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あやかし街の看板娘~不当解雇された私はあやかし達をデザインの力で魅了します~  作者: MURASAKI


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第17話 【最終話】自分の行動がすべてを作る

 そんなある日、たまたま休日の打ち合わせの時に買い出しをするという狐崎(こざき)にくっついて、街を歩いている時だった。

 見知った人物が目の前に現れた。



「あなた! 板狩(いたかり)さん!」



 それは、前の会社の社長の奥さん。私をいじめで辞めさせた張本人だった。



「あなたのせいで花園は辞めるし、社長は私の言う事を聞かなくなるし、あんな変なメス豚がやってきて私のオアシスを取り上げるし、私の人生はめちゃくちゃだわ!」



 何を言っているんだ、この人は。

 平社員の私ひとりが居なくなって、人生転落するわけがない。全て自分の責任なのに。

 人のせいにするにも程がある。

 狐崎(こざき)と顔を見合わせる。



「ま、まさかその隣の男、あなたの……?」



 何を言っているのか分からず、困惑して何も言えない。

 奥さんの表情が嫉妬に染まったのを見て、狐崎(こざき)はすかさず私の肩を抱く。



「いやあ、隠しきれませんか? 僕らラブラブやさかい。すんません、どなたか知りませんけど失礼します!」



 と、やたら京なまりを強調させた言葉遣いをして奥さんの横を通り過ぎる。



「きいいい! 悔しい!!!!!」



 奥さんの金切り声が聞こえたような気がしたけれど、本当に叫んだかどうかは半放心状態だった私には分からない。

 道の角を曲がり、奥さんが見えなくなると狐崎(こざき)は私の肩からぱっと手を離した。



「ごめんな、板狩(いたかり)ちゃん。嫌やった? これセクハラになる?」



 何だかセクハラになるかどうかの心配で必死の形相の狐崎(こざき)に、さっきの奥さんの悔しそうな顔が重なって、私は盛大に噴き出した。



「あはははは! 奥さんのあの顔!!! 目を白黒させてましたね!」


「そやな。耳まで悔しさで真っ赤やったしな。ざまあないな!」



 私が涙をだして大笑いしているのを見て、狐崎(こざき)もつられて大笑いしている。



「びっくりしましたけど、狐崎(こざき)さんみたいなイケメンに肩を抱かれるなんて、一人の女子として一生の誉にします!

 本当に、胸がスッとして晴れやかになりました。機転をきかせてくださってありがとうございます」


「ああ~、よかった。僕も板狩(いたかり)ちゃんの心の奥にかかってたモヤを晴らすことが出来て良かったです。

 あのひと、若い男だけでは飽き足らん()()()て、なんや知らんけどちょっとなまりフェチらしいわ。そんな願望が伝わってきたら、思わず本気出してしまいますやん?」



 いやー、やりすぎたと頭を掻いた狐崎(こざき)とひとしきり笑った後、買い出しを終えてリーフ亭へと戻った。


 私は無事に庵黒堂の正社員となり、あやかし街でデザインの仕事もしながら順調な日々を送っている。

 今ではちょっとしたデザインに困ったら、「リーフ亭の看板娘」に頼むといいよ!とまで言われるほど、あやかし界隈で有名となってしまった。

 看板娘と言われるのは、なんだかちょっと照れる。

 けれどあやかしの皆さんとも仲良くなれたし、依頼に来る人間側の社長さんとも顔見知りになり、庵黒堂の仕事の方でも営業ができて順調だ。


 あとは彼氏が欲しいところだけど、それは心からのお祈りじゃなかったようで、まだ私の目の前に現れていない。

 いつか本当に願った時に、素敵な男性が現れると狐崎(こざき)は言うけれど、私はリーフ亭や会社のみんなが好きだし、人外の美しさを持つ人物が周りにいるせいで男性について少々贅沢になっている自分が居ることも認めざるをえない。

 今はこのあやかし街の人たちと仕事の楽しさをもっと味わっていようと思う。


 私の恋愛については、まだちょっと先のようだ。



 おわり

板狩ちゃんとあやかし達の物語はこれで最終回です。

きっと彼女はこの先も賑やかで楽しく、そしてそのうちとびっきり素敵な彼氏も捕まえちゃうのだろうと思います。

仕事を頑張っている全ての人にエールを!


面白かったと思われましたら、作品執筆の励みになるのでぜひ評価をいただけると嬉しいです。

また、他にも様々なジャンルの作品を書いていますので、お時間ありましたら覗いていただけますと嬉しいです。

最後まで読んでくださって、本当にありがとうございました。

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