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11話 王と会話

 昨夜は何事もなく俺達は宿屋に戻って休んでいた。

 そんな時に朝っぱらから見たくない顔を持ったやつが現れたのだった。


「白魔道士」

「げっ………アイムかよ」

「げっとは何だ。この白魔道士風情が」


 隣にいた腰ぎんちゃくの兵士がそんなことを口にしていた。


「よせ」


 しかしそれを咎めるアイムだった。


「しかし………アイム様。この者は」

「白魔道士であることは分かっている。しかしそいつが誰であれ礼儀というものはあるだろう?」


 そう言われると返す言葉もないのか黙る兵士。


「しかしだな。俺はお前を認めた訳では無いぞアイン」

「別に結構だよ。それで今日は何をしに来た訳だ」


 わざわざ俺の宿まで訪ねてくるなど余程の事だと思うが。


「いちいち面倒事を持ち込んでくれるなよ?」

「そんなつもりはない。今日はそちらの女性に用があってきたのだ」


 そう言って俺の後ろにいたシェリーに目をやるアイム。


「はわわわ、わ、私何かやっちゃいましたか?!」


 いきなり近衛騎士団長に指名されて驚いているらしい。

 無理もないだろう。


「シェリーがどうかしたのか?」


 代わりに聞いてみる。


「彼女が王に呼び出しを受けていてな。俺はその伝達役というわけだ」

「え?えぇぇぇぇ?!!」


 1人叫ぶシェリー。


「どうだろうか?ご一緒願えないだろうか」

「な、ななな何で私なんですか?!」


 どうやら絶賛パニックになっているらしい。

 俺の後ろにしがみついているシェリー。


「君は昨日不滅の王と呼ばれたキングスケルトンを討伐してみせた。それが評価されているんだよ」

「で、でも………あ、あれは」


 俺の服を掴むシェリー。


「行ってきたらどうだ?」

「アインが一緒に行ってくれるなら行きます」


 恥ずかしそうにそう言ってくる彼女。


「だ、そうだが?」

「貴様はお呼びではないのだ白魔道士。恥を知れ。恥を」


 思わず苦笑いを浮かべる。

 散々な言われようだ。

 

「だが、俺がいなくてはお前の目当ての人も行かないみたいだが?」

「………仕方ないな」


 やれやれとでも言いたげな顔をするアイム。

 その表情を浮かべたいのは俺なのだが。まぁいいでしょう。

 争いは何も生まないのだから。


「白魔道士一緒に来てくれるか?」

「別に構わない」


 処刑される訳でもないだろうしそりゃ勿論行く。



※


「ほう。お前がシェリーとやらか」


 王城に行くと庭園には既に王様とやらがいた。

 金髪を短髪にしている男だ。


「そして………ふむ。貴様らがシェリーとやらの仲間か」

「そうだな。俺の名前はアイン。よろしくな」


 そう言って手を差し出した。


「ちょ、何してるの!」


 のだが、シオンに耳元でどなられた。


「何だ?」

「その口調を何とかしないと!王様なんだよ目の前にいる人は!」

「あっ」

「あっじゃないよ!あっじゃ」


 そうやって会話していたところ視線を落とした王様。

 どうしたのだろう。嵐の前の静けさと言うやつだろうか。

 しかし数秒後顔を上げた時には何故か笑い顔が浮かんでいた。


「ふははは!面白いやつだな貴様は。この俺に敬意のけの文字も示さないとはアインとやらか。名前覚えておこう」

「そりゃどうも」

「許す。許すぞ。その話し方を俺は許す」


 何故か許されたらしい。

 それを聞いてほっと胸を撫で下ろすシオン。


「もう、ちゃんと気を付けてよね」

「王様にもダーリンの素晴らしさが伝わったようで私は嬉しいのだわ」


 そう言って俺の左腕に飛びついてきたレイナ。


「ふむ。そうだろうか」


 それなら嬉しいのだがな。


「ところでシェリーとやらキングスケルトンを倒した時のこと詳しく聞かせてはくれないか?あのモンスターはあそこにボスとして君臨してから長い間誰にも倒されたことがないモンスターだ。故にその化け物を倒した武勇伝。お前の口から直接聞きたいと思っている」


 なるほど。

 それを聞くために呼び出したのだな。


「いいのですがあれを倒したのは実質私ではなくアインなので彼から話を聞いた方がいいと思います」

「白魔道士が?」


 王が驚いたような顔で見ると同時に興味深そうな顔をした。


「再弱職白魔道士が四天王の一角であるキングスケルトンを倒しただと?なかなか笑わせてくれるな」


 どうやら信じてはくれないらしい。


「まぁ、そもそも倒したのはシェリーだしな」


 俺は確かにバフをかけたがしたのはそれだけだ。

 倒したのはシェリーであって俺ではない。


「えぇ?アインですよ」

「シェリーだろ?」


 そんなことを言い合っていると。


「ならば白魔道士よ。ここにいるアイム貴様の兄であろう?こいつと御前試合をしてみせよ」

「え?」


 心の底からそんな声が出た。

 何がどうなってそうなったのやら。


「えっと、何で?」

「ここにいるアイムは近衛騎士団の団長にこの若さで抜擢(ばってき)された。そいつに勝つことが出来たのならお前がキングスケルトンを倒した英雄だと証明ができる」


 ニヤッと笑う王様。


「という訳だ。準備をしろ。終われば開始だ。お前の力とくと見せてくれ」


 ふははははと声を大きくして笑う王様だった。


「白魔道士。貴様には負けんぞ」


 アイムが俺の目を見てそう行ってきた。

 何やら大変なことになってしまったらしいというのは理解した。

 だが、そう言われてもなと同時に思う。


「俺があんたに負けたらそれはそれでやばそうだしな」

「当然だ。何度も言うがキングスケルトンを倒したのは貴様ではない。そこの少女だ。俺に負ければどうなるかは分かるな?」


 なんとなくは分かるがそれだけだ。

 具体的には分からない。


「貴様はベルトリーチェ家を追放された上王の御前で嘘をついた大罪人のゴミとしてこれから国中から罵られることだろう」

「なら負けられないな」

「貴様には負けんがなアイン」


 そう口にして俺から離れていったアイム。

 大変なことになった。


「ご、ごめんなさい。アイン」


 謝ってくるシェリー。


「問題ないのだわ。ダーリンが負けるはずがないのですから」


 ねーっと飛びついてくるレイナ。


「さて、どうだろうな」


 苦笑いしてから俺も戦闘前の準備を始めることにした。

 さて、どうするか。


「シオン」

「ん?」


 とりあえずシオンに声をかけることにした。


「剣を貸してくれないか?」

「別にいいけど、大丈夫かな?」

「大丈夫だろ」


 そう言って不安そうな顔をする彼女から剣を借りた。

 さて、あとはあいつをぶっ潰すだけか。


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