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3-2

「ねえ、どうやってあの技を生み出したの?」

「幻の剣? ある人から、この技も伝授されたんだ」

「そうかー、幻の剣というのか! きっと、奥義中の奥義なんだろうな。なんたって幻の技なんだろ? ちょっとその刀をここで振ってみてくれないか? ほうほう、心気だな。斬れるはずだよ。だが……今のままでは竜王には到底敵わないだろうな」

「え?! 何故ですか?!」

 俺はリンエインの父親の言葉に驚いた。


「父さん……それより名前……」

「おお。私はリンチェンだ。この竜宮城で娘と一緒に軍師をしている。1000年は生きているが、君のような若者は初めて見たよ。きっと、リンエの良い夫になるだろう。実はリンエは800歳で、その間。ボーイフレンドにフラれまくりの人生だ。でも、君となら上手くやれると思っているよ」

 遠い目をしたリンチェンに俺は即座に頭痛がした。

「ちょっと、父さん?!」

「いや、俺には……」


 俺はあいつの顔を思い浮かべながら苦笑していた。

 リンチェンは俺の表情を読み取ったのか、同じく苦笑してゆっくりと頷いた。


「まあ、若い女性と男性の関係はいつも微妙だからな……。取り敢えず私からリンエをお願いしておくよ。武君」


「ああ、そう言えば長老が武君を呼んでいたんだったな。リンエよ。長く足止めしてしまったが、長老のところまで武君を連れてってくれないか? だいぶ話し込んだから大至急だ」

「え、いいけど……。ま、でも、当然でしょうね」


 リンエインと一緒に、俺は魚神の変化の魚の頭をした人々の間を急いで縫っていった。足元に敷き詰められた桜の花弁を踏みながら奥へと走る。所々に水泡が床から天井まで浮遊していて、天井から落ちる水滴が微かに頭上や服を湿らせている。


 そのせいか、竜王の間はスッキリとした空気の間だった。


 リンエインが長老だと言った魚人は、魚の頭だったが、かなり老けていると俺でもわかるくらいに皺の多い顔だった。背筋を曲げたこじんまりとした体格で、リンチェンと比べると、かなりの時を生きている感じがした。


「武君か……。その節は地球ではお世話になりましたな……」

「あ、いや……」

「姫と四海竜王とも相談したのじゃが、実はな……。ここ竜宮城の住まう惑星を今は地球へと近づけているのじゃよ」

 俺は即座に首を傾げた。

「え、じゃあ。前と同じく?」

「そうじゃ、だが前のようにはならないでしょうや。そして、もう遅い……」

「?」


「水晶宮におわす竜王の狙いは、水淼の龍族が呑み干すための全ての水じゃ。ここ水の惑星以外も例外ではなくてじゃ。しかるに、武君。何故、地球へと竜宮城が攻めなければならなかったのかは、もう知っているじゃろう? それは水の惑星の水の失われた地から水が無くなったからじゃが……。僅か数カ月間の間なのじゃよ。ここ水の惑星の水が全て無くなったのは……。地球から余った水を供給してもらったのじゃが……。これでは、まだ水淼の龍族は水を呑み干し足りないと考えたのじゃよ。そこのリンエインとリンエインの父親がな。まっこと、やっかいではあるのだが、竜王退治に地球の剛の者も協力してもらわねば、恐らくは……そこで、姫はここ竜宮城をまた地球へとお近づけになられたのじゃ」


 俺は合点がいき。身震いするほどの寒気がした。前は竜宮城の接近によって地球は大雨が覆っていた。その原因は前と同じ理由で発生していたんだ。


 要するに、水淼の龍族を束ねる竜王を何とかしないといけないんだな。

 それも後、何カ月かの間に……。

 あいつの顔が、俺の胸をチクリとした。


「地球は大丈夫なのですか?」

「いや、もう手遅れじゃよ。遅いのじゃ」

「え?!」

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