第2話 引越し
引越しの当日は真夜母の香織さんがテキパキと指揮を取ってお昼頃にはリビングの整理がほとんど終わっていた。
「あんた達どっちの部屋か決めたの?」
香織さんが俺たちに聞いてくる。
「えっ?私は日当たりの良い部屋で朝日を浴びないと起きれないもん!こっちの部屋だよ!」
「部屋は真夜に任せるわ。俺はどっちでもいい」
「そうね。どうせ真夜のお世話になるんだから、それくらい真夜に選ばせて正解ね」
キッチンでお昼ご飯を作ってた俺の母親は息子を信用せず、生活面で真夜のお世話になるって決めつけている。
あながち間違ってないと思うけど。
「蕎麦茹でたからみんなで食べましょう!」
笑顔で真夜は俺の母親にお礼を伝える。
「裕翔ママ!ありがとう!!」
次からは真夜が料理担当になるからか?
すごく喜んで居るように見えるのは気のせいでしょうか?
夕方には大方の作業が終わり、母親達は帰る準備を始めた
「真夜!裕翔の事よろしくね。」
「でもね、真夜もしっかりしてるようで、抜けてるから…ヒロトに迷惑かけると思うよ?ヒロトも真夜の事よろしくね」
「まっ、あなた達は喧嘩なんてしないでしょうから、力を合わせてがんばりなさい」
おいおい…2人とも自分の子供の事を信じてないのに2人で住まわせていいのかよ…
引越し祝いで帰ってから飲もう!なんて言いながら2人は帰宅していった。
リビングで座っていると、真夜がお茶を用意して話し掛けてきた。
「一緒に住むなんて予想してなかったけど、うけるね」
「てかさぁ、お互い彼氏、彼女出来たらめんどくさいよな。」
「私はしばらく作る気ないから平気だよ!」
「嫉妬されるのが面倒臭いんだろ?」
「うん!絶対されるじゃん!」
「俺もそう思う。考える事は一緒だな。」
お互い気を使うわけでもなく、リビングにずっといましたね。
「あっ!そうだ。裕翔、役割決めようよ!」
2人で話し合って、料理担当は真夜。ごみ捨ては俺の仕事になりました。
掃除は場所を決めてする事。洗濯は交代制。
ただし、主導権は真夜…
初日の夕飯はバタバタしていたので、近くのスーパーを見学がてら、お惣菜を買って食べることに。
食べ終わると
「先にシャワー入っちゃうね〜」
30分くらいでシャワーから出てきた真夜はピンクのシルクのパジャマ姿でした。
リビングでドライヤーを掛けている間に俺もシャワーに入る事に。
「洗濯は私が明日やるから、洗濯物カゴに入れておいてね!」
洗濯物カゴを見ると、黒いブラジャーと丸まったショーツ。
下から3番目のカップくらいかと思いきや、ブラジャーのタグにはB70と書いてるからBカップだったらしい。
女の子の使用済み下着を見ても何も思わないのは幼なじみだからだと思う。
でも、見てしまうのは男の性なのでしょう。
真夜は幼なじみを抜きに見ると、美少女タイプ。
クリっとした目で整った顔立ちをしています。
シャワーから出ると、真夜はロングヘアーを降ろして、スマホを操作していました。
「あっ、お茶でいい?」
「あっ、うん。サンキュー」
わざわざ立ち上がってお茶を入れてくれる真夜。
明日のご飯の準備や洗い物。ましてやシャワー上がりのお茶までだしてくれて、俺も頑張らなきゃ。
なんだかんだで、24時くらいまで話をしていて、規則正しい生活を送っていた真夜は眠たそうにしていて、気がつくと俺の膝を枕にして眠ってました。
「真夜!こんな所で寝たら風邪ひくぞ!」
「むぅ〜。連れて行ってぇ」
もう起きる気が無いようなので、お姫様抱っこをしました。
「軽っ!」
思わず口に出しちゃいました。
「重いなんて言われたら明日からのご飯無くなるところだったねww」
「笑える元気があるなら、自分で歩け!」
「えっ、あ〜。裕翔やさしい!カッコイイ!!」
なんかムカつく。
真夜は落ちないように俺の首に手を回してます。
俺は部屋の扉を開けると…
布団敷いてない…
「布団敷いてないやん!」
「あっ…忘れてたぁ。てへっ笑」
まだ圧縮袋に入って、ペシャンコの布団がありました。
布団を敷かずに、化粧品や、装飾ばかりやっていたっぽい
順番違う…
「じゃあ〜裕翔の布団で一緒に寝てあげる!」
「仕方ないから、一緒に寝てやるよ」
ついでに電気も消して2人で俺の布団に入った。
「一緒に寝るのって中学生ぶりじゃない??」
「そうだな!怖いテレビにビビってた以来か?」
「あれは裕翔が悪い!」
「てかさ?質問なんだけど…」
「なに??」
「なんで、俺の腕を枕にしてる??」
「じゃあ、枕貸して?」
「どうぞ!俺の腕をお使いください!!」
「うん。それでよろしい」
「高校の時に彼氏いたから、腕枕なれてるんだろ?好きなのか?」
「居たけど…一緒に寝るとかしてないし。なんなら遊んですらいなかったもん。」
「そうなの?」
「しつこいから付き合ったけど、形式上の彼氏だっただけ!そうゆう、裕翔だって腕枕してたんじゃないの?」
「俺も一緒に寝るとかしてないし…遊んではいたけど」
「そうなんだ…意外だね!」
いつの間にか真夜は寝息をたてて、眠りにつきました。
(こうやって見ると可愛いんだけどな…)
俺も真夜を軽く抱き枕にして眠りました。