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「ここからどう行く予定ですか?」

ケイタがメイカに行き先を聞いた。

「とりあえずは、森や町、国を中継地点にする予定」

ある程度の道はわかるものの大体は行き当たりばったりの旅のようだ。

「けど夜には行動できないからそれまでには着きたいかも」

暗くなると4人は何もできなくなる。

ひたすら馬車に乗っていくと一つの森が見えた。そしてそこで馬が止まった。

「馬さんが休憩なようね」

馬の縄を木に巻き付けてランチタイムに入った。今回はヨルが作った弁当でサンドイッチにおにぎり、から揚げにサラダとバランスよく作られていた。

「さすがヨルね」

ともぐもぐとメイカが頬張(ほおば)る。

「おいしい」

カズハは丁寧に手を添えてゆっくりと食べていた。

「おいしいですね」

ケイタはつまようじでから揚げを指して一口で食べる。

「うまい」

コウタはから揚げを食べるとたれが口に着いた。それを舌でぺろりと舐める。

その弁当のおいしさに4人は止まらず、15分ほどですべて平らげた。


「「「「ごちそうさまでした」」」」

と合掌したあと消化のために馬車に座り休憩した。


「ふぅ~、少し食料集めようか」

ケイタが腰を上げた。それに続きコウタが立つ。

「じゃー俺も集めるか」

よってメイカとカズハが居残り、コウタとケイタが食料調達に入った。


「競争しない?」

ケイタが自信満々にコウタに言った。そしてコウタも笑みを浮かべる。

「面白そうだね」

コウタは小さいころにケイタと遊んだことを思い出す。

「あの頃のように」

コウタがいうとケイタも思い出したのか笑みを浮かべる。

「メイカさん。この森には魔物はいませんよね?」

メイカは首を縦に振った。

「この付近の森は掃討されていると思うわよ」

ケイタはそれを聞くと「よし」と声を出して森を向いた。

「大体の食料知識は覚えから図鑑はコウタがもっていいよ」

さすがに毒系を持ってきては困るのでそこは考慮する。


「では、いちについて、よ~い・・・・・どん!」

カズハの合図で(かご)を背負ったコウタとケイタがほぼ同時に森の中へ入っていく。

「私たちはどうしましょうか」

カズハがメイカに尋ねるとメイカが腰を下ろした。

「もう少し休憩しときましょ」

そして休憩組は女子会を開いた。


____ひゅゅゅ~

ケイタは森を華麗に駆け抜ける。

「この実はOKかな」

途中で見えた果実を手に取りすぐに調べる。そして毒なら捨てて、食べれそうなら籠に入れ、また走り出した。

「この勝負は負けられないね」

とケイタはとても楽しんでいた。



「え~とこれは」

眼で見ただけでわかるケイタとは違いコウタはしっかりと図鑑をみていた。

「毒か~」

やっと見つけた果実も毒だと意味がない。すぐに捨てて次を探す。

______ガサガサ

と後ろの草むらから音がした。振り向くと一瞬だがウサギのしっぽが見え、その後逃げるように走っていった。

「ウサギ!」

肉も取っておきたいとコウタはウサギを追い走った。ウサギも結構早くなかなか追いつけない。

「取っ・・・・」

ウサギのしっぽを掴もうとして手を伸ばすとぎりぎりで逃げられ、少し広い場所に出た。

「あら、ウサギさんが困ってますよ」

声のした方を向くと美しい女性がリンゴを鞄に詰めていた。

「__!」

コウタは驚いた。

「ふふ、私を攻撃しないんですね」

そういった彼女はゆっくりと立った。白銀に輝いている髪がなびく。

真っ赤な目がコウタを見つめる。顔立ちは人間と変わらないが、白いワンピースから見える腕には龍のような鱗が見えていた。


「わかっているでしょう?私が魔物だと」

コウタは一応剣を腰に差してもっている。魔物とわかっていても彼女にその剣は抜けなかった。

「魔物だとしてもあなたからは敵意が全く感じられない」

率直な感想と述べると予想外の回答だったのか、彼女はきょとんとしていた。

「や、優しい狩人さんなんですね」

どうやらコウタが勇者ということはばれていないようだった。

「できればでいいんですけど、なにか食料の穴場とか知りませんか?」

質問を受けた彼女はコウタの籠と自分の鞄をみて納得した。

「私の後ろのほうでいろいろ実っていましたよ」

場所を教えてもらったコウタは「ありがとうございました」とお礼をいう。

「どういたしまして」

と彼女も答えた。彼女がその場から離れようとするとコウタは一つ助言をした。

「私はあなたを攻撃しませんけど、私の仲間が攻撃するかもしれないので気を付けてくださいね」

彼女はとても驚いていた。そして一礼して笑みを浮かべてコウタを見る。

「優しい人ですね」

そういうと彼女は歩いていった。

その後コウタは教えてもらったところへ行くと、見事にたくさんの種類の果実が実っている木々を発見した。

「こんなところがあるなんて」

果実は様々な色をしており、森に虹ができているように綺麗な光景が広がっている。

「少しもらっていこ」

景観を壊さないよう少し果実を拝借した。

勝負は結局ケイタに勝つことはできなかった。




「結構この森広いですね」

一体の魔物は森を抜け、岩壁の穴に入る。

鞄にはたくさんの果実が入っている。

「あんなに優しかったら逆に心配してしまいそう。彼が魔王様の宿敵の勇者なのに・・・」

魔物は少し悲しい顔をして転移魔法を使った。


「今帰りました。魔王様。今日はおいしい果物をご提供いたします」


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