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鼓動が聴こえる、その時まで  作者: UrANo
我々は尺度を知らない
17/44

─5─ 冤罪冤罪ぃ!濡れ衣だぁ!!

こんにちは、もしくはこんばんは。

UrANoです。


お風呂と言えば少し前にマコモ湯が流行ってましたね。UrANo家はシャワー派ですけど。

人は信じたいものを信じるものです。えぇ。幼稚園の時から知ってましたよ。


「……一週間ぶりのお風呂だぁ」


 私クレアは久々のお風呂に感動していた。村のようにしか見えなかったので石鹸で全て洗う覚悟はできていた。のだが、トリートメントも置いてあったので喜んだ。

 浴槽は簡素な作りとはいえ身体を暖める事ができる大きさだ。肩まで浸かるには少し身体を縮める必要があるが、お風呂に入る事ができたという事実を前に文句が浮かぶことは無かった。


 ちゃぷ、と水が跳ねる音。先程の濁流とは大違いだ。

 お風呂に入る前に口を注ぐ為の水をわざわざ持ってきてくれた人がいた。……自白剤入ってましたねぇ。私には効かないけど。

 つまりこの後事情聴取があるのは確実だ。……思い返せば旅立ってからまだ一週間しか経っていない。

 私がやった事と言えば。

 

 石の観測。星の観測。そして川発見。川だと思っていたのが実は川の一部で私が進んでいた道は川床だった。濁流に巻き込まかけ回避した末、村発見。……その後少し奇行に走った気がするけど。

 

 旅人一週間で体験する事じゃない。特に川の氾濫に巻き込まかけるところとか。

 そもそも神父様が真っ直ぐ進めって言ったからその通り進んだのに……進んでいる道が川床だとは思わないって! なんでピンポイントで直径8キロメートルの川のほぼど真ん中を歩いてるの私!? どう考えてもおかしいって!


「……信じてもらえそうにないんだけど。」


 愚痴を考えても帰ってきた時に神父様に伝えればいいし……。そもそも帰り方知らないけど。グランオニーチャンが昔旅してたって言ってたから帰れるものだと思ってたけど……。私があの教会にいたのは一年だけだったから他の『葬送者』を見た事がないだけでたまに帰ってきてるよね? 神父様、私が教え子に出した課題について「良い案」って言ってたし。うん。多分問題なーし。

 

 ……そろそろお風呂から出ないと怪しまれそうなので名残惜しいが湯船からあがる。

 肌を伝う水滴や床を浸すお湯が目覚めたあの場所を彷彿とさせる。……湯気がなければ、いや、やっぱ全然違う。ただのお湯と液状化したマナを比べたら後者の方が物理的な常識に反しているので、目を細めてもあの部屋の異質感は再現できそうにない。

 

 真っ白い部屋に棺桶って趣味悪すぎでしょ。それに名前がマナを流すと決まるって神具みたいじゃん。あれも神具なのか……? それとも啓示……第二の『葬送者』としての名を天のお人がリアルタイムで書いてるのかな。そう考えたら少し面白いかも。

 

 身体を拭き、予備の着替えがあると事前に言ってあるのでそれに着替える。先程着ていたものよりも少し丈の長いスカート(実際は長めのスリット付きなので少し丈の短いスカートを包むように長いスカートが着いている)と半袖のシャツだ。ちなみに黒インナーを着ている。私は動きやすさ重視の服を好むので自然と似たようなものが増えてしまった。

 

 スカートなのも暗器を隠しやすいからという立派な理由がある。ガーターベルトを付けても違和感が無いのが良い所。ついでにベルトで止血や骨折の補強もできるし。使い道はたくさんある。……たまに枝に引っかかったりするけど。


 いつもの癖で『奇跡』を使って髪を乾かそうとしかけ、……止まる。危ない危ない。さすがに完全に乾かしきっちゃったら怪しまれるし、『奇跡』発動時の重低音でバレる。

 

 タオルでわしゃわしゃと髪を乾かす。髪自体が細長い為、見た目に反して早めに乾く。ちなみに私の髪は腰あたりまで伸びている。『葬送者』は髪を切ってもすぐに一定の長さに戻ってしまう。それ以上伸びる事はないが。

 私のラインは腰あたり、らしい。たまに木の枝に引っかかったりするので何度も切ったのだが、次の日には元通りになっていた。


 ガチャリ。


 脱衣場のドアを開ける。

「……お風呂いただきましたー。助かりましたけど、この後事情聴取ですよね? 私ただの新人旅人なので特に情報とかありませんよ?」

「侵入者は例外無く地下へ軟禁する。村の掟だ」

「……ふーん。変な掟ですね」

「村の民を守る為の掟だ。外の物にとやかく言われる筋合いはない」


 脱衣場を出た先にいたのは長い髪を上で括ったお姉さんだった。腕組みをしながら壁にもたれるようにしていた。私が出るまで待っていたのだろう。逃げ出さない様にする為か。……といってもここは地下なので逃げる方法がこのドア以外に浮かばないが。


「そういえばさっきすれ違った人もお姉さんも顔に墨を入れているんですね。村の掟に関係があるんですか?」


 私が初めて会った村人(仮定)はここの村人で合っていた。そしてこの村(地下牢)で出会った人は例外無く顔におそらく墨で模様が描かれていた。『奇跡』を発動する時に現れる陣の一部に少し似ている気がするが、気のせいかもしれない。どちらかというと禍々しいマナの流れをその模様から感じ取れる。呪陣の方が近いのかも。


 私達『葬送者』が使うのが夜の蔓延りを浄化する『奇跡』なら、真逆のものも存在する。それが呪陣を使って発動する呪い……名前は知らない。主に吸血鬼となった元人間が使うものらしいけど。私は吸血鬼なんて見たこともないし、そもそも「魂の暴走(コルポレジラ)」自体見ていないのだ。

 

 私が見たのは「魂の暴走(コルポレジラ)」によって変化した動植物だ。しかも練習として神父様やグランオニーチャンが持ってきたものを浄化しただけ。

 だから元凶がどのようなものなのか、人間がどのくらい「魂の暴走(コルポレジラ)」にあてられたら変質してしまうのか……等は分からない。


 お姉さんの顔に描かれているモノから感じ取れた禍々しいマナの流れは今のところ人体に影響はないだろう。『葬送者()』だから違和感を感じただけだ。ただ少しだけ「魂の暴走(コルポレジラ)」にあてられた動植物に似た気配を一瞬感じ取った気がしただけだ。しかしそれは気のせいかと思う程……一瞬。

 それも注意深くマナの流れを見ていないと気が付かないほど弱い気配だった。


 今、お姉さんに「ここからマナの流れを感じます」なんて言ったら吸血鬼と間違えられてしまう。どうやら吸血鬼もマナを感じ取れるらしい。「魂の暴走(コルポレジラ)」は空気中のマナを吸い取るので、周辺が淀んだマナで埋め尽くされてしまう。過剰な量のマナを身体に浴びてしまうから変質してしまうのだろう。


 どうでもいいが「魂の暴走(コルポレジラ)」って長くて覚えにくい。……そもそも私の名前の方が覚えにくかった。クレイニアム・アンダーリビオンって……。呼びにくいからクレアって愛称で呼んでもらってるけど。

 

 話を戻そう。先程述べた通り吸血鬼はマナを感じ取る事ができる。つまり吸血鬼も『葬送者』の『奇跡』と近しい事ができる。『葬送者』はマナを使って精霊を使役する事によって『奇跡』が使える。その為『奇跡』を使うと白い粒子が舞う。しかし吸血鬼は使役するものが違うのか、物理法則を無視した『奇跡』に見える何かを発動した時の粒子は黒く歪んでいるとの事。

 お姉さんの顔……模様から感じ取れるマナは白い。うーん……気のせいだったかも。


「私の()()はまだ少ない方だ。()()は一族を守る為に掘られたものだ。予め呪いを付けておく事によって別の呪いを……防ぐのが目的だ」


 つまりお姉さんの墨は呪いの模様が描かれている。そして呪いに……ん?


「この村は呪われているんですか? それとも誰か呪殺予告でもされたんですか?」


 お姉さんはため息をつく。そして数秒目を瞑った。

 そして開いた光の無い、虚ろな目を私の方へぐるりと向ける。そして薄く嗤う。先程の人形の様な感情のない顔で定型文を言っていたのが嘘のような……歪な三日月。


「やはり貴女が犯人か」

ここまで読んで下さりありがとうございます。


最近執筆しているからか予測変換が面白いことになってます。今のところ誤字っていないのですが大事なところで誤字らないか心配です。


次の話はなんと! 挿絵付きです! 割と時間をかけて描きました! グラデーションマップ最高。


感想やレビューをしていただけますと励みになります。UrANoが舞って喜びます。 m(*_ _)m

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