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「おはよう」
コウタが起き、テントをでるとケイタとカズハが朝食を作り、子どもたちがそれを眺めて案内した男性は座って待っている。
「よかった~もう治ったの?」
コウタのギプスはすでに外れていた。
「それが朝起きたらもう動くようになっていたからさ。回復魔法のおかげなのかね」
コウタしかわからないが、カズハの回復魔法はとてもレベルが高いものだった。
「どんな感じだった?」
ケイタは回復魔法の感想を聞いてきた。
「ん~痛みがすぅ~っと飛んでいく感じだったよ。あれは聞くより体験したほうがいいよ」
その回答にケイタは笑った。
「なんだよそれ~。俺も怪我してみようかな」
特にメイカ以外は変わってなくてコウタは少し安心する。
「そいえばテントにメイカさんがいなかった?」
それを聞いてコウタは起きた時を思い出した。
「メイカなら寝てたよ。おそらく心配してずっと横にいたと思う」
二人はコウタのことを思っていたのか少しホッとしている。
「ならもうすぐ朝食ができるから呼んできてくれ」
そして彼はメイカを起こしにテントへいった。中をみると彼女は気持ちよさそうに寝ていた。その顔をみるとこっちまで眠気を誘われそうだ。すぐに擦って起こそうと寝言で「絶対守る。絶対・・・・」と言っており前日のことがそれほどまでに彼女にダメージを与えたのかとコウタは決意する。
(もうメイカに心配を掛けられないな)
「おはよ~」
メイカが起きるとすでに朝食が出てきており、メイカ以外は卓を囲っていた。
「お姉ちゃん早く~」
子ども達は早く食べたいのか寝起きのメイカを催促させる。
「うまそ~」
メイカは朝食をみてさらに匂いのおかげですぐに目が覚めた。少しよだれが出かけたところで周りの目を気にし、じゅるりと戻す。
「「「「「「「「「いただきま~す」」」」」」」」」
全員が手を合わせた。今回の朝食は2日前の夕食と同じものだった。四人は飽きる気配がなくガツガツを食べすすめ、 他の人たちはそのおいしさに感動している。そして数分もしないうちに食べ終えていた。
「それ、私にも食べさせてくれませんか?」
横から知らない人の声がした。その声の主は女性で騎士の見た目をしていた。
三人はこの人が、四位のだとすぐに理解した。
「まさかあなたがくるなんてね。ヨル」
メイカは厄介者がきたかのようにため息を吐く。
「私以外なら三位がくるけどいいの?」
笑いながらいうが彼女は仕方なく受け入れた。彼女は3位が嫌いなようだ。
ヨルと呼ばれた騎士はケイタからあまりをもらいガツガツ食べる。
「これ、おいしい!」
この料理はかなり好評のようで、あまりをすべて平らげた。
「ヨルだけきたの?」
メイカの問いにヨルは首を横に振る。
「いや~あなたたちがみえたから私だけ降りて先に来たのよ。そろそろくるわよ」
そういうと後ろから騎士二人が馬車を連れてきた。
「お疲れ様~」
ヨルがお礼をいうと二人は馬車に座りぐったりしている。
「よし、ではまずはこれね」
依頼したほしいものを馬車から取り出す。それはつけるとつけた人同士の位置がわかるシールだった。それは登録式のもので四人がそれぞれ魔力をシールに付けて腕に貼った。
「これは目を瞑って位置を知りたいと意識したら場所がわかるわ。距離は無限よ」
試しにコウタがしてみると気配みたいものがモヤッと頭に浮かんだ。
「こんな感じか~」
慣れていないので少し吐き気がした。
「慣れるまで我慢してね。多分すぐ慣れると思うから」
_____それを先にいってくれ
とコウタはいって慣れるまでに30分かかった。
「それとこれ」
次に大量の食料が自分たちの荷車に乗せられていく。
「サンキュー」
メイカがお礼をいうとコウタはあることを思い出した。
「そういえば、ゴブリンの巣窟でこれを見つけたんだよ」
コウタはポケットから宝石を取り出す。するとケイタが覗いていた。
「結構いい宝石だね」
ケイタがすぐに鑑定に入る。いつも携帯している虫眼鏡を取り出した。
「これは、70いや、100万ぐらいかな」
「「「「100万!?」」」」
それをきいて一同驚く。
「なら売りますか」
コウタの決断は即答だった。だが特に宝石が趣味の人もいないのでみんな賛成のようだ。
「あなた宝石の価値がわかるの?」
ヨルが不思議そうに聞く。
「ええ一応父のアスラが鑑定士やっていたもので」
へ~、少し興味があるようだった。
「はい」
といってメイカはヨルに宝石を渡した。
「売りにいくの私?」
自分を指さしている。顔はとてもいやそうだった。
「だってすぐに町に着くとも限らないしあなたのほうが早いでしょ?お金は彼の伝書鷹なら送れるだろうし」
はぁ~とため息をつき了承したようだった。
「わかりました。ではそろそろ私もいかないといけないので捕まっていた方たちを送りますね」
そういうと子どもたちと男性が先ほどまで食糧があった荷車の上に乗った。
「では、みなさん。また会いましょう」
そういって敬礼して去っていく。その間にケイタが
「100万ですよ~」
と大声で伝える。それを聞いたヨルが手を振った。
この時ケイタは少し鎌をかけていた。
「よし、全員いるわね」
城に戻ると捕まっていた人たちが全員いるか確認する。そしてそれぞれの住所を聞きだした。
「よかった~、全員この町で。では一番近い人から行くわよ」
そういって彼女はそれぞれの家に向かってくる。
「ありがとうございます。娘を助けてくれて」
最後の人はコウタが洞窟出口で助けた少女だった。
「いえいえ、お子さんを助けてくれたのは勇者たちですよ。私はただの運搬係ですので」
と軽くあしらい次の目的地に向かう。
「すみませ~ん」
そこは鑑定士のいる鑑定店だった。
「いらっしゃい」
と少し強面のおじさんが奥からでてくる。
「この宝石を見てもらいたいんですが」
それをみせると鑑定士のおじさんが驚いた。
「こりゃすごい。鑑定しがいがあるぞ」
と張り切って鑑定を始めた。
「値段は150万だ」
____150万?彼の鑑定と全然違うじゃない
そう思うとふと彼のことを思い出す。
「ねぇ、アスラって鑑定士知ってる」
彼の父のことをきくとおじさんはすぐに教えてくれえた。
「なかなか珍しい人をしってるね~。彼はかなり腕のある鑑定士だった。自分と相手双方が納得のいくような金額を出す人でね。城ではあまり注目されてはいないがこういう市街地だと名の知られてる鑑定士だよ。でも亡くなってしまってね。息子がその鑑定士の目を持ってるらしくて小さいころからかなり正確な金額を出せると鑑定士たちの中では噂になっているよ」
彼女はとてもいい情報をもらえた。
____こんなに有名なのに50万も間違えるわけ・・・・まさか
と頭脳を集中させると、誤差に納得がいって少し笑ってしまった。
「ありがとうおじさん」
彼女は鑑定店をでると新しくできた目的地を目指した。
「すみませ~ん」
今度入った所は武器屋だった。
「おお、ヨルさんじゃないか。いつもの剣かい?」
受付のおばさんが迎える。彼女は常連らしくおばさんには使う剣はどれがいいか覚えられているぐらいだ。
「いえ、今回は短剣をお願いします。できるだけ質がよく丈夫そうなので」
注文すると数分で持ってきた。
「珍しいね。自分で使うのかい?」
とおばさんが聞くがそれは違った。
「いえ、プレゼントです」
そういって彼女は短剣を受け取る。
「10万ね」
「はい」
といって150万のうち10万が彼女の手から離れた。
「さて次は」
そして彼女はまた違う目的地へ向かった。
「ここか」
彼女はケイタの家の前に来ていた。ノックしようとしたがその前にまず、一位のザイヤに鷹を借りるように自分の伝所鳩を飛ばす。
___コンコン
とノックすると中からケイタの母が出てくる。
「すみません。騎士のものなんですが?」
彼女をみると誤解したのかケイタの母は床に倒れる。
「いえいえ、違いますよ。死んでません。届けに来ただけです」
それを聞いてケイタの母は胸をなでおろす。
「それで届け物とは?」
彼女は突然30万を渡した。
「ケイタさんからの仕送りみたいなものです」
え?と戸惑った感じをみせるが受け取る。そしてその時後ろから鳩が飛んできた。
「この鳩は」
鳩に見覚えがあった彼女はすぐにザイヤの鳩だとわかった。
「息子の手紙が入っているんですよ」
____そういえばザイヤが、数匹鳩がいなくなったと落ち着かず城中うろうろしてた時があったな
変なことを思いだし、許可を得て手紙をみる。
「へー、いいこと書いてるじゃん」
その手紙には彼女のことも書かれていた。手紙を読んでいると母親が返信を書いているようだった。
「ああ、すみません。私の分も用意できますか?」
彼女は勇者御一行宛とケイタ個人宛に手紙を書いて伝書鳩に100万円と手紙を伝書鷹に短剣と手紙を持たせた。
そして彼女の合図で二匹は大きく飛び立った。
その手紙が届くころには夜になっていた。
「お!来たわよ」
最初に到着した鷹はメイカの前に小包を落とした。そして中を確認すると手紙と100万円が入っていた。
『今度おごってよね』
と書かれていた。
「おお~ほんとに100万入ってるわ」
100万を手に持ったメイカの手が震えていた。こっそり抜き取りそうなそぶりを見せるが3人はしっかりみていてすぐに手を引っ込める。
____だめだったか
メイカが悔しがっていると鳩がケイタのところへ飛んでくる。4人はてっきり普通の手紙だと思っていたがその手紙を見たケイタは思わず笑ってしまった。
『あなた私を試したわね?
金額は150万円
あなたのために装備を一つ10万
あなたの家に30万
頼まれていた100万
あまりは私がもらうわ。
その短剣大事に使いなさいよ』
手紙を見終わり鳩につけられていた短剣を取る。
___ふっ、面白い人だ。
その行いでケイタはヨルを信用できる人だと認識した。
「10万10万~」
そのころヨルは手に入れた10万円で家の改良をしていた。
前回よりは文字数が少なくなりました。