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モノクロの世界と月

初めまして。UrANoと申します。永遠の厨二病です。

小説投稿をすること自体初めてなので分からないことが多いですが頑張ります。


※作品のタイトルは「鼓動が聴こえる、その時まで」ですが「鼓動」と書いて「声」と読みます。タイトルにルビ振りできるか分からないのでこちらに記載しておきます。

 ある日突然私は存在し(現れ)た。


 棺の中に腕を重ね、祈るような形で。


 ……長らく眠っていたように思う。

 目に入る光がやけにまぶしくてすぐに瞼を下ろしてしまう。再び真っ暗な世界が広がるが、薄い瞼では光源を完全に遮ることはできない。なので完全に真っ暗、とはならなかった。


 薄く目を開ける。やはり眩しい。目が眩んでしまう。薄らと開けた視界を薄く遮るまつ毛は光と同じくらい白い。

 暫く一点を見つめていたのだが、やっと光に慣れたので目を開く事ができた。首をゆっくり動かし辺りを見渡してみる。


 大量にある真っ黒な棺が目に止まる。大きさはどれも一定で壁に立てかけられているものしか見えない。しかし空いているものと閉まっているものがある。私は大量に置かれている棺のひとつの中に居る事がわかった。


 体に違和感を感じる。だが、どこも損傷がある様には見えない。安心して胸を撫で下ろす。

 そして気が付く。


 鼓動がきこえない。


 不思議に思う事はなかった。それよりも何故か脚が思うように動かないという事実が脳を埋めつくしていた。(ソレ)を引きずりながら私は棺から抜け出す。


 びちゃり。


 どうやら床は水が張っていたようだ。そしてその水は白く発光している。

 水自体は温度がなかった。しかし地面が大理石でできているのか足裏が冷たかった。


 棺から抜け出した事によって先程よりも見える範囲が大きく広がった。

 床に置かれている棺は先程、私が入っていたものしかない。その棺を中心に部屋の造りは対称的だ。


 はらりと長い髪が頬を掠める。

 白く細長い髪。後ろ髪は水に浸かってしまっている。立ち上がると背中や臀部に濡れた髪が付く。一糸まとわぬ姿だから当然だが。

 髪に負けず肌も相当白いようだ。指を見ていたらバランスを崩してしまう。少し大きな水音。全身ずぶ濡れになってしまった。


 ぽたぽたと頬を伝いながら少し発光している水が落ちる。水は波紋を描きながら床の水と混ざり合う。

 しばらくすると波紋は無くなった。そして白く発光していたはずの水が透明になっていく。


 水面が鏡の様に反射し私の顔が映る。


 目が赤かった。泣き腫らして赤くなったわけではなく、瞳孔()()()()()()()()()()()。右眼は黄金が侵食しているような色をしていた。


 やはり髪は長く、透き通った白だった。

 それ以外分からなかった。

 棺や建物はくっきりと映っているのに、私だけは見えない。完全に見えない訳ではない。肌も髪も白いので背景とほとんど同化している。とはいえ、顔を顔として認識できないはずがない。しかし水面に映っているのは唯一色が付いている赫と黄金だけだった。


 しかしそれも私が動いた事によってゆらりと一定の速度で歪む。私は忘れていた発音を思い出したかのようにその揺れた水面に向かって話しかける。


 「(あなた)は一体……誰…………?」


 ぽたりと水が落ちる。それと同時に私の声が白と黒の空間に溶けていく。あとに残るのはしんと静まり返った白と黒の世界のみ。


 問いかけても答えてくれる人は誰もいない。ぴちゃ、ぴちゃ、と薄く水が貼られた大理石の床を歩く足音がやけに響く。それが答えだ。ここには私しか居ないようだ。


 歩いても歩いても何故か部屋から出る事ができない。棺からは離れているので進んでいるのは確実だが、壁に辿り着けない。空間がねじ曲がっているのだろうか。


 長い髪を濡らしながら進む。歩いているので下を見ても影すら見えない。ただ白い部屋と黒い棺しかない。モノクロの世界。水が跳ねる音以外何も聞こえない。私がその場に留まった瞬間音は存在を消す。


 そしてその場に倒れ込み、目を閉じる。


 目覚めてからすぐの記憶はここで止まっていた。


 握り締めていたリボンが唯一の、「私」の過去を知る手がかりだった。

ここまで読んで下さりありがとうございます。と言ってもまだ何も分からない状態ですよね。次の次の話から本編(序章)が始まります。本編には不定期に挿絵を入れる予定です。

ちなみにこの作品は5~6年くらい前に思い付いたやつですね。何故今投稿しようと思ったのかと言いますと……。

ただの気まぐれです。

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