冷たい吐息が静かに凍る時
四月某日。
部活見学解禁日。
友達に
色々な部活を勧められたが
やはりあの男の事が頭から離れなくて
今日、思い切って
見学させてもらうことにした。
決意してからの事
ずっと腹痛に悩まされていたが
それとも今日の放課後で終わりだ。
それと
ここら辺で読者も
こう考えているのではないだろうか?
「この子、
鉤括弧があまりないけれど
実はぼっちなんじゃないだろうか。」
、と。
ここのスペースを借りて言おう!
私は決してぼっちではない!
一人が好きなだけなんだ!
例の眼鏡女子にだけしか
相手にされていないって
訳ではないんだぞ!!
こほん、失礼した。
一人で心の中で
反論しても虚しいだけだから
ここら辺でやめておいてやる。
一人語りという名の
脳内独り言を終え
やっと文芸部の前まで辿り着いた。
はーっ、と一息ついて
「失礼しまーす、見学にきた1-Bの鳥海摩耶ですが…」
目、目、目、目。
しんとした中に私の声が響く。
四十人近い入部希望者の目が一斉に私を見る。
うあああああああ…。
学院生活終わった…。
私は急いでドアに手をかけ
その場を去ろうとした。
「待って下さい!
鳥海摩耶さんですね!
どうぞ、こちらへお越し下さい!」
上品な声音。
それでいて張りがあり
思わず息を飲んでしまう
鈴のような声色。
「えっ…と…、失礼…いたします…。」
恐る恐る部室内に入り
約四十人の目を
背中に感じながら
呼ばれる方へと歩みを進めた。