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元来たところへ渦潮がまた発生していた。
俺は迷わずに入ると、数秒で違う海へと浮かんでいた。
天空が暗闇に覆われている。エベレスト山のような大きさがそのまま動いているかのようだ。四海竜王が超巨大なその龍にそれぞれ体当たりをしている。けれど、まったくと言っていいほど歯が立たない。
俺は幻の剣を習得するべく。刀の切っ先に気を集中した。
一振りで龍のメを狙わなければならない。
まずは、メを見つけないと……。
龍のメ……どこだ……。
南龍の巨体がひしゃげ。西龍の首が幾つか潰れ、東龍と北龍が遥か後方へと吹っ飛ぶ。
「見えた!」
超巨大な龍のメが一瞬だが、俺には見えたような気がした。
刀を振りかぶった。
龍のメは意外と簡単だった。
人間でいうところの正中線のある場所。
その中央の針のような線を俺は見出した。
超巨大な龍は咆哮を上げる前に、血潮の凄まじい豪雨を降らせ、綺麗に真っ二つになっていた。周囲の海は血の海と濁流が支配する。
「これが……幻の剣……」
俺は自分の力に心底震え上がった。
東龍が人間の姿になって、俺の傍まで来た。
「やったなー! 武よ!」
東龍は震えが止まらない俺の肩を叩いては支えてくれた。
全ての龍は魚軍や四海竜王によって、退けられていた。




