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湖と男

作者: 灘 Hayase

その男はある湖の湖畔で釣りをしていた。

いつもなら、1時間もいれば3匹は釣れるような湖だったが今日は調子が悪いようだ。2時間たったのにまだ1匹も釣れない。

男は午前の獲物はあきらめ、釣竿を釣竿立てに置き、折りたたみ式の椅子に座って昼食を食べ始めた。

昼食は男の妻が作ったものだ、卵焼きに唐揚げ、ミニトマトにブロッコリーにタコさんウインナー。よくみるような弁当だ。

男は10歳になる娘に大量の魚を約束したことを後悔した。よりによってこんなに釣れないなんて。

弁当を食べながら湖を見渡してみると、釣りをしているのは男だけだった。

いつもであれば誰かが周りの調子を確かめに、話しかけてくるような人が数人はいるというのに。

男は変だなと思ったが、まあ今日は土曜だけれど祝日だから、世の中の父親は家族サービスに勤しんでいるのだろうと思い直し、気楽な家庭でよかったとほっとため息をついた。

男は弁当を食べ終わると釣竿にエサをつけ直し、湖に向かって投げた。

数分もたたないうちに釣竿につんつんとした感触がくる。

少し待って、リールを引くとどれだけの大物が食いついたんだと思うくらい力が強い。

鍛えることもしていない男は力負けして湖の中に引き込まれた。

気づくとそこは真っ暗な世界だった。

男は泣いた。出口も見当たらず、彷徨い続けた。

気づくとそこは見慣れた湖の底だった。

泳ぎ疲れた男は目の前に垂らされた食べ物に食いついた。


End


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