19
ゴブリンとオークと対峙したメイカは後ろを確認した。
「大体逃げれたようね」
すでに村人とケイタは坂を越えて見えなくなっていた。前を見てもコウタたちも見えなくなっている。
「ギャァ」
先に攻撃を仕掛けたのは一番近くにいたゴブリンだった。目の前にある魔法の盾の範囲外まで迂回し、メイカに襲い掛かってきた。
メイカはそれを見逃さずに避け、剣を刺した。
「あと13と1」
次は3体で攻撃してきた。一体は斬ることができたものの残りの数はさばききれなかった。
「盾を」
そう唱えると、メイカの左手に透明の盾が出現した。あたりそうだったゴブリンの攻撃をパリィする。その間に弾いた方向へ飛び、もう一体のゴブリンの攻撃を避けつつ、パリィしたゴブリンを斬った。
「残り・・・ッ!」
数を言おうとした瞬間にオークが殴ってきた。間一髪で避けて腕を切り落とそうとした。
___ガツッ!
だが剣はオークの腕を切り落とすことができず、刃が5cmまで行ったところで止まってしまった。
「硬い」
さらに抜けようとしてもびくっともしなかった。隙が終わったのをみてメイカは剣をあきらめ距離を取った。
「体術はあまり得意じゃないんだけど」
といいながらもファイティングポーズを取った。
「くっ!早い」
コウタは坂を越えて走っていたもののゴブリンの足が速く、一体が攻撃してきた。それにコウタは剣で受け、蹴りをくわえて距離を取った。
「コウタ!」
カズハに呼ばれてコウタは見ると、火球をすでに準備していた。
「避けて!」
その火球はゴブリンめがけて飛んでいく。
コウタはその火球を避けて、ゴブリンに当たった。
火球に当たったゴブリンの近くにいた残りは、火球の熱さに動きが少し止まる。
その間に、コウタは2体倒し、カズハの火球で2体倒した。
「アアアア」
残った一体のゴブリンが恨みを持ってコウタとカズハを見ていた。だが
_____グシャァ!
ゴブリンの位置は、オークの進行方向だった。顔に炎糸を当てられ怒っていたオークはゴブリンを踏みつぶし、近くのコウタめがけて走ってきた。
「まずい!」
オークの勢いに圧倒される。逃げるにもオークの攻撃が速く、ガードしかできない状況になった。オークのアッパーが飛んできて、すぐに剣でガードした。
_____グッ!
オークの力は強く、剣ごと体が浮かされてカズハのところまで飛ばされた。
「ひっ!」
それにカズハはビビる。そしてオークは間髪入れずに二人に近づいた。
「あのときより大きい・・・」
カズハはロンガードでオークを一回見ていたがそれよりも1.5倍くらい大きかった。
_____ぶぅん!
オークが腕を振る。
「回復を」
避けられないと悟ったカズハは当たるところに回復魔法をかけた。オークの腕はそのままカズハの脇腹を捉え振り飛ばした。
「いっ・・・!」
想像以上の痛みでカズハの意識が飛びかける。倒れる姿をみてオークはゆっくりとカズハに近づいた。
「くらえ!」
コウタが後ろから首の下のあたりを刺した。だがあまり効いている様子がなかった。そしてさらに剣が抜けない。コウタが諦めて剣と距離を離すと、オークがコウタを向いて突進する体勢になる。
「グゥゥゥゥ・・・・・・・・ッ!」
突進する瞬間、カズハはオークに刺さっている剣の刃を持った。
「電気よ!」
カズハの放った電気は剣の刃を伝って一気にオークの体中を駆け巡った。
「グアアアアアアアアアアアアアアアアア」
オークが大きな叫び声をあげながら、倒れた。
「お疲れ様です」
コウタはカズハのところへ駆け寄り、手を差し伸べた。
「ありがとう」
そして二人はメイカの元へ向かった。