番外編:いつもとは違うかぜ
「くちゅんっ。」
可愛いくしゃみが
文芸部の部室に響く。
可愛いくしゃみ。
私もしようとするが
いつもおっさんのような
くしゃみになる。
女子力が高い人は
可愛いくしゃみをするのだろう。
そういう根も葉もない
自虐的にも思える
仮説を立て、顔をあげる。
「くちゅんっ。」
ティッシュを片手に
子犬のように一回 身震いをし、
口に手を当てている
男子高校生。
「「気持ち悪いです、熊野先輩。」」
私と霧島先輩が声を合わせていった。
熊野先輩はサッカー部 主将で
ものすごくモテるが
それは文芸部には通用しない。
ただのチャラい女子力の高い
キモい人にしか見えないのである。
「透、風邪ひいたのー?
なんとかは風邪ひかない
っていうのにねー。」
梓先輩がすかさず口撃。
「梓、その辺にしといてあげて。
透も好きで馬鹿になった訳じゃ
ないだろうし。
馬鹿は馬鹿なりに
頑張っているんだよ。」
最後は会長がとどめをさして
もう、熊野先輩はボロボロだった。
普段会長は馬鹿なんて
言わないだけに
熊野先輩とどれだけ
仲がいいかよくわかる。
その証拠に既に熊野先輩の前の
机の上には
パブ◯ンと◯ナジンジャーと
ベンザブ◯ック
が置かれている。
「早くそのパ◯ロン飲んで
風邪治してくれないと、
部内 感染とかになったら
ハーゲン◯ッツ
奢ってもらうからな!
全員に一つずつ!」
「私のゼナ◯ンジャーあげるから
早く治してよね。
こっちが困るんだから。」
「まったく。
私が普段 服用している
ベンザ◯ロックをあげるので
元気だして下さい。」
仕方がない。
私もなにかするしか
なくなってしまった。
「葛根湯。
先輩が早く治してくれないと
文芸部のお茶汲み、
誰がするんですか。」
なんだかんだいって
今日も平和な一日だった。
「いや、いいよ。
俺薬持って…
「「「「文句を言うなっ!」」」」
完




