森の忍者 にん太のおねしょ
人里はなれた深い森、そこは黒いカラスが朝の早い時間から鳴き声を上げながら飛び交っています。そんな森の中で太陽の光が入る場所に、小さなかやぶき屋根の家があります。
その家から出てきたのは、まだおさなさが残る男の子のすがたです。屋根のほうには、1羽のカラスがそでのない短い着物を身につけた男の子の様子を見ています。
「にん太、朝早く起きて何しているの?」
「わっ! カラスまる、こんなところにくるなよ!」
にん太は、カラスまるに出くわしたとたんに気まずそうな顔つきを見せています。そんな男の子のすがたを、カラスまるは見のがすはずはありません。
「はは~ん、さては今日もおねしょを……」
「わわわっ、おねしょなんかしてないって!」
カラスまるは、にん太の着物から見えている赤いふんどしをじっとながめています。
「それじゃあ、家の中へ入ってにん太のおふとんがどうなっているかを……」
「家の中へ入っちゃダメ!」
にん太は、家の引き戸をしめてカラスまるを入れないようにしています。すると、カラスまるはにん太のはずかしいことを口にしました。
「そうだなあ、にん太が10才になってもいつもおねしょしていることをカラスたちのなかまに……」
「そ、それだけは言わないで!」
カラスの言葉に観念したのか、にん太は家の中からおふとんを持ってきました。そのおふとんには、見事なまでにでっかいおねしょがえがかれています。
「てへへ、水とんのじゅつをゆめの中で見てしまった」
「やっぱり、忍者だから水とんのじゅつを見るのは相変わらずだなあ」
おねしょふとんをほしたにん太は、おねしょでぬらした赤いふんどしを右手でにぎりながら顔を赤らめています。毎日のようにくり返すおねしょが治らないかぎり、1人前の忍者になるのはまだまだ先のことになりそうです。




