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ヴァンパイア・メタリック  作者: すこーぴおん
18/24

18話 君の名は。

キャラデザ変更しました(いつか直します)


銀色の髪とオッドアイ。

(白髪っていったら怒るんだろうなぁ)

俺には一切、微笑まない女が、甘く美しい笑みを浮かべている。


そんなのはあり得ない。

「僕はっ......!! 僕のことを好いてくれないっ......貴方が好きなんだっ......!!」

「罵んでっ、痛めつけて、蔑んで、罰してほしい」

「やさしいアイシャなんか、可愛げがない。あの冷たさと孤独さ、狂犬具合が好きなんだ」


「いたっつ......」


ディルは目覚めた。


唇から液体が垂れる。

口の中に生ぬるい感触がある。


「気持ちわるぃ......」


ディルは思わず呟いた。


「…………歯、磨いてないだろ。べたべたして気持ち悪い。そもそも人とキスすることが気持つ悪い」


「そうなの?」と女はきょとんとした、悪気のない顔で首を傾げた。


「キスはいいものだっていうわ」


「俺、君のこと、好きじゃないもん」


「好きじゃないからダメなのね? わたしもあなたのこと好きじゃない」


「それは奇遇で。僕も君みたいな女に魅力は感じない」


「色白で、線が細くて折れそうなくらい華奢で小さくて......代わりにできると思ったのに」


「…………はぁ?」


素っ頓狂な声をあげた直後に、唇をふさがれる。抱きしめられ、掴まれた手が柔らかい感触のものに触れた。

この女はサキュバスだった。

視界に悪魔の翼が月明りで光っていた。




「性欲ねぇ…僕。君のこと好きじゃないから。君も僕のこと好きじゃないんだろう? 代わりの男を見つければいいじゃないか」


「んっ......人との関係って、簡単にできないのよ」


「サキュバスの色仕掛けを使えば簡単だろーーー君はキスしながらじゃないと喋れないの? 生きれないの?」


「策バスの性欲がわかんないのよ......いいよね、ただの人って」


「…………。俺はサキュバスの能力、羨ましいけどな。他人に甘い夢を見させて、どん底に突き落としたら楽しいに決まってる」


「フロートテールさんの好きな人ってアイシャって人でしょ? アイシャ・フロートテール。あの人、いいよね。美人。ときどき覗く冷たい感じが痺れるわ。---振られちゃったけど」


「振られたのか。そりゃそうだ。あのアイシャ様が他人にかしずくわけがない」


「キスまではいったのよ」


「気持ち悪いな」


「自分が好かれてないからって、人に当たらないでよ。ーーーーーわたし、女の子が好きなの。だからフロートテールさんのことは好きじゃない。サキュバスの性の吐き口としか思ってない」


「ーーーーそれをさ、キスしながら言う」


「勉強、教えてほしいだけなの。わたしの成績、低いの知ってるでしょ?」


「僕は上しか興味がないから、底辺のことは知らないんだ」


「そんな政治家みたいなこと言わないでよ」


「…………」


(サキュバスの翼ってどうなってるんだろ......)

(その根元、筋肉、感覚、機能)

(その尻尾、なくても生きてるのかな? どこにつながってるんだろ…)


「っ!? なにするのっ」


悲鳴をあげる女の背後から手を回す。


「翼ってどうなってるの? これ筋肉? 動かしてみてよ。悪魔になるとき、羽出したんでしょ? 普段どうしたわけ?」


「やめっ......やめっ」


「必要ないなら折ってもいい? 再生するか見てみたい」


「勉強教えて、学年1位にしてくれたらいいよ」


「無理無理。かぐや姫みたいなこと言わないでよ。最初から無理なこと条件にしないでよ」


(ああでも。1位ってことは......こいつより上のやつ、全員殺せばいいのか)


「ねぇフロートテールさん」


「苗字で呼ばないで。ディルっていう名前があるの」


「ねぇ、ディル。わたしに勉強を教えてほしいの。1位にしてなんて言わない。このままストレートに卒業させてほしいの」


「留年は悪いことなの? 学生は青春だよ? 青春が続くなんてすばらしい限りだと思わないかい?ーーーーまぁ僕は御免だけどね」


「そんなに自分を卑下しちゃだめよ。友達が欲しいなら作ればいいじゃない? 卑屈にならないでよ」


「なんでキラキラした目で俺を見るのっ!? 」


「わたしね、動物のお医者さんになりたいの。だから早く大人になって働きたい」


「動物が可愛そうだ。動物虐待だ。無能な医者は人を殺すんだぜ」


「だから試験は大変なんじゃない」


「無能な君は無免許医師にしかなれない」


「ーーーっ!? 気持ち悪いっ! 僕に虫歯菌をうつすなよ。病原菌女」


「どうしてぇ? 色仕掛けを教わったのにぃ」


「だいたい君に男を誘惑できる魅力があるのか?」


「性格がいいわ」


「性的魅力はないだろ」


ディルは服の上から胸を押した。


「サキュバスよ?ーーーーねぇ? そういうんだったら指を離してよ。くすぐったいわ」


「はいはいはい。いじめたくなったんだよ。ムカつくから」


「ねぇ、それより勉強を教えてよ。あなたしかいないの。頭がよくて時間余ってそうな人」


「…………やだね」とディルは言い放った後、目を横に逸らして思考する。


女の頭を後ろから掴み、強引に引き寄せ、唇を合わせた。中で舌を絡ませる。


「…………っなにするのよっ!? 虫歯菌がうつるから嫌だったんじゃないの?」


「もう、うつったからいいよ」


「なんだ。わたしのこと好きなんじゃない」


「おまえのことが好きなわけじゃない。男なんだよ」と抱き寄せて、ディルはその耳を吸った。


「そういえば君、名前、なんていうの?」


ディルはこの女の名前を知らない。

講義を受けるとき、顔を何度か見た阿保江があるし、彼女は女好きで目立つ存在だった。


「知ってるくせに、とぼけないでよ」と頬を膨らませつつ、彼女は自身の名前を告げる。


「シフォン・ディーゼルよ。ディル・フロートテールさん」




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