると逆にカツラが吹き飛んでしまう。そして吹き飛んだ先に神父様がいた。何も言ってこなかった。


 これから向かう香部屋。初めて聞いた時はお香が置かれてる部屋だと思っていた。実際は祭具や神具等の道具から典礼の書類などがあったりするところで、神父様が普段いる所でもある。


 反省室行きだろうなぁ、これ。香部屋に用事があったことなんて一度もなかったし…………。

 ……説教3時間コースかな。未踏の5時間コースだったらやだなぁ。

ここまで読んで下さりありがとうございます。

数年前に書いた文章を修正、加筆しつつ次の章を書いています。

個人的に『奇跡』の発動方法は魔術に近しいものだと思っています。

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