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魔法都市アベントゥーラ

遅くなりまして申し訳ございません。

変更点

6話

放射状に広がった塀で囲まれた➝放射状に広がった道と塀で囲まれた円の形の街並み

8話

勇人が倒れたのをベッド➝床

※前話までの内容から変になっている部分を修正したつもり(2018/02/01)

以上です。

重ね重ね申し訳ございません。


 二つの靄が見える。

 それは人のような形でありながらそうではないように見える。

 人型だとしたら顔などのパーツのない不気味な存在。


 聞きなれたような、金切り声が聞こえる。


「なんであんたなんかが…」


 いつかにきいたことのある怒鳴り声が、頬に走る鈍い痛みとともに聞こえる。


「なぜおまえなんかが…」


 その言葉の続きは闇に消える。


 これは誰かの記憶なのだろうか、はたまたただの夢なのか。

 記憶のようで記憶ではない、夢のようでもあるが夢でもない。

 そんな区別すらつかない曖昧なもの。





「…ん…んぁ」


 差し込んだ光に目が覚め、なんとも間抜けな声が漏れる。


「……あれ、何してんだ?おれ」


 部屋の真ん中、しかもベットではなく床で寝ていたという、この状況…我ながら意味が分からない。


「…昨日なにしてたんだ」


 鈍い痛みのはしる鼻をさすり、昨日のことを思い出そう、と寝ぼけた頭を振って意識をはっきりさせようとする。

 あんまりやっても効果はないが…。


 そうして寝ぼけの抜けない頭で思い出してみる。


「昨日はこの学園にきて…それから試験をして。寮に案内してもらって、風呂に入ろうとして…で、眠っちゃったのか」


 昨日のことを言葉に出しながら大まかに思い出す。


「本当に、魔力については考えていかなきゃいけなさそうだな」


 このままの状態では、まともに魔法を使うことができない。ここに来た以上は戦闘技術が主な面だが、それに伴って魔法を使っていくことが必須項目に近いだろうと考えている。

 鍛え方についても知っていきたいが、この世界がゲームなどによくあるレベルの概念がないとすると、限界があるだろう。

 だから、少ない魔力で使っていける魔法についても知っていくべきだな。もしくは魔法は捨てて戦闘技術を磨いていくのかだが…まぁ、それはおいおいにするかな。

 いろいろ試していこう。


「その前に…昨日、入れなかった風呂にでも入るか」


 考えるのはあとにして、行動をするべく風呂場へと足を進める。





「……疲れた」


 タオルは大小の一組だけだったが用意してあった。それは助かる。

 だが、お湯を出すのが魔力を流すことによって起動するものだった。

 造り自体はユニットバスと呼ばれるものに近い。

 パネルのようなものに手を触れると魔力の流れる感覚がした。そして、お湯がシャワーから出てくる。もう一度触ると魔力が流れてくるような気がして水が止まった。

 それで簡単に体を洗ったりして出てきたのだが。


 風呂に入っただけで疲れるものなのかよ。風呂って体を休めたりするもんなんじゃないの。


 風呂から出ると、昨日は細かいところまで確認できなかった部屋の確認などをしてみた。

 キッチンなどの火を使うことから、トイレや蛇口などの水、照明に至るまで風呂の時と同じパネルに触り魔力を流すことで起動しもう一度触ると魔力が返ってきたり、勝手にとまるものだったりが主だった。止めた時に流れてくる魔力は使わなかった余剰分の魔力だと予想する。

 途中から意識が飛びそうになったが休み休み検証したので大体この寮のことはわかった。

 唯一救いだったのは、冷蔵庫のような、ものを保存するためのものが自動で動いてくれているらしいということ。


 やばいな、生活していけるか心配になってきた。


 それは取り合えず頭の隅に置いておいて、出かけるための荷物の準備をする。

 日用品などを買わなきゃいけないからな。それに腹が減ったってのもあるし。


 寮のドアにカギをかけ、学生寮を出る。

 太陽が真上気味にあり、昼少し前ぐらいの時間帯。


 特にどこに行こうか決めたわけでもなく石畳でできた通りを歩く。

 広い通りに出ると今度は真っ直ぐに南へと向かう。

 学院は北側にあるので見に行くなら南側がいいだろうと思い移動している。

 元の世界でも見られるようなそうでないような、種類はわからない木が等間隔で並んでいたり、建物が見えたりする。

 少し肌寒さを感じるのは季節が関係しているのだろうか。

 ブレザー制服ではない学ランのような日本の高校の制服の襟に亀のように首をすぼめる。


 昨日は暖かかったんだけどな。


 南へと向かって結構な時間歩いていると、噴水のある広場のような場所に出る。

 人の数が多く見受けられるのは、この国の中心だからだろうか。

 あたりを見回していると、この国の地図があったので見に行ってみる。

 この世界にも正確な測量方法があるのかと思えるほどに細かく書かれた地図だった。

 よくあるファンタジー小説では紙一枚も値段が高く、本などを変えるのは収入的に貴族だけなどといったものが多かったりする。

 それを考えたらそこそこの大きさのきれいな一枚の紙に描かれているのはすごいことだろう。

 雨への対策なのかガラスのような透明な二枚の板に隙間なく挟まれて飾られている。


 近くにいたおじいさんに話を聞いてみた。

 するとよそから来た人はそのことについて驚く人が多いらしい。

 紙は人の手で作られているものだが、この国ではそうではなく魔法道具によって量産や転写がされているらしい。

 だから本などもこの国で買うと安いそうだ。

 その関係からか転売が後を絶たないらしい、と笑いながら話してくれた。

 笑い話じゃないでしょうに…。

 悪いことが起こるのは豊かな国の証拠ってわけかね。それを思えばそんなことは笑い話にでもなるってわけなのだろうか。

 というかそんな話よく知ってるな。


 話を聞き、礼を言った後で地図を見ることを再開する。


 予想道理に噴水を中心にした国のようだ。

 その噴水を中心にバツ印をかくように四方に水路が広がっている。

 広がった水路で区切られた四つの区画からなっている。そしてそれぞれの区画に伸びる道。

 ルーン文字に似たこの世界の言葉で名称が書いてあった。

 東は技術区画。この国に入ったときに見たのはここだったな。大きなところには名前が書いてあり、名前から想像するに魔法具や魔法の研究、防具や武具を作成している区画になっている。

 西は市街区画。住民が住んでいるのか小さめの図形がまとまっている。何もない空間はひろばだろうか、そしてところどころにある大きいのは貴族などの屋敷だろうか。

 南は商業区画。食品店などのほかにも服などの日用品はここで揃えられるようだ。宿屋は市街区画寄りにある。冒険者ギルド支部…やっぱりギルドなんかもあるのか、その冒険者ギルド支部は技術区画寄りにある。

 今日は南を中心に行動をして色々集めるか。

 最後は北の学院区画。学院の施設を集めた区画、本校舎から試験の時に使っていいた会場などから寮までをまとめてある。他の区画と同じ大きさなのに学院施設だけをまとめているというのは基本的なこの国のメインが学院であるからなのだろう。というか学院を支えるための他の三つの区画ということなんだろう。だからこその国王陛下のアベントゥーラ学院が国であるという発言につながっているのかもしれない。



 勇人は知らないことだが、その考え自体、不正解ではない。が他にもある。

 この世界の人々は偉業をなしたものを英雄と呼んでいる。

 この学院は最古の英雄クラルテとは違う一人の英雄の発案で建てられた学院である。その話はこの世界の人間が知っている常識だ。そのため、ほかの者がうかつに自分のものとすることができない、つまり国民からの反感をかわないようにという意味で国といっている、ただクラルテ王国の領土内にあることやほかの区画ができてしまい国としての体制が整ってしまったことによる統治や援助を国王が担っていることから一部の人間はクラルテ王国領の一部であるという考え方を持つ人間もいるがその考えは一般的でない。

 現在の自治は国王の手を離れていることも関係している。

 という背景があったりする。

 国王は無理を通して学院に通わせてくれていた。

 その考えに至るのは少し後のこと。

 閑話休題。



 地図を見てこの国の大まかなことを頭に入れると、南の商業区画に向かって移動を開始する。

 王国の時もそうだったがこの国の道は基本的に石畳でできているらしい。

 今までがコンクリートでできた平たんな道ばかりだったことを考えるとこんなつまらないことですら新鮮に感じる。

 建物は木製と石レンガでできたものがある。複合してあるものは少なく基本的に目につくのはこの二種類が主だ。屋根が瓦っぽいものなのは共通のようだ。

 魔法以外の基本的な文明レベルは中世ヨーロッパに近いのかもしれない。中世ヨーロッパの様式なんて実際には見たことないのでほとんど知らないのだが。


 喧騒が近づいてくる。


 元の世界では、あまり聞くことのなかったもの。心地よいとは思わないが、不快に感じることもない。祭りの屋台のような高揚感のある空気。


 とりあえず買い物を済ませようかと思ったのだが、そこかしこから漂ってくるおいしそうな香りにつられて、腹の虫がなく。

 買い物は置いておいてひとまず食べ物を買おうかと屋台を適当に散策する。


 聞いたところによると、お金は札ではなく硬貨で下から銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、白金貨となっている。

 集落などでは物々交換が主になっているところもあるが基本的にこれが共通であるらしい。

 銅貨は大体元の世界換算だと十円ぐらい、この世界の物価がわからないため大体の予想であって細かくわかっているわけではないが。

 それぞれ100銅貨が1大銅貨に、10大銅貨が1銀貨に、10銀貨が1大銀貨に、10大銀貨が1金貨に、10金貨が1大金貨に、100大金貨で1白金貨という交換レートで使われている。

 銅貨を十円だと仮定して考えると、大銅貨は千円で、銀貨は1万円、大銀貨が10万円で、金貨が100万円、大金貨が1千万円で、白金貨はなんと10億円。

 国王や領主が白金貨を何枚持っているかで国や領土の発展具合や、どれだけ潤っているかを測るものらしい。

 基本的に一般人が使うのは大銀貨まで―銀貨を使うだけでも一般的とは言えないが―で、商人や冒険者は大量の物資を必要としていたり装備品などの手入れから購入までを必要としたりするため、金貨や大金貨が飛び交うこともしばしばあるそうだ。

 そして今の手持ちは、大銀貨が3枚、銀貨が5枚、大銅貨が10枚、銅貨が100枚を王様から必要なものをそろえられるようにと渡されている。

 大まかに換算すると、36万とすこしってところか。持たせすぎている気がしないでもない。しかしこれを使い切ってしまった時どうやって調達しようか。

 どっかのタイミングで教師の方に出会ったときにでも聞いてみることにして、近くにあった串焼きのようなものを焼いている店で二本購入する。匂いにつられてしまった。


 一口食べてみると非常に肉の味がはっきりしたシンプルな味付け、特に変な臭みもなく普通にうまい。

 二本で銅貨10枚だったので思っていた印象より安かった。

 安さとうまさを売りにしているようで串を焼いているいかついおじさんが自慢げにして話してきた。

 一本残しておいて少し味の濃い感じ串焼きをパンにはさんでみたいとおもいおじさんに礼を言って移動する。


 また来よう。


 近くのパン屋で買い物をし挟んで食べてみるとやはりおいしかった。最初はパンが少し固く味も薄かったのだが肉の油がしみ込んだことで食べやすくなった。

 パンなどは基本的に硬くスープなどに浸して柔らかくしたりすることで食べられるもので味の薄いものというのが異世界ものを読んでいた自分の予想と通例だったのだが。紙のこともあったので試しに買ってみたが予想をしていたものよりもパンとして食べることができるものだった。値段自体も特にいうことなしだった。ただ米については今日のところは見当たらなかった。


 食事を済ませた後は日用品や手間のかからない食材、服などの買い物を済ませた

 服を買うのは基本的に古着屋が主だった。古着屋の定員さんに聞いたところ、服は値段のかかるが自分の好きなようにアレンジできるオーダーメイドか、いらなくなった服を取引して再利用する古着屋がある。そのため値段の安い古着屋のほうが利用されやすいらしい。

 特に潔癖症でもないので、古着の中で無難なものを上下何着か買った。パーカーとかはなかったので残念だ。だがよくわからないド派手なものやどんな時に着るのかよくわからないものがあったときは苦笑いが出た。

 本屋にも寄ろうとおもったのだが荷物が多いことから断念した。地図の時のおじいさんの話だとあまり高くないようだし次来たら何か買うか。

 武器防具もどんなものがあるのか知りたかったが同じ理由で断念した。


 まだ見たことのない西の市街区画へと重い荷物を持ちながら足を運んでみると中心にあった噴水の広場と違った開けた場所に出た。

 親子の姿がちらほらと見えるのは市街区画の遊び場のようなものだからだろうか。

 近くにあった木陰で座り込み、休んでいると朝の魔法を使った時の疲れが来たのか天気がいいからなのか眠くなってきた。不用心だなと自分でも思うのだが眠気がまさってしまった。

 最初にこの世界に来た時とは少し違った明るさの木漏れ日の下。

 眠らないようにしようと思いながらも、瞼が落ちていく。


「こんなところで寝ると風邪を引くよ」


 ここ最近で一番聞きなれた鈴の音のような声を耳にした。

読み専が書こうとすると難しいですね。

週一更新ぐらいにしたいと思っているのですが...。

暇つぶし程度に気長に待っていてくれると助かります。

今後ともよろしくお願いいたします。



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