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一人百物語 2

本棚

作者: 犬猫夜行
掲載日:2026/07/20


友人の大石さんがまだ小学低学年だった頃の話。

大石さんの部屋には、下の部分が観音開きの扉になっている大きな本棚があった。

大石さんは一時期、その観音開きの扉の向こうは本当は洞窟に繋がっていて、そこから小人たちが出て来て部屋の物をみな持ち去ってしまう……という夢をよく見ていた。その夢を見るたび、まさかとは思うが一応扉の奥を確認していた。


ある夜の事。

何時頃かはわからないが、大石さんは何かの気配で目を覚ました。

寝たままあたりを見回してみると、ベッドの足元の左側から少し離れたところにある、件の本棚の、観音開きの扉の中でゴトゴトと物音がしていた。まるで何かが出て来ようとしているかの様に。

やっぱりあの夢は、と目を見開けて扉を見つめていると


バンッ!


と大きな音とともに扉が開き、中に並べてあった漫画本や図鑑が爆発する様に飛び出して、床に散らばった。2メートル程も飛んだ図鑑もあったという。

次には小人が、と震えながら見ていたが、その様な者はとうとう姿を現さなかった。

大石さんは隣のお姉さんの部屋に逃げ込んだ。


翌朝あらためてお姉さんと一緒に見てみると、本が飛び出して来たのは夢などではなく、実際に本棚の扉が開いて本があちらこちらに散らばっており、飛び出して来た勢いを証明するかの様に、何冊かの図鑑の角が大きくへこみ、扉の内側の板も一部がへこんで、割れていた。


以後、小人の夢を見る事も、扉から本が飛び出す事もなかったという。




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