13
次の日、ヨルによる食料講座は朝中に終わった。
最初はメイカに食料の保存方法や種類や特徴を説明していてその次にみんなにどういったものに毒があり、または魔物が囮に使う食料かなどをレクチャーしてくれた。
昼になりみんなで卓を囲んでいると一人の騎士が入ってきた。
「あのうちのところに手紙が」
慌てているようだが、メイカがその手紙をみると『勇者御一行へ』と書かれていて差出人をみると『ロンガード国王より』と書かれていた。
「?!」
メイカは思わず口を開く。
(なんで私達宛に!?)
すぐにみんなに見せた。すると・・・
「えーーー!」
「な!?」
「嘘・・・」
とびっくりしている。中身を確認すると紙が入っていた。そしてそこには
『本日13時、王室に出向きたまえ』
と書かれていた。
(13時・・・・)
メイカが時計をみると時刻は12:50に針が向いていた。
「あと10分じゃん!」
メイカの叫び声と同時に一斉に各地部屋に戻り支度を始めた。そして道中出会ったソータに「片付けは任せた」と言って城へ向かった。
「間に合った」
カズハが一番遅く着いた。時刻は12:58。ぎりぎりだった。
全員がそろうとメイドの人が出迎えてくれた。そしてそのまま国王の敷地へ入る。
大きな門を抜け大きな庭があった。真ん中に泉がありそれを囲むようにカラフルな花たちが植えられている。
「きれい」
その光景にカズハ見惚れていた。さらに奥に進み大きな城の前に来た。すると内側から開きそこにはたくさんのメイドや執事が出迎えていた。
「「「「ようこそ」」」」
同時に礼をして出迎える。その光景に全員が圧倒された。
「うちのとこよりすごい」
メイカも騎士だった際に城に入ったことがあるがここまですることは見たことがなかった。そしてペコペコ頭を下げながら通り過ぎ王室まで来た。
「よくぞ来てくれた」
国王が堂々と座っている。そして国王の前にきて膝を折る。メイカ以外はとてもぎこちない動きになってしまっている。
国王の顔は少し年老いており70~80歳くらいに見える。優しそうであったが貫禄もあった。
「顔を上げよ」
その声とともに勇者御一行は顔を上げた。
「そんなにかしこまらなくてよい。呼び出したのは今後の助言と感謝じゃ」
国王が話すが3人は緊張して全く聞いてない。
「感謝というのはこの町内にいた魔物をみつけてくれたことだ」
見つけたのはソータだが間接的にかかわっているということで呼ばれた。
「ありがとう」
国王が感謝の言葉をいうと3人の緊張がふっと解け、笑顔になる。
「いえいえ、もとはと言えば私達が来たせいで」
コウタが反射的に答えた。「素直に受け取っておけ」とケイタが小声でいい軽い肘打ちを与える。
「でもまだ若いな」
国王は勇者たちをまじまじと見る。確かに若い。4人の年齢を平均させても十代後半だ。
「もっと育ててから旅をさせればいいものを」
国王は4人の身を案じていた。そこから数分4人の故郷のアストラル国王への愚痴が続いた。
「さて、最後に・・・おぬしたちは焦り過ぎてはいないか」
国王に言われて気づいた。確かに4人はずっと急いでいた。命令されたからか役目を追わされたからか、すぐに魔王を倒さなければとずっと思っていた。無意識に感じていた焦りを数分にして見抜かれた。いや、来る前から見抜かれていた可能性もある。
「もう少し気楽に冒険してもいいんじゃがな~」
国王は自前のあごひげを触る。
「魔王なんて早々倒せるものではない。我が聞いた限りだと1000年以上はずっと魔王が変わってないらしいからの。簡単には倒せないだろうな。数年はかかるとみていい」
数年ときいて4人が一斉に声が漏れる。
「「「「数年・・・・」」」」
先が長すぎて自信がなくなってくる。
「数年といったが決してずっと旅をするわけではない。度々休憩などをいれて戻ってくることなど考えたらそうなる。実際に難なく魔王城まで行こうとしたら馬車で一年かかる」
その距離をきいて知らなかった3人はびっくりした。声には出さなかったものの目を見開いて驚いている。
「だから焦っても仕方がない。私から言えるのはこれくらいかの」
国王の話が終わり4人は王室から出るよう指示される。
「勇者たち」
出る際国王が4人へ向けていった。
「幸運を」
その後大使館へ戻った4人は明日への準備を終えぐっすりと寝た。
4人がロンガードの門を出る際、ケータとヨルが出迎えていた。
「幸運を祈ります」
「私の教えたことをちゃんと実践するのよ~それとメイカは食糧管理をしっかりとすること」
ヨルが指をさして注意させる。そしてケイタにはジェスチャーで手紙をしっかりだすように伝えた。それに気づいたケイタは縦に頷く。
「「「「いってきま~す」」」」
4人は一斉に手を振りロンガードを出た。