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生徒会シリーズ

花言葉未解決事件

作者: aoi

中学2年生で生徒会の副会長、赤佐雅寛あかさ まさひろは先輩で会長の緑愛梛みどり あんなと共に生徒会の業務や学校生活の中で起こる日常の謎を解いていく。

ある日、緑に生徒会に何で入ろうと思ったのか聞かれた赤佐は、前生徒会長の新谷太一との意外な関係を言う。そして新谷太一は赤佐と緑の前に現れ、ある女性を紹介する。その女性は、1年前赤佐と新谷が調べて分からないまま未解決になったある出来事に大きく関わる女性だった。



「赤佐くんってさ、何で生徒会に入ろうと思ったの?」

「いきなり何ですか?」


「いや、赤佐くんってさ、自分からどんどん動くタイプではないし、内申とかも気にするようなタイプにも見えないから。まぁ、雰囲気的にそう見えるっていうか」


そうですねと赤佐くん。

「確かに積極的ではないし、内申とかも気にしたことないです。生徒会も最初興味無かったですし」

「興味無いって…増々入ろうと思った理由が気になるんだけど」


赤佐くんは溜め息をついた。

「声が凄く大きくて、めちゃめちゃ怖い先輩が入れって強引に。推薦までしてくれて」


私はその先輩が気になった。生徒会に興味が無かった彼を強引に、さらには推薦までしたその先輩が。

「え、その先輩って誰?私も知ってる?」

「はい。この学校の生徒だったら皆が知ってるレベルです」

「誰?」


「おぉぉぉ!赤佐じゃないか!」

赤佐くんが、その先輩の名前を発した声を掻き消す大きな声。勢いよくこちらへ近付いて来る。


前方に現れた大きな図体、そしてその図体から出される大きな声。私達と彼の距離はおおよそ3メートルだが威圧感が凄い。

私はこの人を知っている。


「もしかして…赤佐くん」

私は赤佐くんの方を見ると

「そうです。俺を生徒会へ推薦してくれたのは」赤佐くんは言う。

「前生徒会長、新谷太一先輩です」


高校の制服を着ていたので最初は分からなかったが間違いない、新谷先輩だ。

「お久しぶりです、会長」

私は新谷先輩に挨拶する。

「久しぶりだな、緑。今はお前が会長なんだから、新谷先輩でいい」

「はい」

私にとって新谷先輩は憧れであり、先輩のようなリーダーになりたいと会長に立候補した。久しぶりに会うことが出来きて、気持ちが高まる。


「さっきから黙ってるが」と新谷先輩。

「赤佐、生徒会の業務をしっかりやってるのか?俺が今日来たのは、お前の様子を見に来たんだ」


「はい。生徒会の業務にも慣れてきまして、まだまだですが頑張っています」

赤佐くんの新谷先輩に対しての返事に凄く緊張感を感じる。


「そうか、あと俺が来たのはもう一つ理由がある」

「何ですか?」

私が恐るおそる聞くと新谷先輩は赤佐くんの方を見て微笑む。

「お前に紹介したい人がいる」


そう言った先輩が、私達を職員室まで誘導した。

「こちら、中村桔梗さん」

先輩は女性の隣に立ち、紹介してくれた。高校の制服を着こなしているとても綺麗な女性だ。



「おー新谷君、久しぶりね」

職員室に戻ってきた先生が話しかけてきた。

「お久しぶりです」

先輩がお辞儀をすると、中村桔梗さんも「お久しぶりです」とお辞儀をした。

「あれ?中村さん?久しぶり。すっかり大人っぽくなって」

先生は笑顔で嬉しそうに言った。

「覚えててくださったんですね。ありがとうございます」

中村桔梗さんが微笑みながら先生に答えた。


私と赤佐くんは、先生と先輩たちの会話が終わるまで、立ちん坊だった。

会話が終わり、新谷先輩は私達の方を見た。


「おぉー放っておいてすまなかった!」

「いえ、良いんです。気にしないでください」

私は微笑んだ。


悪いなと新谷先輩。

「赤佐、生徒会室の鍵を取ってきてくれるか?桔梗さんを生徒会室へ案内したいんだ」

「わかりました。すぐ取りに行くので、先輩たちは先に行ってください」

早速職員室の方へ行く赤佐くん。

「分かった。頼むぞ!」


赤佐くんが持ってきた鍵で生徒会室へ入った私達は、部屋の電気を点け、会議用机の上座に新谷先輩と中村桔梗さんが座り、下座に私と赤佐くんが座った。


「赤佐」新谷先輩が赤佐君の方へ体を向けて言った。

「お前に桔梗さんを紹介したかったのは、1年前に相談した花の件、分からないまま放ったらかしだったからな。放ったらかしのままじゃいけないと思って会いに来た」


「もしかして」赤佐くんが驚いた顔で中村桔梗さんの方を見てから、新谷先輩の方へ見る。

「あぁ。そうだ」

新谷先輩は笑顔で頷いた。


私は頭の中が疑問符で一杯だった。一体この人達は何を話しているのだろう?

「ねぇ、何の話をしてるの?」

赤佐くんの方を見て言った。

「あぁ、すみません。置いてけぼりにしてしまって」と赤佐くんが言った。

「何があったのか話しますね」

と赤佐くんは私の方を見て言った。



「1年前のちょうど今頃です。相談内容は、新谷先輩の下駄箱に1輪の花が置かれていたので、何故花が置かれてたのか突き止めてほしいと相談を受けたんです。」


「花が置かれてたのは俺が中2の時で…時期的に今頃かな。いろんな奴に相談にしたんだが、皆イタズラだから気にするなって。でも赤佐はちゃんと話を聞いてくれたんだ」

情報を補足する新谷先輩。


赤佐くんは新谷先輩に会釈をし、話を続ける。

「新谷先輩と図書室に行って、花の特定をしようとしたんです。それで花の名前は“勿忘草”だという事が分かりました。花言葉が“真実の愛”、“私を忘れないで”だったんですが、そのまま誰が置いたのか分からないまま今に至るというわけです」


それでも私の頭の中の疑問符は無くならなかった。

赤佐くんと新谷先輩の会話「もしかして」「あぁ。そうだ」の意味がわからない。


「話してくれてありがとう。でも赤佐君、相談の内容と、きょう新谷先輩が赤佐君に中村桔梗さんを紹介する意味がよくわからないんだけど」

私が困り果てた表情でいると、赤佐くんが答えてくれた。


「新谷先輩の下駄箱に1輪の勿忘草を置いたのは、中村桔梗さんです。分からないまま今に至ったのは中村桔梗さんが転校してしまったからです」


「転校って何で分かるの?」

「職員室の前で先生と中村桔梗さんが話ししていた内容覚えてますか?」

「うん。たしか…先生が“すっかり大人っぽくなって”で中村桔梗さんが“覚えててくださったんですね”って言ってた」


「どちらも言った事は、先生と去年までこの学校に居て、久しぶりに母校に来る生徒の話す内容じゃないんです。中村桔梗さんは2年前に転校して、先生とは2年振りの再開だったからあの会話になったんです」


私の頭の中の疑問符がやっと無くなった。


「緑さん、赤佐君、フルネームじゃなくて桔梗さんとか中村先輩とかで呼んでくれるかな?」少し困った顔で、でも優しい口調で言った。

「すいません」「失礼しました」

私と赤佐君は中村先輩の方を見て言った。


「此方こそごめんね」と中村先輩が微笑んで言った。「私が置いた花で、こんな大事になるなんて。あの時の私は自分の気持ちをどう伝えていいのか分からなくて。手紙だと誰かに読まれてしまうかもとか、色々考えた挙げ句花にしたの」


「中村先輩から新谷先輩への愛の告白だったんですね」私が言った。

「うん」中村先輩の顔が赤くなっている。


「それで、お二人は…」赤佐くんが上座に座っている先輩たちを見て言った。

「ああ、付き合ってる」と新谷先輩が言った「高校でばったり再開してすぐ桔梗さんからあの時の花の話を聞いてな」と新谷先輩も顔が赤くなってる。


「新谷先輩、良かったですね」と赤佐君。

「おう!」と新谷先輩。「周りの奴らがイタズラだって相手してくれなくても、赤佐は一緒に考えてくれた。困っている人の声を聞いて、一緒に考えてくれる人が生徒会に必要だと思ったんだ。だからお前を推薦した」


赤佐君は照れくさそうに微笑んだ。


「よし!長く居すぎたな、俺達はもう帰るよ。後輩の様子も見れたし、桔梗さんも紹介できた。」

「花の件、分かって良かったです。2人共末永くお幸せに。」

赤佐君が2人の方を見て言った。

「昇降口までお送りします」と私が言うと

「いや、いいよ。2人でここに居た頃の思い出話しながら校舎とか歩いてるから。」



「分かりました。ではここで」と私が言った。

「おう!それじゃまた!」「緑さん、赤佐君話を聞いてくれて本当にありがとう」

と言うと、新谷先輩と中村先輩は生徒会室から出て、校舎の方へ行った。


私達も生徒会室から出て、出ていく先輩達に深くお辞儀をした。


再び生徒会室に入る。

「今日は赤佐君の生徒会に入るきっかけが聞けて良かったよ」

私は微笑んで言った。

「新谷先輩が推薦したって最初聞いた時は、俺に生徒会が務まるのか不安でした。でも今は入って良かった気がします。」

赤佐君も微笑んで言った。


こんにちは


最後まで読んで頂き、ありがとうございます。


赤佐と、緑の生徒会の話第2弾です。

少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

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