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3-3

 疑問に思っているその時、東龍はというと、竜王の間の影の柱に寄り掛かっていた。ここから見ても珍しく無口だった。だけど、何のことはない。そこから俺に向かってニッと笑って右手でジェスチャーを交え、数分後には俺たちは城下町に出ていた。


「武よ。今は考えるな」

「ああ、俺はあいつのことだけを考えているよ」


 俺たちは薄屋へと向かって歩いていると、今度はリンエインも交えていた。途中で戦略会議を抜けて来たんだ。あれこれ考えても仕方ないからだ。


 三つの月夜の提灯がもう数多に掛けられ。

 町民は静かに今日の無事のお祝いにと酒屋を探している。

 夜の竜宮城は今は春。

 少し肌寒かった。

 この町にも春夏秋冬があるんだな。明日は少し熱い夏が訪れる。

 

 薄屋のミンリンはまた俺の隣に座った。

 俺から見ても、ミンリンはリンエインに嫉妬心を抱いているみたいだ。俺には麻生 弥生がいるんだけどなあ。東龍はミンリンに今日も近づけたと無邪気に喜んでいた。せっせとミンリンに手を出しては叩かれていた。


 リンエインはまだ戦略会議の話があるって、俺たちに着いて来たんだけど。俺とリンエインがお茶と団子を注文しているところに、何やら感じ慣れた威圧感を覚えた。ふと、薄屋の出入り口を見てみると、鬼姫さんがいた。

 もう、竜宮城は地球の海域に渦潮を発生させたようだ。


 俺は目頭が熱くなって卒倒しそうなくらいに嬉しくなった。


「武様! ここでしたか!」

「誰? この可愛い人……?」

「す、凄い龍の気!」

 ミンリンとリンエインが同時に驚いた。


「鬼姫さん!」

「え? この人が……?」

「それなら当然強いはずよねー……」


 ミンリンとリンエインはまじまじと鬼姫さんを見てから、すぐさま震え上がった。それだけ鬼姫さんの気は物凄い。貴重な戦力を得たと隣の席の東龍も大喜びだった。

 どうやら、鬼姫さんだけが安全のためにここ水の惑星へと来たようだ。


「ご注文は。な……何にしますか?」

 気負されたミンリンは俺の傍をすぐに離れ、恐る恐る注文を受けようとしたが、鬼姫さんは俺の手を取り、店の外へと走った。

「多くの龍の気が感じられます。今夜は油断なきよう」

 鬼姫さんの変わらぬ気迫に俺はブルッと武者震いをした。


「まだ、龍が来る……」 

 俺が呟くと、いつの間にか東龍とリンエインが俺の傍へ来ていた。

「また、龍が来る。武よ」

「もう、地球にも水淼の龍族がすでに海の至る所に生息しているのよ。事態は一刻の猶予もないかも知れないわね」

「……!」

「ええ。武様。その点は存在しないはずの神社がありますので、地球は無事のはずです。ちょっと、ここで……」

「?」

 鬼姫さんは俺に向いて、神鉄の刀を抜いた。

「よく見ていてくださいね」

 そう言って、鬼姫さんが天空を向くと、俺は驚いた。



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