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あやかし街の看板娘~不当解雇された私はあやかし達をデザインの力で魅了します~  作者: MURASAKI


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第6話 ここが腕の見せどころ

「おい、お前が子猫ちゃんとか言うからこうなるんだよ! 何でこんな女が選ばれたんだ?」


「まあまあ、栗栖くん。お子様なのはホンマなんやから仕方ないんちゃいます? それより、神さんからのお告げは板狩様にこの店を見てもらうことですから、まずは見てもらうところから始めな、ね?」


「神様の、お告げ……ですか? 私がこのお店を見ることがですか?」


「そうなんです。うちのお店、何か感じるところはありませんか?」


「うう…ん。ぱっと見た感じは何も。とても素敵なお店です。ただ……」


「お! なんかありますか?」


「はい、先ほどおっしゃったように交渉の場として利用されるという割に、オープンな空間が気になります。

 ほかにも、メニューが手書きなのは素敵ですけど、ドリンクや食事がカテゴライズされてなくてバラバラで、とても読み難いです。しかもカウンターにしかないのでテーブルにも欲しいですよね。それから……」


「ちょ、ちょっと待ってください。まだ出るんですか?」


「はい。こんなに素敵なお店なのに宣伝されていないこととか。儲けを出すことはあまり考えられてないんですか?」


「儲けですか。うちの店は利益を出すために出してるわけやないんですけどね。儲けは飲食より交渉の引き合わせのほうで出してますから。ただ、板狩様のおっしゃる通り、メニューに関しては何とかしたほうがええかもしれないですね。

 良く分からないからお任せってよう言われるんですけど、もしかしたらメニュー分かり辛かったんかもと、今気が付きました」


「じゃあ、メニューは私が直しましょうか!?」


「へ!?」


「こういう情報の整理は得意なんですよ、私。広告デザイナーなので。あ、今は無職だから元ですけど」


「それは有難い! お願いできますか?」


「はい! 任せてください! あ……それでひとつお願いが」


「何でしょう?」


「メニューを写真に撮影させてください。それから、一日お時間いただけますか? その、今日はもう遅いので」


「ええっ!?  一日!?  一日で出来るんですか?」


「ええ、まあ。このくらいの情報量なら、まとめるのとデザインで五~六時間もあれば。一応製本もしたいし、ご提案も作りたいので一日いただければ嬉しいです」


「有難いです! ほな、よろしくお願いします。勿論、写真撮影OKです。他に必要な物はありますか?」



 狐崎(こざき)と打ち合わせをしつつ、終電の時間に間に合うように私は店を出た。帰り道を迷わないようにと、子猫ちゃん改め子狼ちゃんが一緒に駅まで送ってくれた。

 何だかんだ言って、栗栖は面倒見の良いタイプなのだろうと思う。


 翌日、私は気合いを入れてパソコンを起動する。

 撮影したスマホの画像をパソコンに取り込んで、内容をテキスト入力していく。原稿のテキスト入力は、自分の中のイメージを膨らませながら内容を理解していく作業も同時に出来るので、私にとってはかなり重要な作業だ。

 無駄なことは考えず黙々と作業しながら、且つ冷静に分析できてアイデアも出る。

 どんな料理なのか、イメージできない物や分からない物は手帳にメモで残してあるので、一緒にテキストに起こしていく。テキストで文字を起こすことが大事なので、メモはスマホに取らないのがマイルールだ。


 リーフ亭のメニューに対する大きな問題点は、今のところふたつ。


 ひとつは、乱雑に並んだカウンター上部にしかないメニュー表。

 見ただけで料理の種類が何か分からない状態では、お客様が注文しにくい。


 もうひとつは、テーブルにメニュー表がないこと。

 グランドメニューがあるにもかかわらず、メニュー表が無いのは勿体ないと思う。わざわざカウンターを見て注文すると、お客様同士の会話が途切れてしまうし、早く決めないといけない焦りが出てしまう。

 一緒にメニューを見ながら注文した方がゆっくり注文できるし、お客様同士の距離も近付く。それから値段が分からないから注文をしにくいというのもある。

 よく見ると小さく書いてはあるけれど、このサイズは遠くの席からほとんど認識できない。

 お金持ちのお客様ばかりとは限らなそうだったので、やっぱり値段は分かった方が良いと思う。


 提案したいことはまだまだ沢山あるけど、一日で改善するにはこのふたつを最初に直したほうがいい。数が多いわけではないメニューのテキスト起こしはすぐに終わった。

 まずは、メニューを<軽食><お食事><デザート><アルコール><酒以外のドリンク>にざっくりカテゴリごとに分ける。

 カテゴリに分けた後は、そのメニューを価格が安い順番に並べ替える。値段がバラバラしていると分かりにくくなってしまうので、並んでいるものはソートすることが大事だ。



「本当は、メニューに写真を掲載したいけど……贅沢は言えないよね」



 今ある情報だけで作るしかないので、まずは文字だけの分かりやすいメニュー表をデザインする。

 素材集から良い感じの飾り罫を選んで配置し、リーフ亭のイメージからレンガの素材を配置してモダンなイメージの仕上がりを目指す。フォントは、夜の暗い店内でも読みやすいように固すぎないゴシック系の書体を選んだ。

 作業時間三時間ほどでメニュー表のイメージが出来上がった。



「うん、良い感じ! でもやっぱり写真は欲しいなあ。素材から適当に配置してあとで貰うのもありかな」



 早速、写真を探してもう一案デザインを仕上げる。

 せっかくなので、さっき作ったモダンなデザインとは違う写真が目立つデザインに仕上げる。これはこれでお店のイメージに合うと思う。


 デザイン案を二種類作って約五時間。

 あとは店内のメニューの並び替えの提案と、デザインのコンセプト、今後やった方がいい事をまとめた「企画書」という名のご提案書を作り上げ、一日が終わった。

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