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入学

――――二週間後、入学式当日


 あれから二週間がたった。

特に目立ったことはないが、ギルドに登録してきたので学生証とは別にギルドカードを受け取ってきた。学生証と一緒にできるとも言われたがなくすこともあることを考えて別々のままにしてもらった。

 ギルドカード自体は特に変わった見た目をしているわけでもなくただのカードだがしっかりと個人を識別できるように個人の魔力から生成できるインクを利用した文字で書かれているため盗難やなりすましの心配がないようになっているらしい。名前と登録番号、学院と同じ黒に近い紅色で示されたFランクの文字、この魔法都市アベントゥーラの支部を象徴するような文様が描かれている。

 ランクに関しては学院と大差なくSからFまで、最初はFからのスタートになっておりFが入会時の初期ランク、EからDまでが下位ランク、CからAまでが上位ランク、そして特別枠のSランク。下位ランクから上位ランクへの昇格はかなり厳しい試験が用意されているようで簡単に誰でもなれるようにはなっていないらしい。だがある程度の割引などが適用されるなどのメリットもある反面で強制依頼等への参加を強制されるなどのデメリットのような制約もあるらしい。

 力のあるものは弱者を守らなければならないってやつだな、うん。



――――俺の嫌いな言葉だ。



 それは置いておいて、まぁランクによってとれる依頼の範囲があったりなど細かい規則もありながらそれらを守りさえすれば基本的に自由にしていいのがギルドに所属している人の特権のようなものだそうだ。ただ犯罪等に関してはよっぽどのことがない限り自己責任だし裁く側にもまわるとも言っていた。その辺は組織として締めていかなければならない部分だろう。

 登録しに行った日にひょろそうなガキがとか言って絡まれて胸を突き飛ばされた挙句、折れた肋骨が肺に刺さっていたようで血を吐いたり死にかけた話もあるがまぁつまらない話なのでどうでもいいか。向こうもさすがに申し訳なさそうな顔をしていた――なんてことはこれっぽっちもなく一部のやつらと一緒に笑ってやがった、やっぱりどうでもいい話か。

 筋トレや素振りなんかも最近は忘れがちだ。今までやってこなかったものを習慣化するのは難しい。


 そんな感じで今、四月の十日、学院の入学式がある日である。

 大講堂までの道を大体覚えているので向かっているのだが、同じ入学をする人が結構いるようでそれぞれのクラス章をつけた真新しい制服に身を包んだ外国系特有の俺より大人っぽい学院生が歩いている。ぱっと見人間が多いが長い耳が特徴的な見た目が整っているいわゆるエルフや耳としっぽがある獣人などのファンタジー種族もちらほらと見受けられる。

 一番目を引いたのは見た目は見慣れた人とおなじだが巌のような筋肉、高い身長がただのでかいという印象を全く与えない人が避けていきそうな雰囲気を出してるやつらがいることだろうか。よくあるのは鬼人族とかか?でも角生えてないしな、だとすると巨人族とか?まぁ想像だが普通の人間ってことはないだろう。これで普通の人間だったら驚愕だな。

 ただの人で言うと貴族っぽい方とかその辺の人間と特に変わりない平民っぽい奴もいる。


 周りの人間を眺めながら向かっていると、そろそろ学院に近づいてきたようで人の数がもっと増えてきた。

 人波の進行方向を見てみると教師陣が受付をやっているようで、まず小等部、中等部、高等部の三枠その中から一般枠が数か所あり特別枠がある。


 高等部の一般枠の列に並ぶとするか。


 そう思い一番早く空きそうなところを観察していると


「いたいた、勇人君。おはよう」


 聞こえてきた声に振り返ると見慣れた人物がこちらに向かって歩いてきていた。


「おはよう、枢さん」


 いまだにさん付けなのは慣れていないからだ。知り合いではあっても友人ではないからな。

 今までの二週間の間でも何度か会うことがあったがほとんど会話をすることはなかった。

 まぁそんなもんだ。


 周囲を見回すとかなりの人間が枢の方を見ている。周りの人間の視線を集めているのは見た目だけの話ではないだろう。枢の腕には白金に輝く腕章がついている。その腕章を指さしてこそこそと友人連中で話している人間もいれば、単純に見とれている男子もいるようだ。そして自意識過剰ではなければ最底辺のFクラスに配属される人間と仲よさそうに話しているという点も注目を集める要因の一つではあるだろう。

 何にしても人の視線を集める人間だ。


「勇人君、グラス先生に頼まれて探してたんだ」


 グラス先生に頼まれたという用事で探していたことを強調する必要はない。

 それは良いとして、頼まれてって何をだろうか。そう思い問を投げかける。


「私たちが行くのはあっちだって」


 そう返答して指をさしたのは高等部の特別枠の受付。

 よく見るとグラス先生が受付をしている。

 一般枠に比べて人はほとんど並んでおらず他に比べると余裕をもってさばいているようだ。

 目立つのは面倒なので実力的にも一般枠で受付を行いたいところだが、来いと呼ばれてしまったのなら行くしかないだろう。

 わかった。と返答し、枢のあとをついていき特別枠に並ぶ。


「私は受付終わってるから先に行くね。シュネーちゃんも待たせてるから」

「わかった。ありがとう」


 歩き去っていく後姿を見送り、順番待ちをする。

 前に並んでいるのは白金の紋章をつけた学生や見るだけで貴族の中でももっと上流階級であろうと予想できる方々がいたりするだけで俺のようなくすんだ紅色の腕章をつけたFクラスの人間は非常に目立つ。

 だがある程度の時間をつぶしているとすぐに順番が回ってきたのでさっさと受付を済ませようと受付仕事中のグラス先生の前に立つ。


「お久しぶりです。お元気でしたか?」


 そうグラス先生に声をかけられる。


「お久しぶりです。ぼちぼちです。」


 元気でもないし元気がないわけでもないためぼちぼちと答える。教師に対しては失礼な対応かもしれないが考えて発言しているので勘弁してほしい。だめかね。


「大丈夫そうならよかったです。」


 そういって名簿に記入されている俺の名前の横にチェックをつける。


「はい、受付完了です。そのまますすんで大講堂のほうにお願いします。席はクラスの位置はある程度決められてはいますがその中では適当で大丈夫です」


 礼を言って、その場を後にする。

 向かっているのはコの字型の大きな建物ではなくその奥の場所だ。

 コの字型の大きな建物は、小等部、中等部、高等部のそれぞれの職員室と応接室、と一部の研究室、サークル活動の部屋そして大部分を占める保健室があるようだ。

 試験前に入った学院長室はこの建物の上のほうにあったと思う。

 そしてコの字型の建物を通り三つに枝分かれする道がある。左に行けば小等部と中等部の校舎、真ん中を進めば大講堂、右の道を進めば高等部の校舎がある。

 今回入学式があるのは大講堂。ほかの生徒も大講堂を目指してすすんでいるのでその流れに逆らわずに大講堂を目指す。

 俺のつけているクラス章を見てクスクスと笑っている人間がいたことは現状ではどうでもいい。



 大講堂は一言で表すならクラシックコンサートのホールのような感じだ。

確かヴィンヤード型と呼ばれる円のような形の段々畑上のホール

 一階にはそれぞれのクラス章の色をした小さい旗を持った教員が立っておりクラスの大体の位置を教えている。二階には親御さん用の席が用意されている。

 身なりの良い親連中、おそらく貴族だと思われるのは一階のほうに集められている。


 一階を見回してFクラスの旗を持っている教員を探すがなかなか見つからなかった。

やっと見つけた場所は薄暗くなった大講堂の後ろ側の端。

 小等部、中等部、高等部の生徒が座っており小等部はまだ良いが中等部高等部の生徒連中に関しては明らかに態度の悪い連中が一部おり、その他に関してはほとんど元気がなく表情が暗い。



「君もFクラスの生徒か。適当に座ってなさい。」


 適当に着崩した教員の制服を着たぼさぼさ頭の教員が促して来たので適当に隅の方に腰掛ける。すると―——


結局いるのかよ残りカス(・・・・)共が

なんでこの学院に来たんだよ、俺らの評価まで下がりそうだぜ


 そんな言葉が聞こえてきた。視線を向けるとこちらをあざ笑う様子の生徒が見受けられた。


 優秀な教員による優秀な生徒を教育している有名な学院の中で見れば落ちこぼれの集団のFクラス。


 なるほど、そういう感じね・・・


 罵倒が聞こえた生徒の一人がこちらを嘲笑していた生徒に怒鳴りながらつかみかかろうとしていたのを教員に止められている。

 式が始まるまでそんな時間を過ごしているとFクラス連中では一際異彩を放つ人間が現れた。


「進級しても一緒だね、みんな宜しく」


 そんな言葉を放ちながら席に座る女生徒が一人。

 その女生徒と話すときだけは他の生徒も笑顔を見せている。

 赤っぽい明るい茶色の髪の笑顔を周囲にふりまくそんな異色の生徒。

 ――――まぁどうでもいいか。







 時間は流れて入学式が終わり高等部生の校舎へと移動を始め、Fクラスの教室に到着した。

 式は特に変わったことはなく学院長が話して学生代表が話して入学生の高等部代表が挨拶をして終了した。


 板書に張り出されている座席表をみて到着した教室の自分の席に座る。

 クラスメイトはSとFクラスが大体20人前後、他のAからEまでは30から40人って感じだ。

 教室の造りに関しては大講堂の縮小版。黒板のようなものが前にありそれに向かうように段々で席が配置されている。

 他のクラス連中からの評価は低いが機材などに関してはボロボロのひどい状態ではなく古くはあるが普通に使える程度のものだったのでまぁいいほうだろう。

 教卓には大講堂のFクラスの席を担当していたぼさぼさ頭の教員がたっており


「僕がこのクラスの担任ね。名前は面倒だから覚えなくていいや。他の生徒も自己紹介とかいいから諸注意だけ伝えて今日は解散ね」


 やる気のなさそうなだれた教員が諸注意を伝えてくるが基本は通っていた学校と変わらず簡単に言えば争いごとを起こすのはやめることと、学校の備品は壊さないこと。面倒ごとは起こさないこと、これに関しては担任が行う処理が多くなるからやめろとのことだった。

 まぁおおむねそんな感じで数分話したあとは明日の登校時間を話して解散になった。


 別にすることもないので荷物をまとめて帰宅しようと思ったのだが学内がどうなっているのか気になったのもあり、もっと言えば暇だったため探索をすることにした。


 高等部の校舎は五階建てで一階が別の校門方面や別の校舎などその他建物等へのエントランスや更衣室、休憩所、食堂などがあり二階が高等部一年の教室があり三階が高等部二年の教室、四階が高等部三年の教室、五階が生徒会室その他、というのが大まかな校舎の内容。

 別に行く必要はなかったので三階以上はスルー、二階を適当にぶらつく。

 日当たりも良く窓を開ければある程度の風が入って来るため換気もしっかりとできる快適な環境づくりがされている。

 ほかのクラスも終わりはじめ教室を出てくる人間が増えてきた。

 だがSクラスの教室に近づいていくと人だかりがありもめている声が聞こえてくる。

 

 ちらりと目線を送るが人だかりでよく見えない。野次馬根性で見に行くのもよいが素通りする。


 さて教員はどこにいるかね。


 そう思いながら校舎を歩きグラス先生を見つけたので報告して寮への帰り道を歩く。

 

―――面倒ごとはごめんだ。


お久しぶりです

忘れられていそうだなと思いながら書いておりました(自業自得)

文体がめちゃくちゃなのはお察しください(いろいろな話に夢中になってスタイルが安定しなくなったんです)

そろそろ年も明けますがお体にはお気をつけてください

(作者は超健康体です。モチベがなく更新頻度が低いだけです、作品の妄想だけはしております)

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