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7話 仲間を探したい

 俺たちは酒場にやってきていた。


「スッキリしました!」

「そうだよね。あいつら偉そうだったからあんなふうに逃げていくところ見られたのは面白かったよね」


 シェリーとシオンがそうやって話していた。


「俺としてもあんなあいつらの顔を見られたのは面白かったがな」


 あれだけイキっていた連中が顔を真っ赤にして去っていくのは本当に見ていて面白かった。


「さて、と。ところで死の森の攻略についてだが」


 本題に入るとしようか。

 四天王の1本であるキングスケルトンをとりあえず討伐したいのだが。


「私も一緒に行ってもいいですか?」


 シェリーがそう聞いてきた。


「構わない」

「やったです!」


 何故か喜んでいる。


「まあ適当に進んで適当に倒しちゃいましょうという話なんだが」


 酒場内を見る。


「われわれは今度こそついにあの難関不落と謳われた死の森を攻略する!」


 どうやら俺達とは別にギルド主体の攻略作戦があるらしい。


「幼い少女に手を出したキングスケルトンを我々は許してならぬ!勝って帰るぞ皆の者!」

「おおおぉぉぉぉぉお!!!!!!」


 なんともまぁいきり立っているらしい。

 それこそ俺が何もしなくても終わってしまうのではないかと思えそうなほどの勢いだ。


「だがまぁ今回ばかりは何がなんでも俺も動かなくてはならんからなぁ」

「でもアインなら余裕でしょ?」


 出された料理を食べながらそう聞いてくるシオン。


「どうだろうな」

「ゴブリンに負ける白魔道士じゃ無理か」 


 笑って口にするシオン。

 別に本気で言っているわけじゃない。彼女なりの軽口だ。


「ゴブリンなんかには負けないぞ俺はこの鍛え抜かれた今の俺にとってゴブリンなどは敵ではないのだ」

「ならいけそうだね」

「そりゃもう楽勝よ」


 腕を組んでそう告げた。


「期待してるよ」

「そういえばシオンとアインはどういう関係なんですか?」


 シェリーが疑問に思ったのかそう聞いてきた。


「白魔道士と魔法剣士なんて珍しい組み合わせですよね」

「それは白魔道士では魔法剣士と釣り合わないという意味だよな?悪かったな釣り合わなくて」

「い、いえ、そういう意味ではなくてですね。魔法剣士の方達は基本的にサポートを必要としない人が多いイメージがあったので」


 俺を見て何故かニヤニヤしているシオン。


「それはこのアインが歴史上1番最強の白魔道士だからだよ」

「そ、そうなんですか?」

「そうなのか?」

「そうなのー」


 呆れたような顔でそう言うシオン。

 俺のラストバトル補正とやらはそこまで凄いものだったのだろうか。

 世界最強と呼ばれるレベルなのだな。


「だからシェリーも期待していていいよ。アインならどんな敵と対面しても勝たせてくれるから」

「期待が重いな」


 そう呟きながら立ち上がると2人も立ち上がった。


「そろそろ宿屋でも探そうぜ。流石に寝床がないのはまずいし」



「そういえば白魔道士とヒーラーってどう違うんですか?」


 宿の部屋で休んでいたら突然聞いてきたシェリー。

 ふむ。そうか。白魔道士とヒーラーの違いか。


「俺もそんなに詳しい訳じゃないがヒール系、いわゆる回復魔法のみに特化した存在をヒーラーと言うのは知ってるか?」


 ちなみに俺が先程勘違いされたのはこのせいだろう。

 ヒール系の魔法を使用して死の誘いという解除しにくいデバフを解除できるのなんて高位のヒーラーでないと厳しいからだ。


「特化するというのはその道を何年もかけて極めるって事だと思ってもらえたらいい。死の誘いはそれこそ1部のSランクヒーラーでもないと解除できない程のデバフだ。だからそれを解除したから俺はヒーラーだと勘違いされたのだろう」

「だから皆さんヒーラーだと言っていたのですね」


 頷く。


「次にだがヒーラーの他にもいわゆるサポーターと呼ばれる職があるのは知っているな?例えばシェリーの黒魔道士も本来はその位置だ。まぁ今回はこれについては話さないが味方にバフを振りまく職とか色々あるわけだ」

「はい。それは知っています」

「で、いちいちそいつらをパーティに編成していては枠を圧迫するだろう?指示を出すのも面倒くさい。そこで生まれたのが白魔道士だ。白魔道士は一芸に特化せず浅く広く各サポーターの動きができる魔法使い」


 それが前世と今世の俺だ。

 しかし今世はスキルのおかげで深く広くという訳の分からない動きが出来るが。

 こんな存在がいては他のサポーター職の存在価値が産廃となってしまうことを危惧してシオンは俺を止めようとしたが一緒に落ちてしまったらしい。


「パーティリーダーもいちいち複数人に指示を出さずにその白魔道士にだけ指示を出せばいいから必須クラスの職だと言われていたのだ」


 そう、あの時までは。


「アインが死んでからはその風潮は変わったみたいだがな。結局何するにしても中途半端だからガチのパーティでは採用されない」

「そんな流れだったんですね」


 知らなかったのか目を丸く見開いているシェリー。


「で、シェリーの黒魔道士というのはその逆だな。相手にデバフを振りまきながら攻撃もできるそんな職だよ」

「じゃあ、私も中途半端でいらないって言われる時が来るのでしょうか」

「ないんじゃないか?黒魔道士は俺の目から見ても優秀だし」


 黒魔道士に関しては代用が効かないという話もある。

 白魔道士とは違って、だ。


「そ、そうなんですね」

「そもそも白魔道士の俺が黒魔道士を切れるわけがないだろ?安心してくれ」


 何が起ころうと白魔道士の格が上がることは無いだろう。

 さっきの俺のことをヒーラーと信じ込んでいた野次馬を見ていると強くそう思う。


「ま、という訳だ。後は盗賊でも欲しいな」


 前線で戦場を荒らしてくれる職が欲しい。

 俺が後ろでゆっくりとできるくらいターゲットを取ってくれる人材が欲しい。


「明日はパーティメンバーを少し探してみようか。それが終わったら死の森へ行こう」





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