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反省会

 反省会を開く。一人反省会だ。結婚前は仕事でネガティブなことがあると居酒屋で一人反省会を開いていた。反省した内容は飲んでるうちに酔っ払って忘れる。一石二鳥だ。


 さすがに今は飲む気がしない。というかガチの一人反省会だ。今、ダンジョン入り口の裏手でストレージハウスに入り、ペプを撫でている。いろいろなことが頭に浮かぶ。整理しないと。


 まずは防御について。防御をなんとかしないとそのうち死ぬ。間違いないだろう。俺はかなり粗忽者だ。八割主義、と言えば聞こえはいいが、何事も八割九割から百パーセントにするコストはかなり大きいし、大抵はつまらない。だから苦手だしやりたくない。しかし、敵の攻撃を九十九パーセント避けられるように訓練したとしても、一回は殴られる。それが致命傷だったら死ぬ。俺は戦闘で何回かは殴られる、そういう前提に立たないとダメだ。つまり防御力だ。


 ジャイアントと一人で殴り合えることを目標というか、最低限そのくらいはできないとやっていけないんじゃないだろうか。まだ田舎の迷宮の地下五階のレベルだ。 最終的には王都のダンジョンを攻略し、魔族を倒さなければならない。


 あのジャイアントのパワー、チェインメイルを着てても危なかっただろう。盾があっても同じか。プレートメイルなら防げたかも。しかしプレートメイルを着て歩けるほど体力がない。

 

 防御力は喫緊の課題だな。回避だけでなんとかするなら、後ろから殴りかかられても気配で察知できるような特殊能力がないと。


 緊急ヒール。ブラインドでジャイアントが怯んてた時に回復する隙があった。今は集中しないとヒールできない。これは身体に染みこませるんだ。息をするように回復するまで訓練する。


 ダンジョンの攻略情報、あまりにも知識不足でダンジョンに入った。できる準備は予めしておかないと。命がかかってるから。どっかのパーティに入れてもらうのもいいな。このダンジョンには無かったけど、罠があるかも知れないし。


 マジックアローは強い。メインの戦力にしてもいいかも。これはできる限り仕込んておこう。


 ロックフォールも、もっと大きいのを仕込んでおこう。マナを少し使うけど巨石も仕込んでおくか、もしものために。



 さて、ジャイアントからゲットした剣だけど、一本目は大きすぎて誰も使えないだろう。溶かして新しい武器の材料にできるように鍛冶屋か武器屋に売るのがいいかな。どうやって持ち込むかが困りどころだけど。それともネタで持っておくかな。


 二体目からゲットした剣は普通サイズで、なんかちょっと綺麗だ。名剣かな? マジックアイテムかとうかはIDEでわかるな。宝石やアクセサリーも合わせて調べてみようか。


 IDEを開くと、剣のアイコンがやや明るくなっていて、マナメーターとコードアイコンがあった。アイコンに意識を集中してプログラムコードウインドウを開くと、ファイアーボールと同じ、温度上昇と発火のコードがある。つまり炎の剣か。俺は剣のマナを満タンにチャージしておいた。


 この剣で、もしかしてリッチにダメージを与えられるんじゃないだろうか? マジックアローもある。チャレンジしよう。


 入手したアクセサリーは指輪が二つ、腕輪が一つと数個の宝石だった。指輪と宝石には魔法がかかっていない。


 宝石はそれぞれ充填できるマナの量が違うようだ。これは宝石の価値に等しいのではないたろうか? 種類によっても価値が違うたろうが、大きいものほど価値と充填量が増えるんじゃないだろうか? あとは傷がないかどうかとか。売るときはこれを目安に値段交渉してみようか。


 腕輪は銀でできていて、細かい模様が入っている。S字がモチーフになってそうな柄だ。魔法がかかっているが、コードを開いてもさっぱりわからない。うーむ。


「ペプ、王都にいこう!」

「ナア!」


 嬉しそうだ。どんなところか知ってるんだろうか? 俺は知らないが。


 目標が決まった。



 シャワーを浴びながら身体を確認する。風呂に入りたいが今はまだ無理だ。ジャイアントにやられた傷はすっかり消えたようだ。接ぎ木無しで骨折をヒールしたから、骨が曲がってくっついてないか不安だったが、問題ないようだ。もしかしたら人間には本来正しく接合しようとする力があるのかも知れない。



 街へ戻り、いつも通り市場で多めの食料を買った。だいぶストレージに溜まってきた。どんだけあっても困らないどころか足りなくなることがあるかも知れない。


 市場の人からは、いつもたくさん買っていく大食いの人と思われているかな? むしろ猫を担いでいる人と呼ばれているのかも。この世界にも野良猫がたくさんいる。いい街だ。ネズミや何やらいるから食事には困らないんだろう。家猫がいるかどうかは分からない。知り合いがいないからな。俺の勝手な想像ではいないと思う。犬の散歩も見ない。野良犬ならいる。だからペットを連れて歩いてるのは珍しいはず。実際見たことない。



 もうこそこそする必要がないので、ペプと一緒に王都行きの乗合馬車に乗った。

 

 馬車からは長閑な田舎風景を堪能できたが、数時間もガタガタ揺られていると、嫌になってしまった。馬車は魔術師ギルド前で休憩のために停車したので、ペプのトイレと水とメシにした。人目があるのでめんどくさい。馬を買うかな。魔術師ギルドには定期的に顔を出せって言われてるし。馬もめんどくさそうだが、ストレージに入ってくれないかな?



 夕方、王都についた時には、慣れない馬車の移動ですっかり疲れてしまってた。時間に余裕があれば、旅気分で歩いて来たほうが良かったが、そうも言ってられない。切羽詰まってるわけじゃないが、時間を無駄にしたくはない。


 ヨーギとは違い、ハロン王国の王都シンシアは城郭都市だ。高い石の壁に囲まれている。市街からは小高い丘の上にある王城が見える。王城はまた別の壁に囲まれていて、二重の守りとなっている。ここからは見えないが、城の隣に王宮があるらしい。


 賑わいは城門の外から続いていた。街道の両脇に露店が立ち並ぶ。その後ろには多くのテントが立っている。門をくぐると門前宿と商店が並んでいて、言葉通り門前市を成していた。


 王都に入るのに市民証やら税やら要るのかと構えていたが、馬車ですんなりと入れた。そのまま停留所へ行き、止まった。


 とりあえず街をぶらぶらしてみる。急務なのは寝床の確保だ。宿はまあ無理だろう。人目につかないところがあればいいんだが……。ダメならまた街の外だけど、キャンパーも多かったから街から結構離れないとハウスに入れそうにない。


 表通りは人通りが多いが、ちょっと裏に入ると人がいないようだ。誰が通るか分からないから、出るときに出やすいところを見つけてハウスに入った。ペプは小走りにトイレに行った。そうだと思った。危なかった。


 日が暮れそうなので、ショッピングは明日にしよう。今日は居酒屋を開拓だ。




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