第21話:ライバル登場!?黒き疾風、その名はクロム!
「ふぁ~あ」
昨日は依頼をこなし、朝を迎えたナオキとパルフェ
「今日も何かしらの依頼受ける?」
「まぁそうだな」
二人は昨日同様何かしらの依頼をこなすつもりの様だ
「とりあえずまた依頼掲示板見るか」
「そうね」
二人は依頼掲示板に着いた
そこで人だかりが出来ていた
「なんだ?」
パルフェが近くの男に話しかけた
「ねぇ、この人だかりは何なの?」
「ああ、アレさ」
男は答え、指を指した
指した先には一人の男がいた
黒い服を身に纏い、腰に剣を携えた黒髪のクールな少年だ
「アイツは...?」
「なんだ兄ちゃん、クロムを知らないのか?」
「クロム?」
「黒き疾風って異名を持つ名の知れた腕の立つ冒険者さ」
「確かに強そうだな...」
強そうなのはナオキもわかった様だ、だがそれ以上に思った事がある
自分よりも明らかにイケているし、男前な所だ、オマケに背も高い
「むぅ~...」
悔しがるナオキ
ふと、パルフェの方を見た
頬を赤らめ、恋する乙女と言った所の表情をしている
「パ、パルフェ?」
「ステキ...」
「なっ...」
「やっぱりお嬢ちゃんもそう思うか、町の女達や女冒険者達からも憧れの存在だしなぁ」
「むぐぅ~...」
再度悔しがるナオキ
「オマケにアレでまだ18歳なんだから、まさしくエリートって所だよなあ」
自分と一個違いであそこまで充実してるのかよ、とナオキは相当にへこんだ
その時、数人の男達がクロムに絡み始めた
「クロムさんよぉ、ちょっと面貸して貰おうじゃねぇか」
「なんだアイツら?」
「ここら辺をたむろしてる冒険者連中だ、たまにああやってクロムに対して絡んだりしてるのさ」
「そんなつもりはない」
クロムが冷たくあしらう
「つれねぇ事言うなよ」
「そうそう、俺達の話ぐらい聞いてくれてもいいじゃねぇか」
「減るもんじゃねぇしよ」
冒険者達はクロムに言い寄る
「何が言いたい」
「簡単な事だ、ちょっと金貸してくんねぇかあ?」
「断る」
クロムが再び冷たくあしらった
「そんなケチくせぇ事言うなよ、色々依頼こなしてだいぶ稼いでんだろぉ?」
「だったらどうした」
「なら俺達に少しぐらい貸してくれても良いじゃねぇか、余裕あんだろ?」
「そうそう」
冒険者達は変わらずクロムに言い寄る
「失せろ」
クロムが言い放ち、その場を後にしようとする
「おいコラ、待ちやがれ」
「人が下手に出て頼んでんのにそんな態度はねぇだろうがよ!」
「さっきのが下手か?ずいぶんと態度のデカイ下手だな」
クロムがフッと鼻で笑う
「テメェ...馬鹿にしてやがんのか?」
「馬鹿にしてる訳じゃないさ」
「馬鹿だって言ってるんだ」
クロムはそう言い再びその場を後にしようとした
それに対して冒険者達は武器を構える
「相変わらずムカつく野郎だ!」
「テメェの事は前々からぶっ飛ばしてやろうと思ってたんだ!」
「覚悟しやがれ!」
「最初からそのつもりか」
「なら無駄に考えずに初めからそうしておけば良かったんじゃないのか」
クロムは再度鼻で笑った
「調子に乗ってんじゃねぇーッ!!」
冒険者達が一斉に襲い掛かる
「ヤベェ!」
ナオキが加勢しようと剣に手を掛ける
「大丈夫さ」
男はそう言った
クロムは腰の剣を抜き、迫り来る冒険者達に対し剣を構えた
冒険者達の攻撃を軽く受け止めあしらい、怯んだ隙に一撃を振る舞う
そして冒険者達は全員倒された、この間は1分も無かっただろう
「すげぇ...」
「だから言っただろ?」
ナオキは目の前で起きた小競り合いに感心を受けた
自分では到底出来ない様なスマートで素早い動き、悔しさもあるがそれ以上に尊敬に値する凄い闘い方だ
「俺もあんな風に闘えたら...」
ナオキはそう言った後に、再度パルフェの方を見た
先程以上に恋する乙女の表情をしてクロムに見惚れるパルフェの姿があった
「はぁ...♥️」
「...」
ナオキは悔しがるのを止めた
まぁそりゃあんなもん見せられりゃ誰だって今のパルフェみたいになるだろうしなと
そう思った時に、黄色い声援が沸き上がった
「素敵~!♥️」
「クロム様~!♥️」
「最高~!♥️」
見ると、町の少女達や女性冒険者達が集まっていた
「相も変わらず人気者だねぇ」
「俺達も少しはあやかりたいもんだな」
「いや全く」
人だかりの中の他の男性冒険者達がクロムを羨む
ナオキは完全に同意見だった
「ちくしょう...」
倒された冒険者の内の一人がそう呟き起き上がった
その男は再度武器を構え駆け出した
しかし相手はクロムではない
パルフェだ、勝てない腹いせに無関係のパルフェを狙おうとしている
「ッ!パルフェ!」
ナオキが剣を抜こうとした
だがその時
ドンッ
「え」
パルフェを守ろうと駆け付けたクロムに突き飛ばされて転んだ
駆け付けたクロムの一振りで男は再度倒された
「大丈夫か」
「あ...うん...」
クロムがパルフェに近寄り顔を寄せる
パルフェの顔がとても赤い
「あ...あの、大丈夫...です、怪我はありません...」
パルフェはもじもじしながらしおらしくなっている、普段のお転婆振りが嘘の様である
「そうか、それは良かった」
クロムはそう言い、パルフェの頭を優しく撫でた
「~~~~~~ッ!」
パルフェの感情は爆発寸前だった
「あ~ん!何よあの娘!」
「クロム様にあんな優しくされて~!」
「羨ましい~!」
他の女性陣がパルフェを羨む
「それじゃ、失礼する」
クロムが立ち去ろうとしたその時
「おい待てぇ、失礼するんじゃねぇ」
そう話掛けたのは、明らかに怒りに満ちた表情のナオキだった
「何だ」
「何だじゃねぇよ何だじゃ、お前俺の事突き飛ばしたじゃねぇかよ」
「そうだったか」
「だったかじゃねぇよ、そうなんだよ」
「人の事突き飛ばした癖にそんな態度はねぇだろうがよ」
「悪かった」
「そんな軽い謝罪かよ、もっと誠意ってもん見せろよ」
先程までクロムに対して寄せていた尊敬や賛美の感情は彼からは失くなっている
今のナオキの姿はクロムに絡んださっきのチンピラ達と何ら変わらない
「何よアイツ、クロム様に突っ掛かっちゃって」
「僻んでるんでしょ、やーね男の嫉妬って」
「冴えない顔の分際で」
女性陣が冷たい言葉と視線をナオキに送る
「この野郎...」
ナオキが熱くなっていると、パルフェが割り込む
「やめなって、もう終わった事でしょ」
「ごめんなさい、コイツすぐムキになっちゃうの」
「はぁ!?」
「ほら、そういう所でしょ」
「ぐぬぬ...」
「ぷっ、言い負かされてやんの」
「あんな小さい子にね」
「カッコ悪~」
女性陣がクスクス笑う
「別に気にしてない、大丈夫だ」
「ホント?良かった」
クロムとパルフェが話す横でナオキは相も変わらず怒りの表情である
「可哀想になぁ...色々と」
男性陣はナオキに同情の表情を向ける
「おい、もう行こうぜ」
ナオキが苛立ちながらパルフェにそう言う
「何よ、もうちょっと良いでしょ」
パルフェはもう少しクロムと話したい様だ
「充分だろ、もう行こうぜパルフェ」
ナオキがそう言った時、クロムの眉が少し動いた
「パルフェ...」
「え?」
「何でもない、気にしないでくれ」
そう言ってクロムは去って行った
「何だったんだ...」
ナオキはそう呟き、パルフェを見た
「えへへ...名前言われちゃった...♥️」
「...」
もはや完全に自分の世界に入ってしまっている
ナオキの言葉は届かないだろう
「もしもーし?」
「えへへ...♥️」
「パルフェさーん?」
「うふふ...♥️」
「おい腐れちんちくりん」
パルフェの拳がナオキの腹にめり込む
「何よ」
「聞こえてんじゃねぇか...」
ナオキは腹を押さえる
「あんたが余計な事言うからでしょ」
「だからって殴る事ねぇだろ...」
「あ?」
「いえ...」
「まったく、少しはクロムの事見習いなさいよ」
「クロムは関係ねぇだろ!」
「何怒ってんのよ」
「あ、もしかして焼きもち~?」
「は!?ちげぇよ!」
「またまた~、可愛いパルフェちゃんを盗られそうになったからムキになっちゃったんでしょ~☆」
「違うって言ってんだろ!」
「も~照れちゃって~、パルフェちゃんを盗られたくなかったら、クロムみたいに強くてカッコいい存在を見習いなさいね~☆」
パルフェは聞く耳を持たない
ナオキは心の奥底から思った
イケてる勇者になる前に、絶対にクロムよりも強くてカッコいい存在になる事
そして目の前の腐れちんちくりんを見返してやる事を胸の奥底に刻んだ
まず目指すは一番の冒険者
「絶対絶対一番なってやる!!」




