第一話 大合衆国
西暦2080年3月15日 ユーラシア大陸ロシア連邦サンクトペテルブルクにて。
……この日を人は、統一の日と呼んだ。
開闢のハヤブサ 第一話 「大合衆国」
「みなさん、こんにちは」
挨拶をしたのはロシア連邦大統領セレッソ・ペーテル。見たこともないような大衆を見下ろして、彼は話し出す。
「私たちは長く平和に暮らしてきました。しかし、2060年のアメリカによる中国への空爆に始まり2064年のドイツにるイギリスへの軍事侵略。
そしてついには2066年に日本と韓国の日韓戦争が始まり2070年には抗争が本格化し米中戦争が始まり、そしてフランスは米軍側に、イタリアは中国側に分裂しフィリピンは東南アジア全土に宣戦布告し、ほぼ占領下に置いた第三次世界大戦が始まってしまいました。しかし我が国ロシアは戦争と言う悪魔に手を引かれずにいました。しかしそれももうもはや世界大戦になってしまっては意味もない。そして去年の2079年に日韓戦争は韓国の勝利となり、米中戦争はドイツのアメリカ連合国家化になり中国の事実上敗北で、第三次世界大戦は収束を迎えようとしています。そして、我が国が中心となり新しい政治、新しい国家を作ろうと、立ち上がったのです。しかし、そうも世界は甘くはないようです……敗戦国の中国と日本は残党兵力を使い、忘れもしない昨日に至ります…。
私達のいるこの場所、サンクトペテルブルクが復興の中心地になったのです。第三次世界大戦の終戦協定が結ばれようとしましたが、そこに残党軍が潜伏しており、各国首脳陣たちが次々に殺害され、市民なども殺害されてしまいました。
被害はおよそ四十万人に昇るとされています…
そしてなお!残党軍は逃げていると、、、。
許されるはずがないのです!
そして私達は団結しました!今こそ世界が一致する時なのです!
最早、国家や民族、宗教や首脳陣などもないのです。
大合衆国「「ブルガリア」」それが、私達の残された、復興の道なのです!!」
演説の終了と共に、会場は歓喜と怒声に溢れ帰り、ペーテルは自らの勝利と独裁を確信へと変えた。
「これからは、私の時代になるな」
男は心の中でつぶやき激しい興奮の中で眼前に広がる群衆を眺めていた。
第一章 一世紀の時を超えて
泥臭い空気。血と焦げた鉄の匂い。
そして辺り一面に転がる薬莢と死体。
これを地獄と言うのだろうか。
激しくなる轟音、耳が痛くなるぐらいの銃声。
「ぐぁっ!」
「おい!大丈夫か!?」
隣の兵士が流れ弾にあたり悶絶する。
「あぁ……アグァァァァ!!!」
彼を掴んでいる自分の手が血で真っ赤に染まる。
そして何もすることが出来ず、彼は言った。
「こ、、、殺せ……」
え……?何を言っているか分からなかった。
「もう嫌だぁ……楽にさせて、、ゲホッ、させて……」
血反吐を吐きながら囁いた。
「そんなこと、言わないでくださよ!!!生きるんですよ!!!」
溢れ出す血を見て、手が震えた。
「バァンッ!」
後ろから銃弾が飛んできて抱えた兵士の脳天に直撃した。
後ろを見ると、それは同軍の兵士だった。
「な、なんで…うったんですか……」
「殺せと言っていただろう」
そんな、、、
「貴方には人の感情がないのですか!?」
すると銃のグリップでこめかみを殴られた。
「この状況で感情もクソもあるか!?綺麗事かましてる暇があったら突っ込んで忠誠心見せろ!!!!」
すると彼は足早に後方の拠点へと戻って行った。
頭を撃ち抜かれた兵士を見て、嘔吐した。
体が動こうとしないのだ。すると敵が撃ったと思われる銃弾が地面にあたりそれが跳ね返り自分の足に当たった。
「!?」
体感したことのない痛み。失神寸前とは、走馬灯を見たような感覚だ。叫ぶことさえできない苦痛に俺はー。
目覚めるとそこは知らない天井だった。
起き上がると目に入ったのは日本残党軍の兵士と見知らぬ医師だった。
「お目覚めだね、隼くん。」
なんで、俺の名前を……?
「あなたは……?」
「私は日本軍、いや、日中連合軍の林 大和少佐だ。宜しくな、」
なんだ、、、?状況が掴めない。
「あぁ、日中連合のことか?まぁ、名前の通りだなって事だ。現環境では少佐が1番上の階級だ。」
ますます意味がわからない……。それに俺は最前線で……あれ、?
「そうさ、君は前線で撃たれて足を負傷した。そして我が軍は新兵器の開発をしている。こうした負傷兵の手足を切断して最高級の軍事兵器を作ろうとしているんだよ」
…………つまり?
「俺の手足を、切断すると…?」
少佐は万遍の笑みを浮かべた。
「あぁ」
「「冗談じゃない!!!!!」」
俺は咄嗟に立ち上がり病室を出ようとした。
が……
「ドテ……」
足が固定され転んでしまった。
「どうしてだい?素晴らしい名誉ではないか…?」
なんなんだよ……こいつら!頭が狂ってやがる!!!!
「やめろぉぉぉぉ!!!離せっっっ!!!」
必死に抵抗するも力の前では無力に過ぎぬ。
首に麻酔を注射され、意識が遠くなっていく…。
「いやだ……俺は……まだアイツに…………」
「ふぅ……。やっとか。これで何人目だ?」
少佐は医師に確認する。
「これで8人目です」
「そう…か。よし、連絡しろ。」
…………。
「どこにですか??」
「決まっているだろ?ドイ…………
………………。俺の意識は途切れた。