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天使と悪魔とメロンソーダ  作者: ザ・ピンフプロジェクト
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001「テストテストテストテストテスト #test」

文字列を打つという意味において、僕はワープロソフトというものが大嫌いだった。理由は話すと長くなるので割愛する。


よって、基本的にはテキストエディタ、あとはせいぜい、データベースしか弄ってこなかった。データベースについても、基本的に文字列を入れるようなことは少なかったし、直球で言うなら邪魔なので入れたくなかった。


と同時に、そもそも文章を書くことが嫌いであった。そんな僕に、文章を書けというのだから……この「特命」はハードなことがわかるだろう。わからないかもしれないが、わかって欲しい。


結果的には人生を誤った起点となったのが、この君花町役場への就職である。読み方は日本語の数少ない法則性を無視して、<きみはな>町である。


かつての砂山村と深沼町が合併して、どうしてこんなロマンチックな名前になったのかは僕個人としては意味不明なところがあるが、住民投票的にはこの候補がブッチギリだったらしい。


『君に花束を編もう』


二十年ほど前、砂山村出身で深沼町在住だったある作家が書いた恋愛小説。何の賞だったか忘れたが、小説の賞を受賞してベストセラーになり、テレビドラマも大ヒットした。


この舞台になったのがまさに今の君花町だった縁で、この町名が支持されたということなのである。


また、そのテレビドラマで共演した主演俳優同士(名前はど忘れした)が結婚したこともあってか、「君花、恋の町」というキャッチフレーズで、町おこしの売出しをしている。


火山帯にあり温泉もあり観光需要がある地区であるということ、また、前出の俳優夫婦(まだ名前が思い出せない)が日本を代表するようなポジションまでいったため、そう話題を欠くこともなく……「君花、恋の町」路線は成功し、町レベルの地方自治体としてはそこそこのポジションにいるという現状だ。


ここまで他人行儀な書き方をすると、町に興味が無いのではないかと思われるかもしれないが、実際そうである。幸か不幸か、また何かの間違いかは知らないが、君花町役場が僕に内定を出してしまったので、ここまで働いているという訳である。それ以下でも、それ以上でもない理由。


幸なのは結局、ここしか内定が出なかったということ。結果的には、なんとか食い扶持にありつけたという訳だ。


不幸なのは、今。今まさに。ジャストナウだ。つまりは、特命のせいである。

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