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雪解けの春に
とめどなく流れ出た想い。
今まで一人で悩んでいたことが
まるで嘘のようだ。
人に悩みを打ち明ける事の大切さ。
人のあたたかさ。
少し、少しだけれども
霧島…先輩を、会長を
信じてみてもいい、そう思えた。
あの人たちとは違う、
そう確かにそう思えたのだ。
「…先輩。
私を、鳥海摩耶
この文芸部に入れてください。
お願いします。」
心からの懇願。熱願。
普段なら
恥ずかしくてこんなこと
絶対にしないのに。
髪型が崩れてもいい。
ただ、相手に伝わってほしい。
その思いで頭を下げた。
「頭をあげて。
…でも、安心したな。
てっきり、断られると思ったから。
奏会長も喜ぶわ。」
頭をあげた摩耶の頰に
もう光るものはなかった。