─15─ 幼心は時に無慈悲
こんにちは、もしくはこんばんは。
UrANoです。
生活習慣終わってると感じる今日この頃。
今めっちゃ眠いです。
「……っ!」
「動きが鈍くなってますよ! よ!」
「うぐっ!」
先程の攻撃で損傷した内蔵の修復に時間がかかっている。それに集中力が尽きかけている。それもそのはず。
死体さんは瞬きひとつで距離を詰めるのだ。全く気を抜く事ができない。目眩しも効かない。防戦一方……いや防御しきれていない。
リアさんとの鍛錬がなければ一発目の時点で伸びていただろう。リアさんに感謝。
だが、もう致命傷を避ける事しかできず攻撃を完全に避ける事は諦めている。息切れが酷く、肩で呼吸している。それでもマナは少ししか吸収できない。
死体さんは何故こんなに早い攻撃を連続で放てるのだろうか。カラクリがあるはずだ。しかしそれが分からないから困っている。
それにメイヴンさんに堂々と「吸血鬼を倒す」と言ってしまった手前、助けを求めるのも忍びない。彼女ならこのカラクリを解くことができるかも知れない。私よりも吸血鬼について詳しいのだから。
私は普通の人より頑丈ではある。それはマナが身体を修復しているからだ。つまりマナが切れたら……かなりまずい。
考えている間も攻撃は止まない。それはマナを消費して壊れかけた身体を直し続けている、と捉えてもいいだろう。
「これでトドメです! です!」
そう言い死体さんは重い蹴りを……。
放つ。……が、それは私ではなく床に当たる。
「……あれ? れ? れれ?」
死体さんが混乱する。私も混乱している。一体何が起きたのだろう。
確かに死体さんの蹴りは私目掛けて飛んできた。しかし当たる寸前、有り得ない速度で足が曲がり床に叩きつけられた。
「クレアちゃん、無事?」
階段に座っていたのはメイヴンさん……に似た子供だった。ニコニコとしながら、あやとりをしている。
それに合わせて死体さんはギチギチと無理やり身体を動かされる。先程死体さんが死体を操っていたのと同じだ。
それをメイヴンさん似の少女がやっている。彼女は何者なのだろう。
「クレアちゃんが苦戦してた理由はねぇ……コレ」
くいっと指を動かす。
すると黒いモヤが少女の糸から死体さんまで伝う。そしてそのモヤは私を絡めていた。
どんなに間合いをとっても無駄な訳だ。瞬きひとつで間合いを詰めるカラクリは目視できれば簡単なものだった。
死体さんと私は「呪い」という名の糸で繋がっていたのだ。だから目眩しも効かなかった。
それに一撃一撃が強い理由も糸が原因だ。間合いを詰めていたのは死体さんではなく私だった。ただそれだけの事だ。糸を引っ張れば繋がれたものは引っ張った方向に移動する。それも引っ張る力が強ければ強い程、死体さんの攻撃も威力が上がる。
つまりこの戦いで後退は最悪手だったのだ。それに気がつくことさえできれば攻略は容易い。しかし私には「呪い」が見えない。その為こんな単純な罠に引っ掛けられた、という訳だ。
死体さんの攻撃方向が突然変わったのはメイヴンさん似の少女が私に繋がれていた「呪い」の糸を解いて床に貼り付けたからだろう。それも一秒すらない間に。
彼女の方を見る。
彼女はすぐに私の視線に気が付き手を振る。それは私に対して振られたものではなかった。
「あれ? れ? あ? ああ、あ? れれ? れ」
死体さんが声を放つ。しかしそれは死体さん自身の音によってかき消される。ギチギチと、体が無理やり動かされる音。バキンと骨が折れる音。
何度も、何度も骨が折れる。その度に死体さんは小さくなっていく。
「――あ」
それが最期の言葉だった。上の階の死体が次々に倒れる。
「……えっと、助けて下さりありがとうございます……。その、メイヴンさんは……」
「私はメイちゃんの元一部のアレクシス。メイちゃんに頼まれてクレアちゃんを助けに来たの!」
……は?
いやいや、ちょっと待ってくださいよ。
メイちゃんというのはメイヴンさんのことですか? 元一部……メイヴンさんは蝙蝠を使って長を探すと言っていたので……彼女はその蝙蝠のうちの一匹、という事ですか?
え、あの蝙蝠人型になれたんですか!?
「おーい? クレアちゃん? 早くしないと逃げられちゃうよ?」
アレクシスと名乗った少女は初めて私に手を振る。その手は未発達で幼い……可愛らしい手だ。
視界に映っている死体……先程まで戦っていた死体を彼女はいとも簡単に制圧した。
「……今行きますよ」
メイヴンさんの安否が気になる。
この少女、アレクシスさんの話が事実なのか分からない。それに彼女が羽織っている上着は間違いじゃなければメイヴンさんが着ていたものだ。
右腕に青い何かが付いている。……メイヴンさんの血なのだろうか。
彼女は私と同じように吸血鬼の眷属と戦闘しているのかも。ならば助けに……。
「メイちゃんの方も、敵の眷属を倒したみたいなんだけど……」
アレクシスさんの隣を歩いていたらナチュラルに手を繋がれてしまった。
アレクシスさんもメイヴンさんと似たような事をできると思われる。なので大方蝙蝠を使って確認したのだろう。
しかし少女はしゅんとしている。
何かぽそぽそと話しているが、私には聞き取れない。……超音波?
「うん、……すぐに追いつくって」
「分かりました、と伝えてくれますか? それとありがとうございます、とも」
彼女も痛手を負ってしまったのだろう。そもそも戦力をこっちに回してくれたのだ。村人を逃がす時にマナをかなり使ったと言っていた。ひとりにしても大丈夫なのだろうか。
「……吸血鬼はそんなにポンポン眷属を増やす事はできないよ。だから敵は……」
「――あそこにいる吸血鬼しかいない」
ここまで読んで下さりありがとうございます。
実はここまでグロくする気はなかったはずなんですよ……。気がついたらなんか、はい。マイルド要素ゼロの場合、内蔵の損傷具合を描写すると思うんですけどちょっと調べる事が増えそうなので割愛しました。




