表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星の海を翔る  作者: アラタ
4/339

1-3.Four leaf clover

「最前線到着は一時間後だな。ミハエル、修正を旗艦に入れてくれ」

「了解」


 進行方向前面の大型レーダーを確認すると、敵艦数は時間とともに増加しているかに見えた。味方の艦が激減しているせいもあるし被探知機能(ステルス)で引っかからなかった遠方の敵艦が徐々に検知され始めたからだ。


 今回の戦闘には三個艦隊が出撃しているにもかかわらず、砲撃に沈んだ味方の総数は半個艦隊分に相当する。このままいけば間違いなく負けだ。


 そのせいで僕たちは後方待機だったにもかかわらず、援軍として最前に駆り出された。この劣勢は今回の会戦総指揮者、ネスラー元帥が招いたものだ。


 不要の出撃を命じられたレキシアは文句も言わず、開戦から現時点までのデータを分析し、移動の途中何度もネスラーに作戦の変更を進言している。


 この期に及んで戦況が好転しないのは、ネスラーが聞く耳を持たないからだ。三十歳も年下のレキシアの意見を取り入れるのは、プライドが許さないのだろうか。


 これまで幾多の作戦を成功させ、幾千の敵艦隊を暗黒の海に沈めてきたレキシアを、若いからとそれだけで無視するのはあまりに愚かで無益だ。


敗軍の将になりたいのなら話は別だけれど。

 無能な采配で命を落とす兵士をこれ以上増やしたくない僕は思案する。


「レキ、どうしようか。もう一度、ネスラー元帥に上申する?」

「無駄だな。あいつには耳がない」

「五度目の正直ってことも」

「そんなことわざないぞ」

「じゃ、妙案があるんだね」


 ノーとわかっていてイエスと答えるしかない哀れな兵士たちを救う方法が。


「もちろん。作戦を修正する」

「変更じゃなくて?」

「あくまで微修正だ」


 艦隊が動けば個々のわずかな動きも大河のうねりとなる。ネスラーに動きがばれるのは必至で、もちろんレキシアは承知の上だ。


「拡がりすぎた戦列を縮小させる。航空部隊を再投入し敵の戦列をかく乱後、側面を崩し旗艦を叩く。ケルサス軍が中央のネスラーに集中しているいまなら動きやすい」


 僕はレキシアの修正案に大きくうなずいた。数時間後、勝利は第一軍(プライマリ)の手中にあると確信したからだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ