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「まっていましたよ。メイカさん」
大使館の入口で成人になったばかりくらいの青年が勇者御一行を出迎える。
「彼は?」
メイカが聞くと詳細に教えてくれた。
名はソータ。研修期間の間、ザイヤの隊におりその間に隊にいたメイカと仲良くなったのだ。そして研修期間が終わると『ロンガード』へ飛ばされることになった。
「見た感じこのままだと死にますよ?」
率直な感想をコウタたちに向けた。言い返せないことにコウタたちは少し悔しさを感じたもののメイカが否定した。
「死なないわよ。死なせない」
その言葉を聞いたコウタはさらに乗せる。
「聞き捨てならないですね。いくら素人だからといってそれでとまる俺達ではありませんよ。現状謎の力だけは持ち合わせていますから。あなたにはない・・ね」
コウタの挑発が聞いたのかソータは微かに眉を細める。
「ふ~ん。俺が素人に負けると?」
かかった。 そう思ったコウタは下からソータの顔を見上げる。
「あなたの状態異常魔法程度かかりませんよ」
あからさまな力の特性を言ったが、ソータはそれに突っかかる。
「やってやろうじゃないか」
そういうと魔法を唱え始める。
「やめなさい!」
メイカが止めに入るがもう遅い。彼はもうすでにコウタに放っていた。
「毒よ」
コウタの下に魔法陣がでて光がコウタを包む。やがて光がやみ、魔法陣が消えた。
「なに!」
魔法を食らったにもかかわらずコウタはぴんぴんとしていた。
全く毒されているという感覚もない。
____どや!
コウタが目一杯のドヤ顔をみせると彼は歯を食いしばり、コウタに違う魔法をかけようとする。
「麻痺!毒!麻痺、麻痺!」
連発するがそれに効果はない。
「くそ」
そう小声でいった途端、彼は手に魔力を集中させる。それは明らかに状態異常の魔法ではなかった。
「やめなさい」
メイカは腰の剣を握る。『三度目はないぞ』そんな目で彼を見つめている。その目を一度みたことがあるのかすぐに手をしまう。
「すみません」
彼が反省したのをうかがうと次はコウタに振り返る。
「コウタも、もう挑発するのはやめなさい」
コウタに対しては少し圧を落として見つめる。
「!?」
コウタはその瞬間自分の母親の顔を思い出す。かつてコウタをしかった母の顔だ。
「わかった。ごめん」
なんとか喧嘩を収めることができ、大使館の中へ荷物を置く。
「さて、いまから買い物にいくけど。自由行動にする?それとも団体行動でいく?」
その質問にケイタとカズハは顔を合わせる。
「「団体行動で」」
幸先の悪いスタートからロンガード巡りが始まった。
「まずはここよ」
最初に寄った所は武器屋だった。
「いらっしゃいませ」
勇者御一行が中にはいると少し強面のおっさんが迎えた。
「剣と魔法の杖でこの店の最高級なのあるかしら」
お金に余裕があるので最高級でも問題なかった。
「ほ~、あんた達が勇者か」
あっさりと見抜かれてしまった。誰も隠そうとはしなかったがコウタはこんなに早くばれるとは思わなかった。
「新聞記事だ。顔写真はなかったがいきなり最高級品を買えるとしたら勇者しかおらんだろう」
____もう発表されているのか~
と少しショックを受けるコウタ。
「最高級の剣はあるが杖はない。一応魔法の羽でもいんならそれでもいいがな」
メイカがその二つの武器を目利きすると試し振りをご所望した。
「いいぜ」
最高級品、売れば儲けがでるので流石に答えてくれた。
メイカは剣をコウタに渡し、店員に連れられて剣を振れる練習場みたいな場所にいった。他もそれについてくる。
そしてみんなが集まりコウタは剣を数回振る。変わらず剣に振られたようになるがコウタは違和感を感じだ。
「なんか振りにくい」
ケイタが「そんなもんじゃないの?最初は」というがメイカは剣を取り上げた。
「最初こそ自分にあう武器を使わないとだめよ」
_____シュッ、シュッ!
とても早い空気を切る音がフロア中に響いた。メイカは取った剣を試し振りしたあと「いいわね」といって購入した。
その後コウタは幾つかの剣を振るがなかなかお気に入りがみつからない。
「ん~、練習用みたいなのは使いやすかったのにな~」
コウタがつぶやくとメイカはなにかに閃いたようだった。
「店員さん、いくつかお願いできますか」
メイカは店員さんに指示すると店員はすぐに練習場から出て行った。
「なにを頼んだの?」
カズハが聞くと指示した内容を説明してくれた。
「練習用が使いやすいならそれに近いものを作ればいいのよ。そしてまずは試しに、鍔が練習用と同じだが刃が違う剣、刃は一緒だが鍔が違う剣を持ってくるようにいったのよ。初心者用に幾つかあるらしいからね」
それを聞いた3人は納得した。
数分で2つの剣をもってきてすぐに試し振りが始まる。
まずは鍔が一緒の剣を振る。すると申し分ない反応をみせた。
そして刃が一緒の剣を振る。だがこれはよくない反応をしている。
「鍔か」
メイカは早速店員に剣の刃を鍔に合わせてもらうように頼んだ。
「あの~」
コウタが二人の間に入ってくる。
「剣の形をご所望したんいんですが」
腰を低くしていった。一応ほかの剣で試して鍔さえよければいいことなのでOKしてくれた。
剣の形状を伝えるとすぐに作りに向かっていった。
「2日ほどかかりますので」
と言い残していった。数分するとまた違う細身の店員がきた。
「ねぇ、コウタって練習用の鍔だったら剣以外も使えるんじゃない?」
ケイタが冗談紛いにいうと、コウタは本気にいし「試してみるか」といって細身の店員に頼んだ。
ブンブン!シュッシュッ!ササッ!
と鎌や槍、双剣を使うと使いづらい感覚は感じられなかった。
_____これは使えるかも
と一応記憶にとどめておくことにした。
「次は・・・私か・・」
カズハが店員から魔法の羽をつかみ火の魔法を使い、それを維持させる。
「お・・魔力調整が簡単になった」
杖の効果なのか火を数分間維持することができた。
「これにする」
カズハは自分がどんどん攻撃魔法が使えることを思いうれしがっている。
「よし、帰るわよ」
こうして『ロンガード』一日目が終わった。