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プロローグ

 遥か遥か遠き星にて 


 竜宮城内 最奥 竜王の間


 冷水、温水、空から流れ落ちるような水が壁面を彩っている間だった。

「姫……? 水淼すいびょうの龍族とは何でありましょうや」

 魚神の変化の魚の頭をした長老の声に、乙姫は遥か昔に浦島太郎が言った言葉を静かに説明しました。

「水淼の龍族……。それは、この本星にいつの間にか住み着いた。水を呑み干す龍の総称です。あの日、水の失われた地に現れた龍は、その一つだと言っていました。本星を危機に晒し、地球へと侵略をしなければいけなかった。けれども、もう水が失われることは……ない……と、思いたいのです」

「では、きゃつらは非常に大勢いると?」

 しかし、定かではないと乙姫は言って皆に頷いた。


 魚神の変化の魚人たちは、大勢いる。

 天井から舞う木の葉は、今は秋の枯葉であった。ハラハラと落ちる枯葉は、乙姫たちの沈痛な気持ちを少しは慰めているのだろう。

「もう……水がなくなることはないと思いたい……のです……」

 乙姫の側近の四海竜王の北龍が具申した。

「この星に来た武の協力を求めましょう。さすれば私たちだけでも退治してみせましょう」

「姫。それでも無理のようじゃ。まっこと水淼の龍族は厄介な生き物で、恐らくこの地から離れた水晶宮におわす竜王を倒すのが一番かと……本星の水の無くなる前に、まずは地球へと急いで行きましょうや。あの星から剛の者を全て呼び……」


 乙姫は頷いた。

 今度はすぐに決断ができた。

 もう何百年前の乙姫ではないのだ。

 そう、乙姫は変わったのだ。


―――


 日本海域

 巡視船内 浮遊丸 午前5時0分


「このところ雨が止むことがないなー」

「そうでありますか?」

「半年前みたいに世界規模だってさ」

「……」

「ありゃ、大変だったが……またとはなー」


 戸豪 正は、部下の国助 実の顔を見ても仕方がないので、何か注意を引くものはないかと、考えあぐねているそばから真っ暗な船室で、レーダーにも肉眼にも映る大量の渦潮を発見した。


「なんだか、前と同じですねー」

 国助の震える唇から出た言葉だった。

「ああ、半年前……。確か竜宮城が攻めて来たっていう! おとぎ話から飛び込んできたような話のあれか?!」

 険しい顔で戸豪は前方を睨んだ。

 渦潮は更に数を増やした。

 轟々と雨風の鳴る暗き海だった。

 普段なら、雨風も気にしないのだが、戸豪は半年前のこともあって、かなり神経を使わざるを得なかった。

  

「大騒ぎになったが、ありゃー、さすがに俺でももう死ぬかと思ったな」

「ええ。そうであります」

「なんでも、日本のどこかの神社が退治したって?」

「はあ……」


 巡視船は、渦潮から遠ざかろうと面舵を取った。

 戸豪はもはや危機的状況なのを認識していた。

 皆の噂が本当なら渦潮から龍がでる。

 

 そう思ったのですが……。

 そこからでたのは……。


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