6/12
暖かかった風がいつしか。
入学初日から早七日、私は部活選びに勤しんでいる。
真白ヶ丘学院には様々な部活動があり、どれも活動実績があるものばかりだった。
だが一際私の目に、頭に、心に訴えかけてくる部活が。
文芸部。それは去年創部されたばかりで現部員4名の活動実績のあまりない部活。
私が目を惹かれたのは活動実績でも部員数でもない。部活代表者欄。
そこに印刷された写真、それは紛れもなく会長のものだった。
眼鏡をかけていて、女顔で…微かに浮かばせる笑み。
何度見ても認識を覆す事はなかった。
銀色バッチ、いやダイアバッチを胸に輝かせて歩くあの男。
私はあのバッチとあの男を手に入れたいと密かに思った。