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推し活女子大生が王国を救うまで現代に帰れません!  作者: 夢野少尉
第二章 【異世界編】ココロとスマホだけ異世界へ
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9.売国者の策略

「御者を助けた?」

「はい、リリーシャ嬢が代わりに罰を受けると、王子に言いきったそうです」


 ビチリヤ宰相は自室で部下から報告を受けた。彼は王妃の実兄で、アクア王子の教育にも携わっている。そんな彼はリリーシャ嬢に脅威を抱いた。

 なぜなら、痛みを恐れぬ行動もさることながら、彼女は王子に再会した初日に彼を操っている事実だ。

 宰相はリリーシャ嬢とも話をしたことがある。容姿は飛び抜けて美しく賢い令嬢だが、王室に意見するほどの反骨心はない従順な性格と記憶していた。

 

 ーー2年以上かけて練った策略だ……あんな14歳の小娘に台無しにされてたまるか! ーー


 事実上、今やビチリヤ宰相が内政を行っている。

 現リアンナ王は、政治に疎く気も弱い愚王なので、ビチリア宰相はじめ重鎮たちに全て任せている。リアンナ王は趣味の狩りや釣りばかりに出かけていた。


 ただ、アクア王子が王座につけば、宰相達の天下も終わる。リアンナ王は、早く聡明なアクア王子に玉座を譲りたいと、常に周囲にもらしていた。

 彼は幼いながらも賢明で、人の目をひきつける魅力あふれた王子。ビチリア宰相の甥にあたる。

「リアンナの希望」とまで噂され、光輝く未来を約束されたような存在だ。ビチリヤ宰相はなんとかその希望を断つよう画策していた。


 二年前、彼はリアンナ王の護衛一人の家族を人質にとり、彼を使ってリアンナ王殺害事件を企てた。

 しかし、他の護衛騎士達に遮られ未遂に終わったが、逃げ切れないと判断したのか、実行犯の護衛はそのまま逃走中に焼身自害。彼としては、クーデター自体成功しても失敗してもどちらでも良かった。どうせ護衛は後で始末するつもりだったのだ。


 ただ、アクア王子に家臣への恐怖心を植え付けるための策略だ。そして、それは見事に成功。

 

一方、妹である王妃は、兄である宰相に従順で浮世離れしている。若い騎士とも、権力に物をいわせ火遊びをしている。その上、国民の税金で宝石等買い漁っていた。


 そこで、ビチリア宰相はまだ幼い王子を洗脳しようと計画する。

 父のリアンナ王ように家来に裏切られないよう使用人や家来に厳しく罰を与え、恐怖で城内外を支配する。

 母の王妃ようにリリーシャ嬢が奔放にならないよう自由を奪い服従させる。

 2年間、このようにビチリア宰相はアクア王子を教育していた。

 おかげで最近はすこぶる王子の評判は地に落ちていた。放っておいても、若いアクア王子が玉座につけば国の経済も傾くだろう。

 その時、オークテリシア大帝国にリアンナ王国の情報を与えるスパイの役目を果たし、戦争でこの国を支配してもらう。

 きっと国力が弱っているリアンナ王国など一日で陥落するはずだ。そして、自分は報酬として、大帝国からリアンナの土地、爵位、財産をいただく。


 小国の宰相なんておさらばだ!


 しかし、たった一日でリリーシャ嬢は、アクアの行動を非難し回避した。

 自分の計画がすぐに崩れるとは思えないが、用心に越したことはない。

 ビチリア宰相は、リアンナ王国の情報を早急にオークテリシア大帝国に売ることも視野に入れ始めた。








 ※ ※ ※


『ふーん……今日は大帝国のえらい人達と偶然会ったんだ』

『はい、友香様は起きていらっしゃらなかったのですか?』


 就寝前、王城の客室で友香とリリーシャは脳内で会話していた。


『昼寝してた』

『友香様がお好きな「イケメン」の護衛騎士がいらっしゃったのに』

『はー、それは残念……いやいや、私は疾風(はやて)君一筋だから!』

『そっくりなアクア王子は「浮気」にはならないのですか?』

『……疾風(はやて)君に会うためだから、しょうがないじゃない!』


 ふと、友香はリリーシャにたずねた。


『リリーシャさんはアクア君とは政略結婚だったの?』

『政略……? そうですね。8歳の時にアクア王子殿下に会いました。その時から決まっていた結婚でございます。そもそも貴族の生まれで自由意思の結婚なんてありませんよ』

『はぁぁ、本当この世界最悪っ! パワハラで生命の危機に遭ったり、恋愛も自由じゃないなんて!』


 リリーシャはむっとして、友香に口答えする。


『でも、アクアは王太子殿下ですのよ? 身分も器量も申し分ないじゃないですか!』

『それは、奇跡に等しい。政略結婚なら、おじいさんみたいな人とだって結婚しなきゃならないんでしょ?』

『……そういうものでございます』

『うーん……間違ってる。早くこの世界を脱出せねば』


 友香はスマホを片手に『リリーシャ リアンナ』を検索する。

 すると、まだ「悪の王妃」と名付けられたままだった。

 御者さん一人助けただけじゃあ過去は変わらないか……。

 友香は肩を落とす。

 時間もあるので、リリーシャはどんな人生を歩んだのかスマホで検索して黙読した。


 ーー○○○年、リアンナ王国○○家の伯爵令嬢として生まれる。○○○年、リアンナ王国の第4代リアンナ王アクアの王妃となる。(以下、略)…… ○○○年、リアンナ王国がオークテリシア大帝国に滅ぼされ、同国ハル第ニ皇子の側妃となる。側妃時代は、心の病にかかり苦しんだ。○○○年没。享年51歳。ーー


『ちょっと! リリーシャさん、支配された帝国皇子の側妃になってるじゃん! アクア君は?』


 友香は純粋な疑問を、本人に脳内でぶつけた。


『……アクアは……王になって、すぐ私と婚姻して2年後、若くして処刑されました。圧倒的な数のオークテリシア大帝国軍に殺されました』


 リリーシャはあまりにも辛い記憶なのか口を閉ざしてしまった。

 空気を読んで、友香はアクア王処刑から話題を変える。


(とりあえず、情報を共有しないと糸口がつかめない。私が自分の世界に帰れない)


『答えづらいかもしれないけど……その後あなたはどうなったの? ネットでは大帝国の皇子の側妃になったと記載されてるわ』


 リリーシャは、ため息をついて重い口を開く。


『あまり記憶にないのです。生きる気力もなく……ただ、無理やり食べさせられ、薬を飲まされ……死なせてはくれない境遇でした』


 なんとも言葉がない。

 しかし、これ以上彼女からはなんの情報も得られないようだ。


 友香は失意の彼女と再婚した「オークテリシア大帝国ハル第ニ皇子」をネットで調べ始めた。

 

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