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雨の日の常連さん

作者: 空詩
掲載日:2026/01/08

私は予約表を見つめた。

「今日は誰も来ないかな」と呟いた瞬間ドアが開いた。


「こんにちは」

この声は毎月必ず来る70代くらいのおばあさんだった。

「今日も、会いに来たわ」

と彼女は笑いながら言った。


「いらっしゃませ。お待ちしておりました。お茶すぐにご用意致しますね」

私は彼女の定位置にお茶を置いた。


彼女は毎度同じことを言う。

「今月も主人は元気にしてるかしら?」


ご主人は3年前に亡くなっている。

目の前にタロットカードを広げた。

不思議といつも明るいカードが出る。

今日も「太陽」「星」「恋人」まるで、毎回同じ答えを伝えてるかのように。

「ご主人とても笑顔ですよ」と私は言った。


「そう。それなら良かったわ」

彼女も笑顔になった。


私たちはしばらく雨音を聞いていた。

「ねえ」彼女は口を開いた。

「本当は主人のことが知りたくて来てるわけじゃないこと知ってるんじゃない?」

私は驚いて顔を上げた。


「私はね」

「ただ一人でも大丈夫だってことが知りたいだけなの」

「毎月ここに来てあなたと話をしてお茶を飲む。それが私の生きる理由になってるの」


私は彼女の気持ちを真剣に受け取った。

「だから来月もあなたに会いに来るわ」

「もちろんです」私は微笑みながら伝えた。


彼女が帰り私はカードを見つめた。

未来を当てることが全てだと思っていたがそれは間違えだった。誰かが、今日生きる理由を見つける手助けをすること。それが占いなのかもしれない。


窓の外はカラフルな傘で彩られている。

来月もまたお話しよう。私はいつでも待っています。

読んでいただきありがとうございます。

他にも短編を投稿しています。

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