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星の海を翔る  作者: アラタ
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1-8.Four leaf clover

 今回の任務が終わったら、エリックとラウルを誘って飲みに行こう。人数が多いほうがレキシアも楽しいと思うし。


 そんなことを考えながら可動式歩道(オートウォーク)に乗り艦橋(ブリッジ)へ戻ると、ラウルから「レキシア殿がお呼びですよ」と声をかけられた。


 席を外したことを怒ってるのかな? ちゃんと時間通り戻ったのになぁ。

 ここは笑顔で懐柔だ。


 指令台(コマンドフロア)へ続く階段を上がると、司令席に座ったレキシアがひじ掛けに頬づえをつき、正面のスクリーンから視線だけ僕に動かした。


「ミハエル、ちょっと来い」

「はい?」

「これはなんだ」


 歩みよった僕にレキシアが胸ポケットから四つ葉の栞を抜いて見せた。

 あれ、もうばれちゃったか。


「シノンがくれたんだよ」

「それで配り歩いてるのか」


 面白くなさそうに言いながらレキシアはまた正面のスクリーンに視線を戻した。なんだか僕が艦内に栞をばらまいてる軽率なひとみたいに聞こえるのは気のせいだろうか。


「もらったのは三枚で、一番にレキにあげたかったんだよ。といっても、レキはお守りのたぐいは信じてないでしょ。だから勝手にポケットに入れちゃった。エリックにもいま渡してきたから、あとはラウルに――」


「自分の分まで他人にゆずってどうするんだ」

「まあ……それはそうなんだけど」


「だけど?」

 抑揚なくレキシアが言葉の続きをうながした。


「僕にとってはレキもエリックもラウルも他人じゃないから……無事でいて欲しいなって思って。あやかれる幸運ならあやかりたいもの」


 眉間にしわを寄せながらレキシアが「ばかだな」とつぶやき、栞を僕に差し出した。


「シノンはミハエルに渡したんだ。おまえが持ってろ」

「もらったものを僕がどうしようと自由でしょ」

「おまえ冷たいな」

「ええ? レキに言われたくないよ」


 ほんとなんなの。気持ちを汲んで素直に受け取っておけばいいじゃない。



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