第10話:いざ洞窟!まさか、アイツが再び?
「ここか...」
ナオキとパルフェは洞窟に着いた
あの冒険者から教えて貰った場所、想像よりもだいぶでかい洞窟だ
「ここにお宝が...?」
「確証はないってば」
パルフェの言う通りである
この場所を教えてくれたあの冒険者も言っていたが、わざわざ貼り紙に書かれていたのは怪しい、既に他の冒険者達が宝を持ち去った後という可能性が高いのも事実、宝があっても恐ろしいモンスターがいてそいつにやられてしまって持ち出せないままでいるのもあり得る話だ
「でも...」
「うん...」
「行くしかない!!」
二人の声が重なる、行く以外の選択肢など無いのだ
何故なら!
二人には金が無いのである!
金が無ければ食事も宿も道具類もままならない!
二人にはそれしか道はないのだ!
「行くぞパルフェ!」
「もちろんよ!」
二人は駆け出す
自分達の未来の為に、もとい美味い飯やふかふかのベッドの為に
意気揚々と進んだ二人
しかし、洞窟内には様々な試練が待ち構えていた
「暗いな...パルフェ、居るか?」
「ちゃんと居るわよ、待ってて今明かりを...」
ポワンと光の玉が浮かび、明るくなった
「あら、あんた明かり持ってたの?」
「...俺じゃないけど?」
「...え?」
二人が後ろを振り向き、明かりの方を見る
そこに居たのは、頭から下がった玉で光を出したアンコウの様な半魚人だった
「アカルク、ナッタ」
半魚人がそう口を開いた直後
「きゃぁぁぁぁ!化物ぉぉぉぉ!」
「アンコウみたいな半魚人のオッサンだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
二人は全力で逃げた
それに対して悲しそうな顔で半魚人は言った
「ヒドイ、アンマリ...」
彼はまだ25歳である
「見て!薬草がたくさん生えてるわ!」
「アーウンソウデスネ」
「ほ~らナオキちゃん、大好きな薬草ママが食べさせてあげる~☆」
「いらん!」
「好き嫌いしちゃ駄目よ☆はい、あ~ん☆」
「いらないって言ってるだろ!」
「食え」
「うぅっ...ぁ、あぁ...」
「え、泣いちゃった」
彼の心の傷はまだ癒えていない
「何か色々とヌルヌルしてんなぁここ...」
「足場も悪いし、歩きづらいし...きゃぁっ!?」
「おい大丈夫か...」
「いやっ、ヌルヌルしてて気持ち悪~い」
転んだパルフェの姿にナオキは顔が少し赤くなる
いくら憎たらしいちんちくりんでも、可愛い女の子のあられもない姿が目の前にある、無理もない
それに気づいたパルフェは
「いやぁ~ん♥️そんなに見ちゃダメぇ~ん♥️」
「ス・ケ・ベ♥️」
「おぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ」
ナオキはまた吐いた
「今度それやったら口を縫い合わすわよ」
「本当に申し訳ございません」
むしろ溢さないから好都合な気もする
そしてなんやかんやあり、二人は最深部までやって来た
ここまでの苦労と言えば、ナオキの胃と頬に対する一撃ぐらいである
「さぁ行くわよ!」
「まず謝れよ」
「あ?」
「何でもありません」
見慣れた光景である
二人が進んだ先に、開けた場所があった
その奥に一つの立派な扉があった
おそらく、あそこに宝があるのだろう
「お宝はあそこね、さぁ行くわよ!」
「ちょっとまてよ」
「何よ?」
「こういうパッと見何もない開けた場所ってのはな、大概...」
ナオキの言葉に反応したかのように、一つの光が現れ、その中から一人の黒衣の男が現れた
「お前達、この場所に何の様だ」
男は尋ねてきた
「え、え~っとですね、その...」
ナオキは発言に困っていた
流石に「宝を手に入れに来た!さっさと寄越せ!」等と言える訳がない
しかしそんなナオキをよそにパルフェは
「宝を手に入れに来たのよ!さっさと寄越しなさい!」
と、ハッキリ言った
順序って物を知らんのかこのちんちくりんは、ナオキはそう思った
「宝だと?貴様ら、それをどこで知った?」
「町の掲示板の張り紙よ」
「何だと?ふん、誰がやったかは知らんが、馬鹿げた真似をしてくれた物だ」
どうやらあの情報は間違っていたようだ
「ここにあるものは財宝や金品と言った、下卑た俗物等では無いのだ」
「えぇっ!?」
「じゃあ何なのよ!?」
「それを貴様らの様な不届きものに答える必要があるか?」
そんなものはない
「だったら、無理矢理にでもそこの扉開けて確かめてやるわよ!」
順序って物を知らんのかこのちんちくりんは、ナオキは再度思った
「面白い、ならばその勇気、あるいは蛮勇を試してやる」
どう考えても後者である
その直後、傍の水辺が大きな泡と音を立てた
「ここまで来れたという事は、それなりの力を備えているという事」
「ならば、それ相応の相手を用意してやろう」
男がそう言い終え、モンスターが姿を現す
二人は巨大なドラゴンか魚、もしくはさっきの半魚人みたいなのかと思っていた、しかし
「あ...」
同時に声を漏らした二人の目の前に、それは居た
そう
あのクラーケンだ、二人が船旅中に遭遇し、手痛い一撃とそれ以上の尊厳破壊を行ったあのクラーケンが居た
唖然とする二人
それと同時にクラーケンも二人に気付き、顔が青ざめる、体は赤いのに
「む...」
男は何かを察した
二人と一体が睨み?あっていたが、その静寂をパルフェが破る
「ま、まーた現れたわねあんた!今度は生かして返さないわよぉぉぉぉぉ!?」
「そ、そうだ!今度こそ細切れにしてやるぅぅぅぅぅ!」
言っている事は物騒だが、二人の顔は青ざめていて冷や汗も掻いている
精一杯の虚勢を張っているのだ
クラーケンは更に青ざめた後、静かに海へと帰っていった
二人は再度クラーケンに勝ったのである
色々な意味でホッとする二人
その二人に対して男が話し掛けてきた
「闘わずして勝利を納めたか、大した奴らだ」
「あ、いえそんな...」
嘘は言ってない
「やはり、あのクラーケンを撃退したのはお前達だったのか」
「知ってたの!?」
「うむ、先日にクラーケンが傷付いていたのを見てな、誰かにやられたものだろうと考えたが...それがお前達だったとはな」
傷付いているのは体より心の方だろ、二人はそう思った
「お前達であればその扉をくぐる権利がある、行くが良い」
黒衣の男がそう言い、奥の扉を指差した
「遂にあの扉の向こうへ行けるのね」
「俺は今!モーレツに!ワクワクが止まらないぜ!」
「いきなり何よ」
久々の台詞である
そして、二人が扉へと向かおうとした時
「失礼の無いようにな」
男がそう呟き、消えていった
二人はその言葉を聞き、顔を見合わせた
「失礼の無いようにな?」
「誰が居るって事?」
「こういう所に居るって言うと...妖精とか神様?」
「女神様とかかもね」
その言葉にナオキは反応した
「ま、まさか!?」
ナオキは急いで扉を開け中へと入った
「あ!ちょっと!」
パルフェが後に続く
中に広がっていたのは、正しく神聖な場所といった光景であった
こういう場所にはいかにも神様などの類いがいるのがお決まりだ
「すいません!誰か居ませんか!?」
「神様!いや、女神様はいらっしゃいませんか!?」
ナオキは叫んだ、だが反応はない
「馬鹿ね、そんなあっさりと出てくる訳が...」
パルフェがそう言った直後、辺りをまばゆい光が包んだ
そして、二人の目の前に一人の女性が現れた
神々しくも麗しい、まさに女神といった風貌の美しい女性が微笑んでいる
「も、もしかしてホントに女神様...?」
パルフェがそう呟いた後、ナオキの方を見ると全身が震えている
「イ、イ、イ...」
「ちょっと、どうしたのよ?」
ナオキに対して女性が口を開く
「お待ちしておりました、選らばれし勇者...いえ」
「私の愛する、勇者ナオキ♥️」
その女性は全てを包む様な優しく甘い表情と声でナオキにささやく
その直後、ナオキが
「イ・ル・ク・さ・まぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ♥️」
目をハートにし、鼻息を荒げ、口をだらしなく緩ませよだれを垂らすナオキ
それに対して
「うわ、きもっ...」
と、軽蔑の眼差しと小さな蔑みの声を送ったパルフェであった




