そよ風になびくカーテン
終礼が終わり、教室は
周りのクラスメイト達の
声で賑わう。
そんな中、
私はさっさと鞄に
教材、筆記用具を入れ
駆け足でクラスを出る。
クラスメイトに挨拶もせずに。
早く行かないと。
早く行かないと、間に合わない…。
私が急いで向かった先には
文芸部の部室。
私の目的は、
その先のプライベートスペース。
部室とプライベートスペースを
隔てている扉をそーっと開け
静かに、音を立てないように入る。
奥のソファで眠る会長。
すーすーと寝息を立て、眠る会長は
無防備そのものだった。
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数日前。
私のクラスの担任が出張しており、
六限目終了後自由解散となった。
本当は
まだ終礼をしている時間なので
廊下に長居はできない。
そして
教室に最後までいる人は
鍵を締めなければならない。
ただ締めるだけならいいが
うちのクラスのドアは
建て付けが何故か悪く
鍵を締めるのにはコツがいるのだ。
私はまだコツを習得していないので部室に直行する他なかったのだ。
そこで見たものは会長の寝顔。
どうしてそこにいるのか
聞きたかったが、
一人で夜遅くまで学校に残り
仕事をしている会長を
知っている私は
会長から安息の時間を
奪いたくなかった。
むしろ、守りたかった。
まぁ、
それは口実にすぎないのだが。
たんに、会長の可愛い寝顔を見たかったのだ。
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「会長…、可愛いっ…。」
つい、はずみで出てしまった言葉。
やばいと思った時にはもう遅かった。
「…何が可愛いって?」
低めで落ち着いたトーン。
今、聞こえるはずのない声が
二人っきりの
プライベートスペースに響いた。
「会長、すみません。
起こしてしまいましたね…。
申し訳ありません…」
会長は笑顔で許してくれた。
普段の眼鏡の会長は
真面目なイメージしかなかったが、
裸眼の会長は
なんだか少年のようだった。




